SSクリスマスの食卓
読んでくれた方へメリークリスマス
今日はクリスマスだ。
昼になってグランパとグランパパ達も家にやって来た。
パパも今日は早く帰ってくるらしい。
夜中までの作業でシルフィールへのプレゼントは、ーほぼ出来上がっていたが仕上げを午前中いっぱいをかけて行った。
食卓の準備も大詰めを迎えている様で、出来上がるまではシルフィールのお世話をして過ごした。
「ファルエルちゃんそろそろ食事にしましょうか」
「うん」
シルフィールとルシェルと一緒に食卓まで行くとみんな揃っていた。
食卓を見ると真ん中に子豚の丸焼きが鎮座していた。
明らかにこの人数では食べきれない量だが残ったら家にいる者で分けて食べるのだろう。
全員が椅子に座るとパパが
「それじゃあ、今年は2人も家族が増えて本当に嬉しい限りだ。メリークリスマス」
と声を掛けてから食事が始まった。
普段とは違った豪華な料理が次々に出てきてお腹いっぱいになってしまったが、ルシェルは恐縮してしまい、食べるのに時間がかかってしまっている様だ。
全員が食べ終わってから、家族から子供達へプレゼントが渡された。
去年までは俺一人だったのですぐに終わっていたが、今年は3人もいるのでゆっくりと時間をかけてプレゼントが配られた。
まず俺にはグランパからは青い宝石のついたネックレスをもらった。
「これはなんですか?」
「これは魔法の威力を少しばかり上げてくれるマジックアイテムだよ。ファルエルにぴったりだろう」
「うん‥ありがとう」
気持ちは嬉しい。嬉しいが魔法の威力を弱める努力をしている俺に威力を高めるマジックアイテムか……
次にグランパパからはナイフを贈られた。
「これから何があるか分からないから常に護身用に持っておきなさい」
「ありがとう」
「パパとママからはこれよ」
ママから渡されたのは子供用の防具だった。
「ファルエルがこれからやろうとしている事にあればいいかと思って」
さすがはママとパパ、ありがたく使わせてもらおう。
去年まではみんな本をくれていたのに今年は大きく異なって実用的なものばかりだ。
みんな俺のことを考えてくれているのだと実感できる。
その後、シルフィールにも赤ちゃん用の服や肖像画が贈られた。
いったいいつの間に描いたのだろうか?そこには天使の笑みをたたえた、可愛いシルフィールが描かれていた。これは俺も貰いたいぐらいだ。
そして最後にルシェルにもみんなからプレゼントが用意されていた。
グランパからはピンク色のフリフリドレス、グランパパからは、ルシェルにぴったりの可愛い髪留め。パパとママからは小さな手鏡が贈られた。
ルシェルは自分がもらえるとは思っていなかった様で恐縮しきりだった。
「それじゃあ、これは僕からだよ」
俺は1日掛けて作ったおもちゃをシルフィールに渡した。
「ファルエル、これは何かな?」
「何って積み木だよ。決まってるじゃないか」
「あ、ああ、積み木か、そうだな積み木だな」
グランパパがわかり切ったことを聞いてきた。どういう意図があるのだろうか?
悩んだ俺は自分の技量と相談して四角い積み木と三角の積み木を複数作って積み木セットとして渡す事にしたのだ。そのうちシルフィールが遊んでくれるといいな。
「ファルエルにも苦手な事があったんだな……」
「こう言うのは気持ちですから」
「そうかあれが積み木か、きちんと積めるかな」
「きっと積めますよ」
後ろでグランパパとグランママが何やらこそこそ話しているが、それよりもプレゼントはもう一つある
「はい、これはルシェルにだよ」
「えっ?わたしにですか?」
「そう、うまく出来なかったけどよかったらもらってよ」
俺が渡したのは木彫りのウサギだ。耳が本当に苦労した。
「ママ、あれは何だ木の塊か?」
「いえ木の団子でしょう」
「ああそうか団子か」
今度はパパとママが何やらヒソヒソやっているが何があったのだろうか?
「可愛いです。このウサギ一生大事にします。ううううっわ〜ん」
ルシェルがまた泣き出してしまった。本当に泣き虫だな。ウサギ程度で喜んでくれるなら今度はクマでも彫ってみようかな。
「いつでもまた作ってあげるからそんなに泣かないで」
「ファルエル様。わたしファルエル様に出会えて本当に良かったです。絶対にファルエル様のお役に立って見せますね」
「そんなに頑張らなくても大丈夫だよ。もうルシェルも家族なんだから」
ルシェルが涙に濡れた瞳でじっととこちらを見つめてくる。
こんなに喜んでくれるなら、毎年クリスマスにはプレゼントをあげることにしよう。
「ママ、あれウサギだって。なぜルシェルちゃんには分かったんだろう」
「そうねやっぱり形よりも気持ちなんじゃないかしら」
いずれにしても泣くほどに喜んでくれて俺も嬉しい限りだ。
今日はみんな幸せな気持ちになれた。みんなメリークリスマス。
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