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メイフォン・ド・クリエ

女性剣士が追加されました。


メイフォン・ド・クリエ。

長尾の鳥竜を家紋に持つ地方貴族の出身であり、近衛の末席に身を置く者。


帝府近衛中将(ヴァイス・アドミラル) クラウド・ウォルドボルトの子飼いの兵である。


エルフの血が混じっている為に見目は良く、大きくクリクリとした翡翠色の瞳に長い睫毛、白磁の様な肌…その上絹のように柔らかで美しい金の髪を伸ばせば街行く者の誰もが振り返るだろう容姿をしている、が。

本人にとってそれは喜ぶべきことでは無いらしく折角の滑らかな髪も短く刈りそろえてまるで少年の様な髪型にしてしまっていた。


首から下は軍支給の上衣を羽織り、細く嫋やかな手は厳しい軽魔銀(ミスリル)と黒鉄で拵えたガントレットに覆われ肘下まで隠し、下半身も長編みのブーツに魔蚕(ヘルクロウラー)の糸を編んだ膝上辺りまでのハーフパンツ、腰のベルトには細剣が吊り下げられているものだからなおの事男じみた格好だ。


ヘルブラスカの空を行くのは5機の航空輸送機。

魔石の力で飛行するこの輸送機は、一機は特別仕様の将官用の客室を備えている。

その客室で備えつけられた左右のソファに向かい合って座るのはメイフォンと、もう一人。


「少尉、もういくらもしないうちにヘルブラスカ魔石採掘場の簡易宿舎が見えてまいります。」


小窓から見える周囲の景色は雲に覆われ、真っ白な海を潜っているような錯覚を覚える。


「…そう、ありがとう。現場を奪う様な真似をした私達をその現場に案内なんかさせてしまってごめんなさいね。」


「いえ、偉大なる帝の御為とあらば。」


型通りの口調で畏る現場への案内役を買って出た男、キュラソー。

その表情には僅かながら胡散臭くはあれど不満は感じられない、この男どうやら採掘場では救護班の医師をしていたらしい。

採掘に関わる叩き上げの荒くれよりは余程大人しいだろうと男の意見を採用し、案内役を任せている。


「私などとこうして乗り合わせて退屈でしょう?」


「まさか!貴女の様な美しい方に…っ!?」


一瞬前まで穏やかに語りかけてきていたその顔が夜叉の如き眼に変わる。


「……私を美しいなどと抜かすな。」


キュラソーが軽口を叩いた刹那、その喉元にまるで魔法の様に細剣の切っ先が突きつけられていた。


「…ま、魔法でございますか?」


恐々としながらもそんな言葉を返すこの男は度胸があるのか馬鹿なのか。


「ただの抜剣術(ぎじゅつ)よ。」


ため息ひとつついて剣先と視線を外す。

表情は笑顔とはいかずとも穏やかなものへと戻っている。


「私はとうの昔に女であることを捨てています。女である前に私は閣下の忠実なる刃でありたいから。」


「クラウド・ウォルドボルト閣下…それ程の御仁ですか。」


「ええ、素晴らしいお方よ。」


小さな覗き窓から入る日の光に照らされたその横顔は美しかった。一瞬前までの剣呑さが嘘のように。


「メイフォン少尉、キュラソー殿…見えて来ましたよ、あれがヘルブラスカ魔石採掘場です。」


輸送機のパイロットからの言葉に窓を見れば、周りを覆っていた雲が晴れ、地上の景色が目に飛び込んで来る。赤茶けた岩肌、採石のために切り崩された山の一部…周囲を平野に囲まれながらこの一帯だけに尖った岩山が点在している。


地獄(ヘル)噴出(ブラスト)する地。

先住民族がそう呼んだ事からついた呼び名。


ヘルブラスカ。


「ただの岩山に物々しい名をつけたものだ。」


「先住民はこの地に悪魔が眠るなんて嘯いていましたがね、まあ迷信の類でしょう。」


キュラソーの言葉にパイロットも笑って同意し、メイフォンもまた失笑する。


しかし。

これが的を得た話だとは、この時誰一人思わない事だった。



…ハーレムとかの予定ではないけど、でも華やかな方が楽しいかねぇ…?

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