第64話 ルシェル覚醒
今日で天索者補助としての活動も丁度1ヶ月となったが、パーティメンバーを見つけるきっかけすら掴めないのでメルエと2人でモンスターを狩って回っている。
時々、獣もメルエが退治してくれたが、持ち帰る術が無いために放置せざるを得ず全くお金にはならなかった。
「メルエ、今日も1日ありがとう。だけどやっぱりもう少しペースを上げていきたいんだけど、メルエは、感知魔法とか空間系の魔法とかは練習すると使えたりしないの?l
「残念ながらそれは難しいと思います。私には補助系の魔法の適性は薄いので」
「そうか〜。ぼくも出来そうに無いしな〜。なんとかできればいいんだけど、とりあえず今日は家に戻ろうか」
俺とメルエは不毛な会話を繰り返しながらギルドで精算を澄ませて家まで帰ってきたが、ママに呼ばれて部屋まで行くことにした。
ママに呼ばれることは珍しいので何かあったのかと気になって急いで部屋まで向かったが部屋にはママとシルフィールとルシェルがいた。
「ママ、何かあったの?大丈夫?」
「そうね〜。何かあったと言われれば、あったわね」
「何があったの?」
「それがね、ルシェルちゃんなんだけど魔法がいくつか使えるようになったのよ」
この世界の基準がよくわからないが、約1カ月で魔法を使えるようになるとは凄いのでは無いだろうか。しかもさっきママはいくつかと言っていたので2つ以上の魔法を使えるようになっていると言うことだろう。
「ルシェル、1カ月で魔法が使えるなんてすごいじゃないか。才能があるんだね。さすがだよ」
「あ、ありがとうございます」
またルシェルの目が潤んでいる。そんなに魔法が使えたことが嬉しかったんだろうか。と言うかその気持ちは痛いほどわかる。俺も魔法を使えた時は泣くほどの感動が去来した。まあ俺の場合は緊迫した状況だったので感動したのは後日になってからだが。
「ところでルシェルはどんな魔法が使えるんだい」
「わたしファルエル様のお役に立ちたくて」
「ファルエルちゃん、ルシェルちゃんはね、ファルエルちゃんの役に立つ魔法ばっかり優先して憶えたのよ」
俺の役に立つために魔法を憶えてくれたとは、ルシェルはなんていい子なんだ。
「それでどんな魔法を憶えたんだい?」
「憶えたのは3つです」
3つも憶えたのか。ルシェルやっぱりすごいな。
「憶えた魔法は『ホーリーアーク』と『フィールドサーチ』と『ロックシールド』です」
なにっ?『ホーリーアーク』とはメルエが言っていた空間系のストレージ魔法じゃ無いのか?しかも『フイールドサーチ』って感知系魔法じゃ無いか。
この1カ月間俺が切望していた魔法を2つともルシェルが身につけてくれたとは、なんて事だ!それにしても
『ロックシールド』にしても俺とメルエの苦手としている防御魔法だが、こんなに都合よく俺に必要な魔法ばかり身につけることが出来るものなのだろうか?
たまたまルシェルの適性が俺の必要な魔法に発揮されたのか?
「ママ、どの魔法もぼくがどうしても使いたかった魔法なんだけど、たまたまルシェルが使えるようになったって言う事なのかな」
「ファルエルちゃん、さすがにそんな都合よくファルエルちゃんが必要な魔法にだけルシェルちゃんの適性が発揮されるなんて言う事は無いのよ。ファルエルちゃんはいろんな魔法に適性があるのよ。訓練すればもっといろんな魔法が使えるようになるわ。攻撃魔法だっていろんな種類を憶えることができると思うわ。でもルシェルちゃんの希望で1番にファルエルちゃんの役に立つ魔法を憶えたいって言うからまずはこの3つの魔法を憶えてもらったのよ」
ルシェルは本当に俺の為に魔法を憶えてくれたようだ。しかも攻撃魔法やいろんな魔法に適性があるとは、思った以上にルシェルは凄かったらしい。
気がついたら10万文字を超えていました。これから楽しいパートが増えるように頑張ります。
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