第30話 露見
本日2話目です
「あの、ちょっと暑くて外の風に当たりたくて・・・・」
「ファルエルちゃん、そうじゃないわよね。今日は涼しいものね」
「うっ・・・・」
「お腹が空いて食べ物を探しに・・・・」
「ファルエルちゃん、家にいなかったでしょ?」
「ううっ・・・・」
「ファルエルちゃん。ママは怒っているのよ。勝手に居なくなって戻ってきたと思ったら嘘をつくなんて。ママは悲しいです」
ママにそんな顔をされたら、俺はどうしたらいいんだ。
「あのね。ちょっとお外に出てたんだ」
「うん。お外で何をしてたのかな」
「あの、魔法の練習をしてみたいなと思って」
「うん。それで練習してみてどうだったの?」
ここで答えを間違えるわけにはいかない。どうする。
「うん。頑張っていろいろやってみたよ」
「そうなのね。頑張っていろいろやってみたらどうなったのかな」
「あ〜えっとね。一応ね、出来ました」
「ファルエルちゃん、何がどうできたのかママにも分かるように説明してもらえるかな」
「はい・・・・」
これは、もうばれてるのか?ばれてるよな。でも正直に言ったら心配するよな。
「あのね。半年前に魔法が使えたでしょ、だからね魔法を使えるか試したかったんだ。それでね、お外で魔法を使ってみたらね出来たんだ。すごく小さい魔法だけだけどね」
俺はママが心配しないように本当の事にすこしだけうそを混ぜた。
「そうなのね。でもねファルエルちゃんまだ嘘ついてるでしょ? 」
「えっ?」
「ファルエルちゃんが使えたのはすごく小さな魔法じゃないわよね」
なんで・・・なんでママがそれを知っているんだ。まさか見ていたのか。いやそれはないな。どうしてだなんだ。
「うん、まあすごく小さくは無かったかな。普通に小さかったような」
「ファルエルちゃん。普通に小さくも無かったでしょ」
これは・・・もうだめなのか。だめだよな。
「うん本当はね、普通に『ホーリーボール』を使えたんだ」
「ファルエルちゃん。多分ママの事を心配して嘘をついてるのよね。嘘をつかなくても大丈夫。本当の事を教えてくれるかな」
ママ・・・俺の気持ちも含めて全部バレてる。ママは神なのか?それにしても俺が暗黒魔法を使えることだけは隠さないといけない。これだけは何としても隠さなければ。
「ごめんなさい。本当はね僕もっと大きな魔法が使えたんだ。本棚にね魔法の本があったでしょ。だから使えないけど毎日練習だけはしてたんだ」
「そう。ファルエルちゃん、よかった・・・・ううっうううううっ〜」
ああっ、ママが泣き出してしまった。俺が隠れて魔法を使った事がそんなに悲しかったのか。いや嘘をいっぱいついた事か?
「ママごめんね。泣かないで、僕が悪かったよ」
「うううっ、ファルエルちゃんそうじゃないの、そうじゃないのよ。ママ嬉しくって涙が出ちゃう」
「えっ?」
「ママこの何年かファルエルちゃんが頑張っているのを見てたから。ママ達に一切辛いところを見せずに頑張っているのを見てたから。ママ達の為に魔法を使おうと頑張ってたのを見てたから。ううううぅうう〜」
全部バレていた。ママはやっぱり神なのか?俺がこの2年半もがき苦しんでいた事を。家族の為にどうしても魔法を使えるようになりたかった事。
「ママ、うううううぅうう〜」
ママの言葉に俺の涙腺は決壊してしまった。赤ちゃんの時以来泣いたことなどなかったが、涙が止まらない。
「本当によく頑張りましたね。ママはファルエルちゃんが魔法を使えるようになった事も嬉しいんだけど、それよりもファルエルちゃんのこれまでの努力が報われた事が嬉しくって。ううっうう〜」
「ううううぅ〜ママ〜」
ママの気持ちに更に涙が溢れてきた。
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