五歩目
「えっ?」
女王は一瞬相手が何を言ってるんだという顔をしたが元に戻して凛々しい顔立ちに戻った。
「勇者が魔王になれたら、もう倒されることはないんじゃないですかね」
「そうかもしれませんが魔王ですよ。魔物の頂点に立つ人ですよ。人間にとっては嫌なんじゃありませんか?」
「自分は魔物娘が好きですので問題ないです。それにここにいる魅力的な魔物達を殺すなんて考えれません」
その言葉を聞いた女王の子供達は頬を赤く染め照れている。
「あらあら。勇者さんは子供達に興味がおありなようで」
子供達はなかなか可愛らしい反応をしてくれるが、女王の反応を見ようとちらりと見ると…… なんか雰囲気がどす黒くなったような。それに眉間に皺を寄せて、仇を見るかのように睨んできてる。
女王の反応に心の中で冷や汗がだらだら出てくる。
もしかしたら言葉を間違ったかもしれない。フォローして置こう。
「自分は女王様にも興味がありますよ」
「あら…… 勇者さんに言われると複雑ですね……」
まさか自分も言われるとは思ってもみなかった女王は、顔を赤らめながら困った表情をしている。
それと同時に睨んでた目も柔らかくなって、雰囲気も明るくなった気がする。
心の中で冷や汗を拭い、あえてドヤ顔で言おう。
フォロー大成功。
「勇者は肩書きだけですので関係ないです。自分は一人の男として興味があるのですから」
その言葉を聞いた女王は、真っ赤になった顔を冷ますため、両頬に手を添えて黙って照れている。
凛々しい顔とのギャップと違い、意外に初な反応に可愛いと思った。
「魔王と認められるにはどうすればよろしいですか?」
「魔物にもそれぞれ種族があり、その種族の族長に認めて貰えればその種族では魔王になります。ジャイアントアントでは私が族長ですので、私に認められてジャイアントアントの中では魔王になります。ちなみに魔物の族長の人数は多くて私にも分かりません」
「…… 自分の寿命が尽きる前に魔王に認められるかな」
女王からの説明を聞いてたが、自分のネットなどの知識で知ってる魔物の数でさえそれなりに知ってるが。
この世界では自分の知らない種族もいるかも知れないからどれほどいるだろう……
考えてた計画を変えないといけなくなった。
計画では魔王になったあと、勇者として人間の前に現れて和平交渉をさせるつもりだった。
とにかく魔王になることは絶対だ。
魔物娘の為にこの世界に来たのだから守らなくては。
まずはジャイアントアントに魔王に認められなくてはならない。
「それでは女王様はどうすれば自分を魔王と認めてくれます?」
「私と交尾して子供を作って下さい」
「マジですか!?」
俺は女王の言葉に素で反応してしまったが、そんなことは忘れてこの後のことを考えていた。期待に胸が膨らむんで、ついでに息子と鼻の穴が膨らんでいた。