こだわり
私の手には終えなくなりました。
「ふぅ……全く面倒な……」
辺りに散らばるのは死屍累々。頭部、腕、脚……それぞれが、それぞれバラバラに切断され、床に転がってる。廃棄処分の決定した人形のように。
コツリ、コツリ……。不意に足音が部屋に響き渡る。どうやら、廊下から此方に向かってくるようだ。それも一人では無い、ザラザラとした漣が押し寄せてきた。
ゴミを見る冷たい目をしたまま、ガラクタの山から立ち上がる。袖内に丸められた指が弾き伸ばされ、その指一つ一つに嵌められた指輪が月光に当たり輝いた。
「あぁ……本当に面倒な……」
──まぁ、私の敵ではありませんがね。
恍惚とした目のまま腕を伸ばし、糸を張る。この空間一体に蜘蛛の巣を張り巡らせたかのように、緻密に、細かく。そして彼は待ち侘びる。獲物の大群が掛かるのを。
「さぁ、いらっしゃい。私の巣の中に」
断末魔が響き渡るまで、後数秒。
「ご苦労さま」
「恐れ入ります」
インペラトルの言葉に恭しく一例をする。優雅な身のこなしは上流階級に仕える使用人のようだ。
気品あるペルシャ猫のようなドヤ顔をかます反面、インペラトルは懐っこい犬のような顔で、「あぁ、そうだ」と口を開く。
「人形好きだが……」
「言わずもがな、大好きですよ。アガルマトフィリア、ネクロフィリア等々、世の中には〇〇愛者、と呼ばれる言葉が存在しますが、あれはあくまでも、“あくまでも”、プラトニックさが良いのです!!」
新しいキャラが出来たので、どんな子かを形づくるために書きました。
ワイヤー使いって恰好良いなぁ……。と今日この頃。
ヤンデレ(怒鳴らない、叫ばない)は可愛い……。