第54話 初報酬
メルエが鹿を仕留めてくれたが問題が起きてしまった。
鹿の肉は食料になると思うが、どうやってこの鹿を運んでいいか分からないのだ。
メルエと幼児が2名でどうやってこの食料を運べばいいのだろうか?
普通に考えて俺たち3人合わせたよりも、重そうだ。
俺も鍛えているとはいえ所詮は4歳児にすぎないので、これを運ぶどころか動かす事もままならない。
「メルエ、どうしよう」
「ファルエル様、私も鹿を仕留めるのは初めてなのでどうしていいかわかりません」
「メルエは鹿の解体とか出来る?」
「ですから、鹿を狩ったのが初めてなのでもちろん解体などできるはずがありません」
「そうだよね」
困ってしまった。俺も解体などしたことがない。仮に解体したとしてもどれだけも、持って帰ることはできない気がする。
「あ、あの、わたし頑張ります」
「ルシェル、解体できるの?」
「解体はしたことありませんが、頑張ってみます」
ルシェルはこう言ってくれているが正直難しいだろう。
「メルエ、今後のこともあるし聞いておきたいんだけど、他の天索者ってこう言う場合どうしてるのかな」
「色々だと思います。マジックバッグと呼ばれる魔道具を使われている方や、『ホーリーアーク』と言った空間魔法を使う方、ポーターと呼ばれる者を雇ってカートの様なものを常に持ち運ぶ場合などありますよ」
「う〜ん。僕たちではどれも難しいよね」
「そうですね。マジックバックはかなり高額ですし、ポーターを雇うとお金がかかりますからね。ファルエル様『ホーリーアーク』は使う事はできないのでしょうか?」
「その『ホーリーアーク』って言う魔法自体、今初めて知ったんだよ。だから使えないよ」
「そうですか、それでは残念ですが鹿は置いていくしかありませんね」
非常に勿体無い。どうにかして持って帰りたいが物理的に不可能だ。
どうして俺は悪魔の時にストレージ系の魔法を身に付けなかったのだろうか。
当時の俺はとにかく、破壊がメインでそれ以外の部分は正直軽んじて来たが、今となってはそれが間違いだったと感じる。
天使として生きる以上破壊だけでは生きていけない。破壊と同時に生産的行動も必要となるが、俺には圧倒的にそれが欠けている。
本を読み漁ったので、以前に較べるとそう言った知識が増えたとは思うが、俺には足りないところが多すぎる。ママの為にも、領民の為にもこれから一層努力する必要があるな。
「そうだね。明日からどうするか考えないといけないけど、今日はあきらめて帰ろうか」
それからおよそ1時間ぐらいかけて街の天索者ギルドまで戻ってきた。
「それじゃあメルエお願いできるかな」
「はい。わかりました」
メルエがギルドの受付に声をかけた。
「よろしいですか?今日の精算をお願いします」
「かしこまりました。それでは記録用のジュエルを確認させて頂きます」
メルエが昨日受け取っていたネックレスを渡すと受付の人が確認して
「ゴブリンが2体ですね。合わせて50ガルになりますが、お受け取りはどうされますか?このまま、記録の状態で、デポジットすることもできますし、今すぐ現金でお渡しする事も出来ます」
「ファルエル様どちらがよろしいですか?」
「とりあえず、登録に必要だった500ガルが貯まるまではそのままにしておこうか」
「わかりました。それでは記録の状態でデポジットお願いします」
俺が倒したのでしっかりメルエに記録されているか心配だったが、問題無く識別できた様だ。
お金も必要であればいつでも引き出せるのがわかったので明日から、どんどんモンスターを狩っていきたいと思う。
とりあえず早く登録料は回収したいものだ。
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