第55話 才能
「ファルエル様、歩いている間にわたしずっと魔力の循環をできるよう右回りの訓練をやってたんですけど、少しできる様になってきたと思うんです」
「本当?そんなに時間が経っていないけど本当だったらすごいね」
「ルシェル、焦る気持ちはわかりますが、魔力操作は1日で出来るようなものじゃ無いんですよ」
「でも、多分出来たんです」
「ぼくではよく分からないけど、ママなら分かるはずだから家に帰ってママに見てもらおうか」
「はい。お願いします」
まあ俺もすぐに出来たしルシェルに出来ても不思議は無いのか?ただメルエの反応を見る限り、そんなにうまくはいかない様だが、ママに見て貰えばすぐに分かるだろう。
俺達3人はそのまま街を出て家まで歩いて帰ったが、ルシェルはその間もずっと魔力操作の練習をしている様子でずっと真剣な顔をしていた。
30分ほど歩いて家に着いたので、ルシェルを連れて、ママとシルフィールのところへ向かった。
「ああ、シルフィール今日もごきげんだったかい。おにーちゃんだよ〜」
ああ、やっぱりシルフィールは可愛い。ここ数日家を離れている時間が長かったので早くシルフィールの成分を取り込まないとシルフィール欠乏症にかかってしまう。
シルフィールを抱っこしてすりすりする。
あ〜かわいい。仕事から戻ってきたパパもこんな気持ちになるんだろうか。
「ファルエルちゃんお帰りなさい。今日一日どうでしたか?楽しい事はありましたか?」
「それがねルシェルに今日魔力操作の仕方を教えてたんだけどね、ルシェルがもうできる様になったって言うからママに見てもらおうと思ったんだ」
「ファルエルちゃん、ルシェルちゃんに魔力操作の方法を教えてあげたのね。えらいわね〜。でもファルエルちゃんじゃ無いからルシェルちゃんも1日では難しいんじゃ無いかと思うんだけど」
そう言うとママはルシェルの背中に手を置いた。
「信じられないわ、ルシェルちゃん。ゆっくりだけどきちんと魔力が流れているわ。ルシェルちゃんは今までに魔力操作を習った事があったのかしら」
「いいえルファーリエ様、今日初めてファルエル様から教えてもらいました。ファルエル様の教え方がよかったんだと思います」
「ママ、ぼくは普通に右回りを意識するように伝えただけだよ。特別なことはなんにも教えてないんだよ」
「そうなのね。ルシェルちゃん、あなたには魔法の才能があるのよ。ファルエルちゃんは特別だから参考にはならないんだけど、普通1日じゃあ出来る様にならないのよ。大体早くても1カ月から3カ月ぐらいは出来る様になる迄に必要なの。私もファルエルちゃん以外に1日で魔力操作が出来る様になった人を知らないわ」
「わたし、そんなに才能があるとは思えません。たまたま出来ただけかもしれません」
「ルシェルちゃん、ファルエルちゃんもとんでもない才能を秘めていたけど、あなたも間違いなくすごい才能を持っていると思うの。もしよかったら明日から私に魔法を習ってみないかしら?」
「えっ?ルファーリエ様に?本当にうれしいんです、でも私ファルエル様のお役に立ちたいんです」
「じゃあ、尚更じゃない。早く魔法を使える様になったらファルエルのお手伝いができるようになるんじゃ無いかしら。ファルエルちゃんは、特別すぎるから教えるのには向いてないと思うの。私が教えた方が絶対ルシェルちゃんの成長に役立つと思うわ」
「ルシェル、そうしなよ。魔法が使える様になったらまた手伝ってくれればいいからね。ママは本当に教えるのも上手いからきっとルシェルの為になるよ」
「ファルエル様……わかりました。ルファーリエ様よろしくお願いします。早く魔法が使える様に頑張ります」
こうしてルシェルはママに魔法を習う事となった。正直俺は聖魔法の使い方はわからないのでママが助けてくれてよかった。それにしてもルシェルは将来が楽しみだな。
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