第70話 ゴブリンは所詮ゴブリン
メルエは焦っているようだが、ゴブリンナイトだろうがゴブリンロードだろうが、所詮はゴブリン。
どうしてそんなに焦る必要があるのかと思ってしまう。
3体残っているので、折角だから違う魔法も使ってみようと思う。
「それじゃあ、まずは右端のゴブリンナイトからいくよ『ダークボルト』」
詠唱と共に轟音が響き光の雷が右端のゴブリンナイトに向かって降り注いだ。
「ガガガガァ〜ン!」
雷が光った瞬間にはゴブリンナイトは消滅していた。
敵に使ったのは、初めてだが結構良い感じだ。雷なので発動から着弾までの時間が短い。
結構スピード勝負の時には有用だと思う。
右端のゴブリンナイトを倒したので今度は左側のゴブリンナイトにも魔法を発動する。
「ダークボルト」
先程と同じように轟音と共に光の雷が降り注ぎゴブリンナイトは消滅した。
あとはゴブリンロードだけだな。最後のボスみたいなものだろうから、全力でいってもいいかなと思い、詠唱に入ろうと思った瞬間、何とゴブリンロードが背を向けて全力で逃げ始めた。
「ゴブリンでもロードだろ。逃げちゃダメだよ『アブソリュートメア』」
ゴブリンロードの周りを急激に光が収束して大爆発を起こした。
「ズガガガガ〜ン!」
爆発による粉塵が晴れるともちろんそこにゴブリンロードの姿は既に無かった。
上位種のゴブリンロードとはいえ、やはり所詮ゴブリンだな。相手を前に背を向けて逃げ出すなど有り得ない。とてもじゃないが主たる器があるとは思えない。
絶対に俺はああはなりたく無いものだ。
「ファ、ファ、ファ、ファ」
メルエはがファ、ファ言って何を言いたいのか分からない。
「メルエ、落ち着いて。もうモンスターはいないんだから」
「ファ、ファ、ファルエル様。さっきのは一体………」
「さっきのって、ぼくの魔法のこと?」
「ファルエル様の魔法。さっきのがファルエル様の魔法………」
メルエの様子がおかしい。ロード達を倒す前もおかしかったが一段とおかしい。
「メルエ大丈夫?」
「ファルエル様、大丈夫ではありません。さっきの魔法、あれはお伽話で読んだ神の雷じゃ無いですか。それに最後のは何ですか。世界を滅ぼせますよ。覇王を超えています。覇壊王、いえ覇天帝、覇壊天帝ですよ」
いやメルエ、だからおかしいぞ。覇壊王にしても覇壊天帝にしても、覇だけじゃなくて壊してるぞ!もうそれは天使じゃなくて魔王じゃ無いのか?
「メルエ大げさだよ。ぼくはただの4歳児なんだよ」
「ファルエル様、もうこの際歳は関係ありません。今日から覇業に向かいましょう。ゴブリンなど相手にしている場合ではありません。ゴブリンロードが一瞬で消えちゃったんですよ。ゴブリンロードですよ。分かってますかファルエル様」
「うんゴブリンロードだよね。わかってるよ。逃げ出すなんてどうしようもないモンスタだったね」
「いえ分かっていませんね。ゴブリンロードが背を向けて逃げ出すなんて聞いた事がありません。集団でかかるか高位の天使が相手にするようなモンスターなんですよ。それが逃げ出すとは……ファルエル様あなたは神ですか?神なのですね。天使に姿を借りた神なのですね」
「いや違うよ。普通の4歳児だからね」
メルエが完全に壊れてしまったようだ。俺の魔法の刺激が強すぎたのだろうか。
「ファルエル様は普通の4歳児じゃないです。神様のようにすごい4歳児です」
ルシェルまでメルエに影響されたのか変な事を言い出してしまった。
これからも、天索者の活動を続けるためにも2人にはしっかりと教育をする必要があるかもしれない。
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