第31話 説明
「ファルエルちゃん。ファルエルちゃんは嘘が下手ね」
「えっ?」
「だってあんなに大きな音と光がしたら誰だって気づくわよ」
「そう、かな」
「ファルエルちゃん気付いてなかったのね。まあ、あまり魔法を見た事がないからわからなかったのかもしれないわね。ファルエルちゃんの使った魔法はね普通じゃなかったのよ」
「普通じゃないってどう言う事?」
「ママもね魔法は得意な方なの。それでも『ホーリーボール』とかだと前に見せた程度なの。でもねファルエルちゃんの使った魔法の音と光は家の窓から漏れて来ただけだけど、最上級魔法といっても過言ではないレベルだったのよ」
「最上級魔法・・・・」
「そう。ファルエルちゃんの年齢で、普通はそんな事はありえないんだけどファルエルちゃんだからね。ママはその事には全く驚かなかったけど、これからは使う時に注意した方がいいわね。普通の人があれを見たら腰を抜かしてしまうかもしれないからね」
「そんなに?」
「やってみないとわからないけど、ママの最大魔法よりも威力が高そうに見えたのよね」
「ママ、それはないと思うよ。ママよりすごいなんて事はありえないでしょ」
「とりあえず、パパが帰ってきたら教えてあげましょうね。パパも泣いて喜ぶと思うわ。あの人もファルエルちゃんの気持ちを痛いほど感じていたからね」
「えっ?パパも?」
「もちろんよ〜。パパとママがどれだけファルエルちゃんの事を心配していたと思ってるの」
なんて事だ。俺の苦しみをパパまでが分かった上でそっとしておいてくれたのか。あの暑苦しいパパが俺の気持ちに気づいていたとは、全く考えもしなかった。
「ママ、もしかしてなんだけど、グランパ達も・・・・」
「ファルエルちゃん、当たり前じゃない。みんなファルエルちゃんの気持ちと頑張りには気づいてたわよ。みんなでファルエルちゃんを見守っていたのよ。もちろん魔法が使えるように応援はしてたけど、みんなファルエルちゃんが魔法を使えなくても、ずっと見守っていくつもりだったのよ」
「ママ〜うぅうう〜」
なんて事だ。グランパ達まで俺の気持ちに気づいた上で優しくしてくれていたのか。
家族の優しさが涙腺を再度刺激する。
「ファルエルちゃんは我慢して、ママ達にわからないように頑張っていたんだろうけど、みんな分かってたわよ。だってファルエルちゃん隠し事とか出来ないじゃない」
「ぼくって、そんなにわかりやすいのかな」
「そうね。ファルエルちゃんはね、すご〜くわかりやすいからね、嘘とか誤魔化したりはこれからもあんまりしない方がいいと思うわ」
俺ってそんなにわかりやすいのか。極力気付かれないように行動してきたつもりだったのに
その後ママが帰ってきたパパに魔法の件を伝えた。
「おおおおおおぉおお〜。ファルエル〜。ファルエル〜。半年前に使えたのは聞いてたけど、また使えなくなっていたらファルエルが落ち込むと思って本当に心配してたんだ。本当に使えるようになったんだな〜。パパは嬉しい。ファルエルの努力が報われて嬉しい。まあファルエルがずっと魔法使え無くても全く問題はなかったけどな」
本当にパパも気がついていたようだ。
「うん、なんとか使えるようになったみたい」
「流石だ。流石だぞファルエル〜。ううううぅうう〜」
パパまでが涙を流している。
「うううううぅう〜。パパ、今までありがとう。これからも頑張るよ」
またしても俺の涙腺が決壊してしまった。
「明日、グランパ達も呼んでみんなでお祝いだな。折角だからその時にファルエルの魔法を見せてもらっていいか」
「う、うん。わかったよ」
明日、あの魔法を見せても大丈夫なんだろうか?
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