第24話 パパ達の聖戦
リクレエルは相変わらずしらばっくれているが、こいつの態度を見ていると僕の怒りは限界を迎えそうだ。
「リクレエル、済まないが今回ばかりはお前の意思は関係ないのだよ。どうしても犯人を見つける必要があるんだ。敵が明確に僕に対して攻撃してきた事が分かった以上、一瞬たりとも放っておく事は出来ない。ファルエルをこれ以上危険な目にあわす事は出来ないのでな」
「ちょ、ちょっと待ってください。そんな横暴許されるはずがありません。断じて応じるわけには参りません」
「まだわかっていないようだな。お前の同意は必要無いといったはずだ。悪いが捕らえさせてもらうぞ」
僕が一歩前に踏み出した途端、リクレエルは背を向けて猛然と走り出して家の中に逃げ込んでしまった。
「お父さん方、行きますよ。いいですか?」
「おう、もちろんだ」
「待ちかねましたよ」
僕たちは3人で揃ってリクレエルの屋敷に向かった。
扉に鍵でもかかっているかと思ったが、問題なく開いたのでそのまま進み入る。
「リクレエル、出てこい!逃げても時間の無駄だ!」
広間のところまで進んだ瞬間、僕を狙って矢が飛んできたが、お義父さんが剣で斬り落とした。
「ラファルエル様、私は同意できないと申し上げたではないですか。ここは私の屋敷です。ここだけは、いわ
ば私の領地。踏み入った貴方は敵です。排除させてもらいますよ。皆さんあれは敵です。即刻排除してください」
周囲を見るとリクレエルの私兵らしき者達が20名ほど見て取れる。罷免されても、まだこれほどの人数を囲っているとは、やはり普通ではないな。
「お前ら僕を領主のラファルエルと知っての行動か?今なら知らなかったで許してやるがどうする?」
一応声をかけては見たが武器を下ろす者は1名もいなかった。
主人思いというべきか無法者というべきか、私の領民としては不適格と言わざるをえないな。
「それでは御三方さようなら」
リクレエルの言葉に反応して、敵が一斉に矢と魔法による攻撃を展開してきた。
矢による攻撃は、お義父さんに任せて、僕は『ホーリーサークル』を発動する。
「ズドドドドォーン」
複数の着弾があったが、この程度では僕の魔法障壁を破る事は出来ない。
着弾したと同時に今度はお父さんが前に出て
『ファイヤーブレイズ』
炎の魔法を唱えて前方へ攻撃をかける。敵も数人がかりで魔法障壁を展開してきたのでダメージを与える事は出来なかったが障壁はかなりもろくなっているようだ。
『ライトニングブレイカー』
今度は僕が雷の魔法で攻撃をかける。脆くなった障壁で防げるはずもなく、数名に命中したようだ。
障壁が消し飛んだ瞬間お義父さんが前方に躍り出て『ホーリーソード』を発動し敵陣に斬りかかる。
敵の武器など、ものともせずに武器ごと叩き斬っている。
流石はお義父さん。恐らく怒りも相当なものなのだろうが格が違う。
それでも敵は数にものを言わせて、間髪入れずに攻撃してくる。
僕も剣で矢を斬り落としながら、さらに魔法を展開する。
「ホーリーランス」
聖属性の槍を複数出現させて敵に向かって撃ち出す。
「ぐわっ!」
敵数名が倒れたが、今回は数が多いので手加減はしてやれない。
「サーティカルフレイム」
お父さんが範囲魔法を敵陣の真ん中に放つと、魔法を中心に周囲が弾けた!
爆風でリクレエルの屋敷もかなり壊れてしまったが自業自得なので気にしない。
「アイスバレット」
今度は後方からリクレエルが魔法を発動してきた。
無数の氷の弾がこちらに向けて発射されたので急いで『ホーリーサークル』を発動するが、氷の弾を防ぎ切ったところで障壁が壊れた。
悪党とはいえ、魔法を買われて領主補佐官にまでなった男だけあってリクレエルの魔法はかなり強力だ。
だが今日だけは相手が悪い。
今日の相手が怒り心頭の僕達3人だった事に後悔すれば良い。
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