プロローグ:現在
「酔ったかもな」
彼キリス=クルハードは冒険者の町トータスに行く定期馬車の中で言った。
彼が何故この馬車に乗っているかというと、数日前に戻る。
〜数日前〜
「旅に出たいんだが。」
キリスは、育て親である神父レイ=ベルドルドに話した。
「それはまた急ですね。何かあったのですか。」
ゆったりとした口調でレイが言った。
「あんたに拾われてから、この生活にも慣れたが・・・何かが足りないんだ。具体的には言えないんだが。」
「まあ思春期ですからね〜。色々あるんでしょう。あなたの場合は5年前のことを引きずっているのでしょうがね。」
「・・・」
キリスは今年で17歳になるが、あの時のことは鮮明に記憶している。炎に包まれる城下町、魔族に殺される親しい人々。城壁の門から出てからがよく覚えていないが。
「あなたを見つけたのは奇跡と言ってもいいかもしれませんね。もし、私が気まぐれで近くを通らなかったら生きていなかったでしょう。」
「感謝している。あんたのおかげでいろいろ学べたしな。」
レイは何故かいろいろなことを知っている。短剣の扱い、魔法の使い方、哲学的なこと・・・彼がいなかったら何も考えずにただ魔族に復讐していただろう。キリスにとってレイは尊敬できる人の筆頭だった。しかし・・・
「それではこれで馬車の乗車券を買ってきなさい。」
レイはウィン銅貨を1枚渡した。
「あんたが冗談を好きなのは知ってるがな・・・。これはないだろうが!子供がおやつを買うんじゃないんだぞ!」
ウィン銅貨=100円ぐらい
「私は本気です!」
「真面目にやれ!」
コントになっている彼らだった。
〜出発の日〜
「それでは行ってらっしゃい。たまには戻ってきてくださいね。」
「ああ、行ってくる。」
とりあえず出発の準備ができ、旅に行くことになった。持ち物はあまり無かったのだが教会の近所の方々がお祝いだとかで色々やってくれたので、出発が遅れてしまった。
「それと三つほど言いたいことがあります。」
「なんだ?人が行こうとしたときに。」
「一つは、一応あなたは姓を隠したほうがいいでしょう。」
解説していなかったがクルハード家は古い貴族の家柄であり、かなり有名である。隠さなくてもいいのだが、とある組織には貴族をかなり敵視しているものがあり没落した貴族さえも殺すという暴挙にいたっている。
「二つめは、出来るだけ友好的に相手と話すこと。無愛想に話していると仲間も集まりませんよ。」
旅には危険が伴う。魔族だけでなく、魔物という凶暴な生き物がいたり、病気になったときなど様々なことがある。できるだけ仲間を連れていくのが鉄則となっている。
「昔のあなただったら心配でしたがまあ今なら大丈夫でしょう。ツッコミを鍛えたかいがありました。」
(そうなのか?多分嘘だろうが。)
「三つめは・・・自分をすべて大事にしてくださいね。」
レイの顔が悲しみを持ったような気がした。
すべてという意味がよく分らないがとりあえず、うなずいておいた。
「ああ、すべて了解した。それじゃ行ってくる。」
馬車のほうへ行こうとしたときだった。
「ああ、忘れるところでした。」
「何だ?」
「これを。」
レイは紙袋に包まれたものを渡してきた。
「それには剣が包まれています。短剣で旅をするのは難しいですよ?」
人間相手ならいいが、魔物などは生命力が高いため短剣だと不利なことが多い。
「いや、向こうに着いたら買おうと思っていた。あまり扱ったことがないが。」
「私は剣を使えませんから教えてないですからね。私が教えた短剣の扱いは・・・まあ、あれですからね。あまり使わないに越したことはないでしょうから。」
「それじゃ今度こそいってくるな。」
「あなたに神のご加護がありますように」
最後に神職らしい言葉をレイはケイオスに送った。
〜現在〜
「あれがトータスか。」
冒険者の町らしく町は遠目に見てもにぎやかだった。
ここから冒険が始まる。新しき冒険者を祝福しているように、空は快晴だった。
初めてだから投稿するたびに緊張しますね。でもがんばって最後まで書いていきたいと思います。




