第59話 天索者とその補助
ルシェルをママに任せて俺はモンスターを倒してお金を稼ぐことに専念する。
「メルエ、一昨日のゴブリン退治を見てどう思う?」
「どう思うとは?とにかくファルエル様の魔法の威力が凄すぎてよく分からなかったです」
「それじゃあ、もっと数が多かったり上位のモンスターでも大丈夫かな」
「そうですね。数はファルエル様の魔法がどの程度連続で使用できるのかわからないのでお答えしようがありませんが、威力だけで言うともっと上位のモンスターでも大丈夫だと思います」
「そう。それならやっぱり今日はもっと奥まで進んでみたいんだ」
「そうですか……」
「やっぱり1日で50ガルだといつまでたっても目標の金額まで到達しないと思うから、もっと奥に行きたいんだよ」
「そうでしょうね。わかりました。ただし約束してください。私が危ないと思ったらファルエル様に伝えますので何があっても逃げてください」
「うん、わかったよ」
一昨日は一日中探してもゴブリン2体しか発見出来なかったので、同じ所に行っても難しいだろうから今日はもっと奥の方に行ってみることにする。
「メルエ、全然見つからないな〜」
「それはそうですよ。そう都合よくモンスターが出ていたら大変な事になりますよ」
既に2時間以上歩いているがまだ獣1匹すら出会わない。このままではまずい。誰か探索魔法を使える天使を仲間にしないとまずいかもしれない。
「ファルエル様!あれは!オークです。しかも3体ですよ。オークはやばいです。あれは女の敵です。逃げましょう。今すぐ逃げましょう」
「メルエ、あの豚顔のモンスターの何がやばいの?女の敵ってどう言う……」
「きゃ〜!気づかれました。向かってきましたよ。女の敵はまだファルエル様には早いです。早いですけどとにかくやばいんです。早く逃げましょう」
俺には早いってどう言う意味だ?もっと遅ければ良かったのか?よくわからないが魔界にもオークはいたので全く問題ない。あの醜悪な見た目で魔界でも嫌われていたので当然ゴブリンと並んで駆逐の対象だ。
「大丈夫だよ。3匹程度のオークは問題ないから」
「私は大丈夫じゃないです〜。きゃ〜!襲われる〜」
メルエがやたらとうるさいがさっさと片付けよう。
「ブラックバースト」
魔法の発動と同時にオークの1匹が爆ぜて完全に消滅した。
突然の出来事にパニックを起こした残りのオーク2体が突進してきた。
「ブヒィイ〜!ブギャ!」
「きゃ〜。来た、来ちゃった。私の貞操が〜!」
メルエは本当に武家の出なのだろうか?普段のメルエからは想像できない程取り乱して腰砕となっている。こんな事で天索者としての使命を果たす事ができるのだろうか?
いずれにしても『ブラックバースト』は強力すぎるようでオークが一瞬にして消え去ってしまったので威力の調整の練習に全くならない。
「グラビティバレット」
俺の最小魔法を発動して2発の弾をイメージするが巨大な火球がオークに2個飛んで行き衝突と同時にオークは消失してしまった。
今度は微かに肉の焼けるいい匂いがしてきたが、あの様な醜悪な外見を見ると、とてもじゃないが食欲は沸かない。
「メルエ、終わったよ。大丈夫?」
「ファルエル様〜。ありがとうございます。ファルエル様のおかげで私の貞操が守られました」
「よくわからないけど守れて良かったよ」
「ファルエル様、4歳にしてその笑顔。危険です。ファルエル様の笑顔は危険です。よく考えると戦闘中ずっと笑顔じゃないですか、私があと10歳若かったらやばかったです。破壊力が強すぎます」
メルエは一体何の話をしているんだ。魔法の破壊力とメルエの年齢と何の関係があると言うんだ。それにしても楽しすぎるせいかやはり戦闘中は笑顔になっているらしい。変な奴と思われないように気を付けないといけないな。
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