第49話 ナチュラル
「きゃ〜ルシェルちゃん。すごく似合ってるわ〜。かわいいわね〜。やっぱりかわいい服を着ると映えるわね〜」
「あ、ありがとうございます」
「その服はファルエルちゃんが選んだのかしら」
「そうです。ファルエル様が、すごく可憐で良いと言ってくれたんです」
「あら〜ファルエルちゃんたら正直ね〜。本当に可憐で可愛いわよ。今度また違う服も揃えていきましょうね」
「いえ、わたしは3着も頂いたのでこれで十分です」
「違うわよ。私が色々ルシェルちゃんに着せてみたいのよ」
「は、はい。ありがとうございます」
その日はルシェルも交えて5人で食事を取ることになった。
まだシルフィールはみんなと同じものは食べれないので離乳食だ。
「おおっ。ルシェルちゃん。なんて事だ!可愛い、なんて似合ってるんだ!女の子ってこんなに可愛くなるのか。シルフィールも将来が楽しみだな〜」
「ありがとうございます」
「しかし、ルシェルちゃんはかわいいな。ファルエルと並んでいると可愛さが倍増だよ。世界が振り向く可愛さだな。これからもファルエルと仲良くしてね」
「はい、こちらこそありがとうございます」
「おお、礼儀正しいな〜。ファルエルも特別に礼儀正しい子供だと思ってたけど、ルシェルちゃんも負けず劣らず礼儀正しいな。これからが楽しみだよ」
「はい。これから頑張ります」
どうやらパパもルシェルとルシェルの服装をすごく気に入ってくれた様だ。
「パパに願いがあります」
「なんだい、ファルエル」
「僕は、ルシェルの様な子供を助けたいです」
「うん、そうだね」
「全員を助けたいんだ」
「う〜ん。全員だよな」
「難しいのはわかってるんだ。家に全員住んでもらう事も無理なのもわかってるんだよ。だから家を買って、そこで住んでもらおうと思うんだ」
「い、家?ファルエル、家っていうのはね、造るのも大変だし、値段もかなり高いんだよ」
「わかってるよ。安い家で2万ガルぐらいでしょ。それに住めば1人で1年で2000ガルぐらいはかかるんだよね」
「そうだよ。だからみんなを助けたい気持ちはわかるけど、そんなお金を用意する事は出来ないんだよ」
「ううん、僕が用意するんだよ」
「ファルエル?」
「今日ね、メルエにお願いして天索者ギルドに行ってね、メルエに登録してもらったんだ。僕が、モンスターを倒してお金を用意するよ」
「ファルエルちゃん、モンスターって危ないでしょ!」
「ママ、大丈夫だよ。今日もゴブリンを倒して来たんだ。危ない時はメルエに助けてもらうからね」
「ゴブリンを?それはファルエルちゃんの魔法で有ればゴブリン程度問題ではないと思うけれど」
「ファルエル、一時的にお金を用意出来てもずっとは無理だろう」
「うん、僕は全員助けたいから全部僕一人では無理だよ。だから住む場所と食べるものが落ち着いたら、住んでいる子供達にも仕事をしてもらおうと思うんだよ」
「孤児の子達に仕事は無理じゃないか?」
「これは僕だけでは無理かもしれないけど、ご飯を出すお店でゴミの処分でお金をもらえるってメルエが言ってたんだ。多分他のお店でも同じような雑用があると思うんだ。それを孤児達で出来ないかと思って。パパにもお願いしないと難しいかもしれないけど、それでご飯とかまかなえないかと思ってるんだよ。勿論足りない分は僕が頑張ろうと思うんだけどね」
「ファルエル。お前、この2日間でそこまで考えたのか。パパはお前の事を、今まで本当にすごい子供だと思ってきたが間違っていたかもしれない。ファルエルはすごい天使だ。ちゃんと分かった上でそれでも行動しようとしてるんだな。その場の思いつきだけじゃなかったんだな」
「ううん、これはメルエから話を聞いて思いついた事だから思いつきだけど、ここからなんとかして行きたいんだ。ルシェルだって2日でこんなに可憐に変われたんだから、他の子供も変われると思うんだ。環境さえあればみんな変われるよ。だって悪魔が天使になるわけじゃないんだから」
「それは、そうかもしれないな。パパに手伝えることがあったら出来るだけ手伝うからな」
「うん」
横にいるルシェルに目をやると、なぜか前と同じように目が潤んで頬がピンク色になっている気がする。
俺はまた何か余計な事を言ったのだろうか……
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