ただの邪神に堕ちただけ
私の厨二病の趣味に振り切った小説です。
俺、サイキョーじゃん! 〜スキル無限蘇生を手に入れたけど、何かがおかしい〜
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このダンジョンを作ったのもこの魔女です。合わせてお楽しみください。
とある街に、その女はいた。
齢16にして、最強最悪の魔女となった。
もっと。──────もっと、人の悲鳴が聞きたい。
ただ殺すなんて、つまらないことはしない。もっと、人間の、根源的な恐怖を湧き起こすような、凄惨な死を。
彼女の頭の中は酷く澄んでいた。
「〜〜♪」
鼻歌が歌われる。ご機嫌な少女に、周りにいた人達も笑顔になる。
彼女は、通りかかった親子に目をつけた。
指さして、言う。
「PON♪」
ぽんっ、と化け物に変わったのは、その子の親だった。
「きゃあああぁっ!!」
平和な街に現れる、異形の化け物。
「あ、あ、か、カレンチャン、チャン、ちゃ、あああああ」
複数ある頭から人の声が放たれて、そのまま娘であった子を抱き抱える。
「いやーーッ!!」
あまりの怪力に、痛みに悶えながら潰れゆく少女。
やがて衛兵が来て、化け物は倒される。涙を流しながら。
魔女は、屋根の上からそれを見つめていた。
「あぁ……いいリフレッシュになった」
伸びをして、空を見つめる。
「うん────────いい日だ」
悲鳴木霊すその街に、断罪の炎は燃えない。
ただ、そこには耐え難い悪意を持った魔女がいて。
彼らは、その日のサラダのように悪意に食べられてしまったのだった。
──────────
「なんと……この村から、勇者が生まれるとは!」
同じ村から、勇者が生まれた。15歳の時に行われる、啓示による。
「……俺は、必ず成し遂げたいことがある」
少年は拳を握りしめた。
「俺の母さんを化け物にして、カレンを殺した魔女を狩ることだ」
少年の目は復讐の炎に燃えていた。
『よろしい。貴方にこの力を授けましょう。それは、悪意を感じ取る心。それは、燃える炎。それは、割れる山。それは、現実を書き換える力』
真っ白に光る神々が彼を囲み、その光を分けていく。
「……ありがとう。俺は、必ずかの魔女を狩る」
そしてすぐ感じる、肌のひりつくような悪意。
少年は左の方に目を向けた。
そこに佇む、一人の少女。何の変哲もない。
「悪意の源は──────お前か」
少年の額に青筋が浮かぶ。
「あぁ……バレちゃった?」
少女───────魔女は後ろの方へ体を傾けながら空を飛び、教会の窓を割って空へ飛んでいく。
「ハルマゲドン」
瞬間、空に現れる真っ赤な隕石。それの行先は、少年。
やがて響く、人々の悲鳴。
「必ず────────殺す!!!」
少年は空を飛んだ。
ーーー
隕石に向けて拳を向ける。
「っ、重いっ」
ドォォオン、と大きな音がして、隕石が割れる。
魔女は街に行き、人々を指さす。
「ぽぽぽぽ、PON!!」
「ぎゃああああっ」
異形の化け物に変わっていく人々。
化け物は空を飛び、少年に向かう。
「レイトく、くん、んんんんあああああ」
「っ、ハノンさん……!」
親戚や、知り合いが、化け物になって少年を襲う。
「はい、GO!!」
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ」
化け物が叫びながら少年に向かう。
「くそっ」
手から鎖を放ち、化け物達の体に絡める。
「!?」
しかし、予想外にその鎖が締まっていく。
「クルシィ、クルシィッ」
「な、なんでだ!?」
やがて、ビチィッと音を立てて、縛られすぎた化け物が爆ぜた。
血肉が跳ねる、花火のように。
少年は呆然と血肉を浴びる。
「あ……」
鎖が手から落ちる。
「あはははっ!! いいねぇ、凄くリフレッシュできる感じ。スカッとするよ」
魔女は笑う。まるで子犬が転けたかのような、爽やかな笑みで。
「この────────邪神がああああっ!!」
少年が殴り掛かった。
パチン、と魔女の指が鳴る。
山が動いた。抉り取られた山が少年に向かって飛んでくる。
「っあ゙あ゙っ゙うぜえ!!」
少年が腕を振り下ろすと、山は爆ぜて地面へと落ちていった。
「きゃあああ!」
その土石の下敷きになって、また人が死ぬ。
空気のヒリつきに、魔女は笑う。この興奮、耐え難い。
「肌を冷やそう」
魔女は空高く飛んでいく。
「待てっ!!」
少年は空を飛んで追う。
「おらぁっ!!!」
今度は少年の番だ。少年は炎を生み、魔女を襲う。
「っひひ、浴びたら一溜りもなさそうだ」
炎に追われながら空を飛ぶ魔女。
魔女は少年の元まで瞬間移動し、少年の頭を掴んだ。
「!!」
パァン!! と頭が爆ぜる。
「よし、終わるかな?」
しかし、そこに少年の意志の残滓が残った。
(必ず、殺すと、決めた───────!!)
現実改変が働く。
メキッ、と頭が生える。
彼の死はなかったことになった。
「へぇ、負けゲーじゃん。そそらん」
つまらなそうに言い放つ。
魔女は少年の心臓に、人差し指を突き立てた。
「じゅっ」
「あ゙あ゙あ゙あ゙っ゙!!」
心臓に焼ける痛みが走る。
痛みのあまりに蹲っていた。
「ふんふふーん」
その鼻声を最後に、魔女は消えた。
収まらない痛みのまま、周りを見渡す少年。
「どこに、行った、魔女ぉぉぉぉッ!!!!」
魔女は、その世界にはもう現れなかったという。
────────
また、別の世界で。
「はい、PON!」
業火に焼かれぬ罪過が、まかり通る日だった。




