第22話 決戦前
「お父さん、相談があります。今回ファルエルが襲われたのは、まず間違いなくリクレエルの手のものに間違いないでしょう。僕は奴を討ちます。捕らえて然るべき処分を与えるつもりです」
「そうか、しかし奴の手によると言う確たる証拠はないんだぞ」
「アムラエルが死んでしまった時に、偶発的な事故や通り魔的な可能性も考えていましたが、今回のファルエルの件により、意図的に殺されたのが確定しました。アムラエルの時から5年、ファルエルが生まれてから3年、これ程の長い時間、我が家を監視する程恨んでいるのはリクレエルぐらいしか考えられません」
「まあ普通に考えてそうだろうな。失脚させられた事を逆恨みしているのだろうな」
「ファルエルやお腹の赤ちゃんの事もあります。今回はたまたまファルエルが助かりましたが、3度目だけは起こさすわけにはいけません!今回の事もあれほどの大怪我を負わせてしまったファルエルに申し訳無くて。
ファルエルは一切私達の事を責めるような事は言いませんでした。親として誰がなんと言おうとファルエル達を守ります。その為にもリクレエルを倒します」
「まあ、捉えてジャッジメントを使えば真偽の程はすぐわかるだろう。ワシもアムラエルの事を忘れた日は一日たりともない。今回のファルエルの件も決して許せるものではない。無実の場合は大騒ぎになるだろうがその時はワシが責任を負ってやる。お前は何も心配せずリクレエルを捕らえる事だけ考えろ。それと大勢で乗り込んでいっては大事になるだろうからワシとお前で行こうか」
「ちょっとよろしいですか?聞く気はなかったのですが隣の部屋まで声が聞こえましてね。我が家と言われましたが、私にとってもファルエル達は家族ですので見過ごす事はできません。当然私も一緒に向かいますよ」
「お義父さん。相手も警戒しているかもしれません。危険ですよ」
「その言葉そっくり返させてもらうよ。しかも私にとってもファルエル達の危険を看過するわけにはいかない。ファルエルは今回も死にかけたんだぞ。許せるはずがない。できる事なら皆殺しにしてやりたいぐらいだ。いや必ず一族郎党根絶やしにしてやる。アムラエルの弔い合戦だ」
「お義父さん」
別室でこんなやりとりがあった事など全く知らずに、俺は魔法の事ばかり考えていた。
5日間も眠っていたせいで、痩せてしまい体力が落ちてしまったのかすぐ疲れてしまう。
ご飯を少量ずつ食べているので、すぐに元どおりにはなると思うが少し時間はかかるだろう。
お腹は空いているのだが、一度に一杯食べる力がない。
このままでは次に襲われたら対処する自信がないので、できる事ならすぐにでも剣の鍛錬も再開したい。
ただし問題はママだ。
目が覚めてからママが片時も離れてくれない。
気持ちは嬉しいし、ママが俺から離れない理由もよくわかる。
よくわかるがトイレに迄付いてきて一切俺には1人の時間が無い。
「ファルエルちゃん。ママが悪かったわ。ファルエルちゃんを1人にするなんてママどうかしてたわね。もうずっと一緒よ。ママは何処にも行かないから安心してね」
「うん。ママありがとう」
そのせいですぐにでも魔法を試してみたいのに、それが出来ない。
今度は詠唱と共に発動する可能性が高く間違っても室内では試せないので、今はどうしようもない。
ママが夜にでもいなくなるのを見計らって試してみようと思う。
それにしてもずっと椅子に座っているのはお腹の赤ちゃんに悪くはないのだろうか?
少し心配になってきた。
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