弟?息子?が欲しいです。
「まぁ~~カワイイ!!」「抱っこさせて~~!!」
この、お屋敷に勤めておられる華ちゃんが自分の赤ちゃんを連れて出勤されました。
華ちゃんは多分、私より年下?彼女は私の身の回りのお世話をして貰っています。
華ちゃんはここの、お屋敷の女房さんのランクで言うとNO4.勿論、NO1は萩さん。
その華ちゃんは三ヶ月前に出産されました。今日はその赤ちゃんのお披露目も兼ねています。
そして、私は忙しい華ちゃんに代わって1日だけのベビーシッターなのです。
華ちゃんの赤ちゃんの名前は「力丸くん」メチャメチャ可愛いのです。私はこう見えても子供は大好きなので。この力くんは、まるで「動く人形」そのものです。見ていても飽きません。癒されています。
「オギャー、オギャー・・・・」
大変です。力くんは、お腹を空かせているみたい。仕方なく、華ちゃんの所へ連れて行くしかありません。だって、この時代は人工ミルクなんて無い。母乳のみです。
私は軽くなった腕が何だか寂しいです。
「ハァー・・・・・」
「凛。ため息なんか付いて如何した?」
「ねぇ、鷹くんってさ~。小さい弟が妹はいないの?」
「いない。」
「じゃあさ~、鷹くんの子供は?」
「・・・・子供?誰の子供だ。」
「だから、鷹くんの。」
「・・・・・・いるわけがないだろう!!」
「何故?」
「・・・・何故って。俺は結婚はしていない!」
「でも、彼女の1人や2人はいるんでしょう?だって、この時代の貴族様って言えばアッチ、コッチに彼女を囲っているもんでしょう?」
「ハァー!!おまえは馬鹿か!!貴族が皆、そうとも限らん!」
私は知りませんでした。私は学生時代に古典の授業で習った「源氏物語」の話し。光源氏がアッチ、コッチに彼女を作って、そして出来た子供を使って政治舞台に立つって内容だったと記憶しています。
だから、みんな同じだと思っていたのです。
「なんだ~。つまらん!!」
「何故、そのような事を聞く?」
「だって~~。私ね今日、華ちゃんの赤ちゃんのお守りをしていたのよ。すっごく可愛くてさ、私も欲しいなぁ~と思って。」
「・・・・・・おまえ、子供を犬や猫と同じだと思ってないか。」
「・・・・・・でも、可愛いし、癒されるよ~~!」
私は鷹くんに子供が欲しいと言ったんですけど、呆れて何所かへ行かれました。
私はそれから良い事を思いついたのです。
「令!・・・れ~~~い~~~~!!」
私の呼ぶ声で令は私の目の前に現れました。きっと令は私の願いを叶えてくれると思います。
「ねぇ、ねぇ。令は私とずっと一緒に居たい?」
「そうだな。我も凛と居たいぞ。」
私は「同意」と言う事として令にお願いをしてみました。
「ねぇ、令てっさ子供にも赤ちゃんにもなれるのよね?」
「そのような事は簡単だ。」
「じゃあさ、赤ちゃんとか3歳くらいの子供にもなれる?」
「御衣」
すると、令は3歳くらいの子供に変身しました。まぁ!なんて可愛いの~~~!!
「凛。これで良いのか?」
私はコクコクと首を振って思わず令に駆け寄ってしまったのです。
私は思わず「令くん。お姉さんのお膝においで!」と言ったら、令はピョコンと私の膝に飛び乗ってくれるではありませんか!!もう~~!お姉さんはメロメロです。そして令を抱きしめたのは言うまでもありません。本当に、癒されます。
そういうわけで私の「弟」になりました。
でも、令くんは・・・きっと訳が分かってないでしょう。
「令くん。これからはずっと私と一緒だからね!!今日は一緒に寝ようね♪」
「・・・・・・我はずっとこのままなのか?・・・・・凛。」