第61話 試行錯誤
あけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。
オーク5匹を『グラビティバレット』で一瞬のうちに倒す事ができたが、正直物足りない。
もっと血湧き肉踊るような戦いをしたい。
だがこれで8匹のオークを倒したので昨日よりも格段に収入が増えた事になる。
「メルエ、大丈夫だったでしょ。心配しすぎなんだよ」
「はい。ファルエル様やっぱり凄いですね。5匹のオークが一瞬でした。しかもその笑顔で………ファルエル様やばいです」
やはりオークはメルエをおかしくさせるらしい。やばいのは俺ではなくメルエだと思う。
「それじゃあ、今日は8匹倒せたからゆっくり街まで戻ろう」
「そうですね。それにしても2日目で8匹とは上出来ですね」
「そう言うものかな」
「そう言うものですよ」
魔界は、場所によるもののモンスターがもっと一杯居たので正直8匹がその程度なのかよくわからない。
「メルエ、金額はどのぐらいになるのかな」
「オークも金額は一律で30ガルですので260ガルですね」
「メルエ、間違ってるよ。240ガルだよ」
「ファ、ファルエル様、そう言う時は気付いても黙っておくものなんですよ」
「そう言うものかな」
「そう言うものです」
それほど難しい計算では無かったと思うがこれを間違えるとはメルエは計算が苦手なのだろうか？それとも天界ではそれほど計算を必要としていないのだろうか？
俺は、魔界で倒した相手を瞬時ににカウントするのが特技だったので数字には元々強いのだ。
それにしても240ガルか。昨日の50ガルと合わせて290ガルなので後1日同じペースでモンスターを倒して回れば、天索者の登録に使ってしまった500ガルが回収できる。
この500ガルを回収してからが本当の稼ぎと言えるだろう。
このペースであれば数ヶ月頑張れば家を買う事が出来るかもしれないが、運営の為に必要な経費を考えるとまだまだペースアップが必要だろう。
それには、モンスターを含む素材の確保が必須のような気がするが、未だに一切の素材確保に至っていない。
問題は『グラビティバレット』の調整が効かない……
厳密に言うと少しは効いている気がする。元々が大きすぎてそれが一回りぐらいは小さくなったような気がするのだが誤差の範囲内だ。
メルエの『エタニティレイン』が羨ましい。あれば素材を確保するにはちょうどいい感じの魔法だが、残念ながら俺には純然たる聖魔法は使えない。
どうにかして明日には『グラビティバレット』を調整して『エタニティレイン』のような感じに仕上げたい。
それには、何回もの練習が必要になるだろうから数多くのモンスターに出会いたいものだ。
俺とメルエが1時間ほどかけて街の天索者ギルドまで戻ってきた。
「今日も精算をお願いします」
「それではジュエルの方を確認させていただきます。オークが8体ですね。240ガルになります。登録されてからそれほど日が経っていないのに非常に優秀ですね。これなら今後も期待できそうですね、頑張ってください」
受付の人の反応を見る限り、やはり新人にしてはオーク8匹と言うのは結構多かったらしい。
逆にこれで多いと言われると明日以降同じだけのモンスターを見つける自信がない。
やはり安定収入の為には、早めに探索魔法を使える天使を見つけて仲間にした方がいいかもしれない。
「メルエ、天索者のパーティメンバーってどうやって見つけるのかな」
「普通は知り合いとか、伝手で探す事が多いようですよ」
残念ながら俺にはメルエ以外に天索者の知り合いはいない。これから探索魔法が使えるパーティメンバーを見つける事は思ったよりも難しそうだ。
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