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突然の再開

アカザを見つけてから私は迷った。

アカザが人間の横にいてしかも手の甲に契約印があったということはアカザは間違いなくセルト王の契約竜になったのだと思う。それに、王族の契約竜となればたとえ知人であろうとそれなりの地位がなければ今すぐに面会する事は不可能だろうと考えた私はレインと共に町外れの家を借り、しばらくレイグレイスで暮らすことにした。決して広くはないがレインと2人で暮らすには十分な広さだったし、家の周りにある小さな森はレインの絶好の遊び場だった。

「ただいまー‼ 」

「レイン、まず着替えておいで。着替えてきたら夕ご飯作るの手伝ってくれる ? 」

「はーい‼ 」

レインが部屋に駆け上がって行ったのを確認するとシチューを作る準備をする。

レインは好き嫌いがないから今日は野菜たっぷりのシチューにしようかな•••そうだ、この前おまけでもらったチーズを入れてみようかな•••そんなことを考えながら準備をしていると着替えたレインがやってきて、レインと一緒にシチューを作っているうちにあっという間に日がくれた。

そしてシチューが完成した頃に扉を叩く音が部屋に響いた

「頼む‼ 開けてくれ‼ 怪我人がいるんだ‼ 」

聞こえてくるのは男性の声で、とても慌ててるようだった。

「レイン。奥の部屋に行ってなさい。」

「ん。」

レインに合図をするとレインは奥の部屋に走って行く。

そして、太ももにくくり付けていた短剣を取り出しドアを少しだけ開けて尋ねる。

「どなたですか? 」

「頼む‼ 怪我人がいるんだ。 少しでいい、休ませてくれ」

どうやら本当に怪我人がいるようで、ドア越しに感じる二人分の息は荒かった。

訪問者の顔を見るためにドアを少しだけ開けると、そこにはレイグレイスの王セルト・レイグレイスがいた。

「な•••‼ セルト王⁉ なぜここに⁉」

「夜分遅くにすまない‼ 少し休ませてくれ、こいつが怪我をしたんだ」

「こいつ•••? 」

こいつと呼ばれた人はセルト王が肩を借りぐったりとしていて意識もないようだった。

セレナにとって怪我人を見るという事などは闘技場では日常茶飯事だったので血が怖くて動けない、などということは過去に一度もなかった。

しかし、今セレナはあまりのショックに動けずにいた。

赤い髪、閉じられた鋭い目、額にある小さな傷そして、腰にさしてある刀。

セルト王がこいつと呼んだのはセレナが追い求めていた赤竜のアカザだった。

「セレナ‼ セレナ‼ 誰かがこの家狙ってる‼ 」

「レイン⁉ 」

私がフリーズしている間にレインが奥の部屋から出て来てセルト王達を家に引っ張り込んでいる。

「ここまで来たか‼ 」

「早く家の中に入って‼ 」

「と、とりあえず中にお入りください。」

セルト王達を家に招き入れ、アカザを寝室に運ぶ。

「レイン、どこにいるかわかる? 」

私が尋ねると、レインは青い目で窓から森の方を見る。

「•••えっとね、森に4•••5人かな。でも、様子を見てるだけ見たい。多分僕に気づいたんじゃないかな。」

「ありがとう。じゃあレイン、桶に入ってる水と薬草棚から傷薬持ってきて。あと、タオルも。あいつらが様子を見てる間にアカザの手当をしちゃいましょう。」

「分かった‼ 水と薬草とタオルだね‼ 」

レインが勢い良くかけ出して行くのを見てセルト王が口を開く

「すまない。奴らがここまで•••こんなに速くやってくるとは思わなかったんだ。君たちを巻き込むつもりはなかったんだが•••本当にすまない。」

「あの森に隠れているやつの事ですか? 大丈夫ですよ。レインがいますから。」

「レイン•••? と、言うとさっきの小さい子か? 」

「持ってきたよー‼ 」

「はい。ありがとう。じゃあ、血と土を拭き取ってくれる? 」

「うん‼ 」

レインに手伝ってもらい、アカザの手当を素早く終わらせる。

アカザの手当を終わらせたら、とりあえず森に隠れている奴らをシメよう。

セルト王の話聞くとアカザに怪我負わせたの奴ららしいし。

そんなことを考えながらアカザに毛布をかけて、太ももにくくり付けていた短剣を

取り出す。

「ではセルト王様。私とレインは外の人たちをシメて来ますので、セルト王はここでアカザを見ていてください」

私とレインがドアに向かって歩き出すと、セルト王が声をかける

「ちょっと待て‼ 竜のアカザでさえかなわなかったんだぞ‼ 君たちだけでどうにかなる相手じゃない‼ 」

「セルト王。私、体術ならアカザより強いんですよ。」

「君が•••? 」

「無敗の舞姫は見えない翼を持っている。その翼が出す速さは竜ですら圧倒し、人を魅せる。

無敗の舞姫がゲートから出てくる時に使われた言葉です。」

「無敗の舞姫•••? 」

「はい。もう双剣はありませんが、鍛錬はくせになってしまって欠かさず続けてましたから。腕は鈍ってません。だから、大丈夫ですよ。」

「大丈夫な訳ないだろう‼ おいっ‼ 」

とりあえず、叫んでるセルト王を無視して外に出る。

「レイン、扉を押さえてて。セルト王が来ると面倒くさいから」

「はーい‼ 」

レインに扉を任せて森を見据える。敵は5人。気の影に隠れているのが3人、あとの2人は木の上にいる。

「さてと、人の家の前で何をしているの? 」


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