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第7話 魔法の練習

よちよち歩きの訓練をするのと同時に始めた事がある。

魔法の行使を練習している。

練習すると言っても、天界の知識は一切無いので前世で使用していた暗黒魔法しか練習のしようがない。

うまく喋れ無いので詠唱もままならないが


「ちゅらちゅっば〜ちゅと」


俺の得意だった魔法のうちで比較的初歩魔法であるブラックバーストを練習しているが、全く発動する気配が無い。

俺の詠唱に問題があるのか、それとも生後7カ月の身では、発動しないのか、それとも天使に転生したこの身体では、ブラックバーストを発動することは出来ないのか、それ以外の理由があるのか全く見当がつかない。

分からないが、今の俺にはありまる時間と、この部屋しか無いのでとにかく練習を続けるしか無い。


「ちゅらちゅっば〜ちゅと」


「あら〜ファルエルちゃん。お喋りしてるんでちゅね〜。ちゅっちゅ言ってるんでちゅね〜。ちゅ〜」


勘違いしたママが思いっきりちゅ〜をほっぺたにして来た。もう慣れた。数ヶ月間の時の流れは俺を変えてしまった。

この女性を完全にママと認識してしまい、以前で有れば忌避感しか覚えなかったであろうこの『ちゅ〜』も嫌では無くなってしまった。嫌ではないと言うよりも、寧ろ受け入れてしまっており、何とも言えない幸福感を

感じてしまっている。

子爵級悪魔の時の幸福感は、『破壊』

とにかく壊して壊して壊し尽くすことで幸福感が得られていた。

相手を倒して、壊して、心を砕く。そうする事で幸福感が得られていた。

それが今の俺は、この『ちゅ〜』にその時以上の幸福感を感じている。

あまりの心地よさに身を委ねそうになるが、ギリギリのところで踏み止まる。

俺は、赤ん坊の時に身も心も売り渡した。あまりの恥辱に全てを売り渡した。

だが前世の生き方に悔いはない。その記憶にかけて、この状況に溺れてしまうわけにはいかない。

売ってしまった物は買い戻さなければならない。

俺は一刻も早く、誰よりも強く、そして誰よりも偉くなって、天界を統べる。

そして魔界に凱旋してみせる。天界の王として。

そのためにはこのまま眠ってしまわず、訓練あるのみ。

ママから解放された俺は再び、歩く練習と魔法の練習を開始した。

効率を上げるため歩く練習をしながら魔法の練習もした。


「ちゅらちゅっば〜ちゅと」


自分の中に前世であれだけ感じた魔力を感じない。

魔力の存在を、魔力の流れを全く感じる事ができない。

なぜなんだ。この天界には魔力は存在しないのか?俺にだけ無いのか?

それがらも練習を2カ月間休まずに続けて遂に俺は出来るようになった。

何も掴まらずに歩けるようになったのだ。

流石は俺。この2カ月、一日も休まずに練習をしたので成果が出た。

身動き一つ取れなかった数カ月前からよくここまで出来るようになった物だと自分で自分を褒めてやりたい。


「おおっ。もう歩けるようになるとは、流石は僕の息子だ。ファルエル最高だ〜。ママ僕の息子は何て素晴らしいんだ〜」


時間というのは本当に恐ろしい物だ。

この鬱陶しいだけの、天使を俺はパパとして認識して受け入れてしまった。

以前で有れば即滅殺していたであろうこの鬱陶しさ。

それが何故か今は許せてしまう。少し鬱陶しさは覚えるものの、それと同様に愛情を感じてしまう。

今の俺は、この男『パパ』からの過大な愛情を感じてしまい、ママの『ちゅ〜』同様の幸福感を感じてしまっている。

まだママは理解ができる。確かに美しいし俺にミルクをくれているからだ。

しかしこのパパは鬱陶しいだけなのに幸福感を覚える自分が怖い。

髭をジョリジョリされても、それほど嫌では無くなってしまった自分が怖い。

今は赤ん坊なので仕方が無いのだと自分に言い聞かせながら現状を受け入れてしまっている。

ただやはり魔法は一切発動していない。

流石に2カ月何の変化も無いと心が折れそうになるが、とにかく頑張るしかない。

以前のように自在に魔法を使えるように早くなりたい。

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