第50話 初仕事
俺はメルエを伴ってモンスター退治に来ている
本当は連れてくるつもりは無かったのだが本人の強い希望でルシェルも連れて来ている。
ルシェルには家で掃除でもしておいてもらおうと思っていたが、本人が、将来的に俺の手伝いができる様になりたいとの事で、ママに話したら連れて行って良いとのことだったのでこうなってしまった。
ルシェルに万が一の事があっては大変なので細心の注意は払うつもりだが、メルエにもしっかり言い聞かせておいた。
昨日ゴブリンに遭遇したエリア迄やって来たが今日はまだ出会えていない。
「メルエ、なかなか出会わないね。そんなに数が多くないのかな」
「この付近にはそれほど多くないのでしょう。もっと奥地に行くと巣があったりする様ですが私は見たことがないです」
「そうか〜。じゃあ初日だし、ゆっくりと探そうか。ちなみにメルエは探知魔法とかは使えないんだよね」
「はい。私は攻撃重視でしたので」
残念ながら俺も探知系の魔法は使用できないので歩いて廻るしかない。
「ファルエル様、魔法を使うのは難しいのですか?」
「う〜ん。僕の場合は、何年もずっと使えなかったからね。でも普通の人はもっと簡単に使えるんじゃないかな」
「ファルエル様が何年も……私にも教えていただけないでしょうか?お願いします」
「うん。僕もルシェルには教えてあげようと思ってたんだけど、僕で教えることができるかはわからないんだよ」
「私はファルエル様がいいです。お願いします」
「それじゃあ、歩きながら練習しようか。まずはね、体の中に聖魔力を感じないといけないんだけど、ルシェルは聖翔の儀は受けてるんだよね」
「はい。小さい頃で覚えていませんが、ママから聞いたことがあります」
「それじゃあ、体の中の聖魔力を感じるところからだけど、体の中に何か、ぼわんとした様なあったかい様な
物って感じることができる?」
「はい。それはわかります」
「それじゃあ、その魔力を右回りに回すんだ。回る様なイメージを持って、最初はゆっくりでいいから止まらない様に回し続ける練習だよ。それが出来たらどんどん速度を上げていくんだ。まずはそこからだよ」
「わかりました。う〜。なかなか動かせないです」
「それはそうだよ。ゆっくり時間をかけてやって行こう」
「はい。う〜」
ルシェルは、モンスター退治には直接関わることができないので魔力操作の練習をすると丁度良いと思う。
「う〜」
「ルシェル、ゆっくりでいいんだよ」
「早くファルエル様のお役に立ちたいんです。う〜」
ルシェルは俺の為に頑張っているらしい。頑張っている姿は非常に愛らしい。
「ファルエル様、モンスターです。ゴブリンですよ。しかも2匹もいます」
「おっ。それじゃあ、メルエとルシェルは下がっておいて」
「無理はしないでください」
かなり先だが確かにゴブリンが2体目視できる。ゴブリンもこちらに気付いた様で、2体同時に向かって来ている。
それじゃあ、天索者としての初めての仕事だ。いや、俺はあくまで補助だった。
「よし、じゃあはじめるよ」
俺は、向かってくるゴブリンの一体に向けて
「ブラックバースト」
魔法を発動すると同時にゴブリンを中心に光が集約して大爆発を起こした。
ゴブリンは跡形も無く消え去ったが、もう一体残っているのでそちらに向けて更なる魔法を放つ。
「ダークエクリプス」
本来のダークエクリプスは月が欠ける様に体が闇に飲み込まれるが、俺が放った魔法はまるで太陽の如く超高温の巨大な塊が出現してゴブリンはそのまま蒸発してしまった。
もう全く違う魔法と言っていいだろうが、効果の発現の仕方は全くコントロール出来ないので仕方がない。
「ファルエル様。先程の魔法は………」
「ああ、この前見せたのとは少し違う魔法だよ」
「………」
やっぱりモンスターを倒すのは良いな。この仕事は俺にあっていると思う。
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