第19話 夢からの覚醒
夢の中に入れ替わり立ち替わりで家族が全員大泣きで登場してきたが、流石に疲れて意識がなくなってしまった。
なぜか長い時間眠っていた気がする。普段とは違う深い眠りから覚めて目を開いた。
目を開くと、パパとママがベッドの横に座って眠っていた。
やはり夢だったのかグランパ達はいない様だ。
それにしてもママはお腹に赤ちゃんが居るのに、椅子で眠るなんてとんでも無いなと思ったが、少しずつ俺の意識もはっきりしてきた。
俺は・・・
家の外で敵に襲撃されたんだった。
風を纏う鳥とあの兄を殺したと言う天使。
襲われて、手足が折れてしまったんだった。
俺は慌てて自分の手足を確認するが、痛くない。痛くない上に普通に動かせる。
これは夢か?
いや、普通に身体の感覚があるので骨折が治っている様だ。
おそらくママあたりの魔法による治療の効果なのだろう。
「ママ、パパかぜひくよ」
俺は椅子で寝ていた二人に声をかけた。
最初の目を開けたのはパパだっだ。
「ファルエル。ファルエル。ファルエル〜。おおっファルエル〜。すまない。よかった。よかった〜。うぅうわぁ〜」
おおっ。パパが泣いている。夢で見た以上に大粒の涙を流して泣いている。
夢で見た事があるとはいえ衝撃的だった。なんでパパは泣いてるんだ?しかも、すまないって何がだ?
パパの号泣に隣にママも目を覚ました。
俺の方を見て目が合った瞬間
「ああ〜っ。神様。ファルエルちゃん〜。よかった〜。うううぅうううう〜。誰かママ達にも連絡して。お願い」
ママも号泣し始めた。
そしてパパとママが号泣しながら俺を抱きしめてくれた。
理解が追いつかないが、2人の温もりがあまりにも気持ちが良かったので、何も聞かずにそのまま2人が泣き止むのを待った。
なかなか、泣き止まない間に今度はグランパ達がやってきた。
「おおおおぉ〜。ファルエル〜。ワシのファルエル〜。よくぞ戻ってきた。流石はワシの孫だ。おおっおおおおお〜」
グランパも号泣だった。
「ファルエル〜。偉かったな。よく頑張った。本当に頑張った。う、ううっ。うううぅう」
グランパパも泣いている。
「ファルエルちゃん。本当に頑張りましたね。本当にありがとうね。ママ達を守ってくれたのよね。ううっ。よかった。うううぅうっ」
「ファルちゃん。生きててくれてありがとう。本当にありがとうね。ファルちゃん、ああ愛しのファルちゃん、ううっ」
グランマ達までも泣いている。
せっかく泣き止みかけていたパパとママも再び火がついた様に泣き始めてしまった。
6人で俺を囲んで大泣きしている。夢で見たのと同じだ。
どうやら俺が寝ている間も同じ光景が繰り広げられていたらしい。
しかしどうしてこうなってるんだ?
俺が骨を折って寝ていたからか?
「ママ、僕はいったい?」
「ファルエルちゃん。ファルエルちゃんはね、ママに向かってきた鳥を倒したのは覚えてる?」
「うん、おぼえてるよ。そのあと痛くて気をうしなったみたいだけど」
「ファルちゃんはね、大怪我してたの。腕は両方折れていたし、足も折れていたわ。肩も脱臼していたし、恐らく頭も打っていたんだと思うわ」
「そうだったかな」
「ママが『ホーリーキュア』で骨折は治してあげれたんだけど、ファルエルちゃんの意識は戻らなくて。今日であれから5日経っているのよ」
5日・・・・
俺はあのあと5日も寝ていたらしい。
それでなのか。みんなが泣いている理由がわかった。
俺が倒れて5日も目を覚さなかったからか。
5日って普通死んでてもおかしくないな。
しかし、5日間寝たきりだったとは・・・・
やはりあの夢の中の大量の涙は俺のお漏らしか・・・
やむ終えない事情があったとはいえ、3歳になったのにお漏らししたとは・・・
恥ずかしい。誰も気にしてくれないが本当に恥ずかしい。
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