第46話 初めてのゴブリン退治
ご飯を食べ終わった俺たち3人はメルエの案内で、獣の出そうな場所に向かった。
「ルシェルは危ないから、獣がでても後ろでメルエに守ってもらってね」
「ファルエル様、お言葉ですがファルエ様も危険だと思った場合はお守りしますね」
街を離れてから1時間ぐらい歩いているがなかなか目的の獣と出会う事ができない。
「メルエ、本当にこっちであってるの?全然見つからないよ」
「ファルエル様、そんな簡単に獣や野獣が見つかったら、誰でも狩人になれてしまいますよ」
「そんなもんかな〜」
「私はみんなでお散歩できて楽しいです」
それから更に30分ほど歩いた所で遂に目的の相手に遭遇する事が出来た。
あれって・・・
「メルエあれって獣じゃないよね」
「ファルエル様、すぐにお逃げください。あれは獣ではなくモンスターです。ゴブリンです」
ゴブリンは下級のモンスターだ。
俺はあのモンスターを良く見知っていた。魔界にも害あるモンスターとして繁殖していたので、昔は良く退治したものだった。
目の前に現れたゴブリンを良く観察してみるが、魔界にいるものよりも少しだけ日焼けしているのか、浅黒い気はするが、ほとんど同じ個体に見える。
魔界でも天界でも繁殖しているこいつらにはある意味感心してしまうが、メルエの反応を見ると天界でも害あるモンスターなのは間違いなさそうだ。
「メルエ、大丈夫だから下がっていてよ」
「ファルエル様、ファルエル様は、初めて見るゴブリンの恐ろしさをわかっていないのです。早くお逃げください。ルシェルも早く逃げなさい」
「大丈夫だよ。ゴブリンの事は本で読んで良く知ってるから。天使を襲って殺したり、ひどい事をするんでしょ。尚更ほっとけないから僕が退治しておくね」
「ファルエル様、馬鹿な事を言ってないで逃げてください。もしもの事があったら私は……」
「だからね。僕は魔法が得意なんだって」
「ゴブリンは群れを成す事があります。一体であれば私でも対応できますが、数が増えれば大変な事になります」
「うん。メルエは優しいね。それじゃあやってみるから、メルエとルシェルは後ろに下がっておいてね」
「で、ですが……」
「それじゃあ行くからね」
俺はこちらに向かって来ている前方のゴブリンに対して魔法を発動する。
「ブラックバースト」
メルエ達に詠唱が聞こえないように極力小さな声で魔法を発動したが、声の大きさと魔法の威力は全く関係がないようで、ゴブリンに向かって光が集約して爆発した。
「ズドドォーン!」
その瞬間ゴブリンはこの世界から一片のかけらすら残さずに消失してしまった。
やはりモンスター相手でも俺の魔法は十二分に威力を発揮してくれた。
「うん。大丈夫だったね」
「……」
「……」
「あ〜。こんな感じだけど、天索者のことお願いできるかな」
「……」
「……」
「メルエ、どうしたの?ちゃんとゴブリン倒せたでしょ」
「……はい」
「じゃあ、天索者の事お願いできるかな?」
「……はい」
「ありがとう。助かるよ。じゃあ早速登録に行こうか」
「……はい」
メルエの反応がおかしい。さっきから「はい」しか言わない。
多分俺の魔法が思ったよりも強力だったからだと思うけど、ルシェルは全く言葉を発しない。
「それじゃあ行こうか」
「はい……」
「……」
とりあえずメルエしか、天索者の登録場所がわからないので連れて行ってもらう事にしたが、街に戻るまでのおよそ30分の間何故か、メルエもルシェルも無言を貫き、全く会話の無いまま登録所についてしまった。
流石に登録所ではしっかり喋ってもらいたいが、大丈夫なのだろうか。
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