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ただの邪神に堕ちただけ

作者: 砂之寒天
掲載日:2026/08/10

私の厨二病の趣味に振り切った小説です。

俺、サイキョーじゃん! 〜スキル無限蘇生を手に入れたけど、何かがおかしい〜

https://ncode.syosetu.com/n9677mo/

このダンジョンを作ったのもこの魔女です。合わせてお楽しみください。


 とある街に、その女はいた。


 齢16にして、最強最悪の魔女となった。


 もっと。──────もっと、人の悲鳴が聞きたい。


 ただ殺すなんて、つまらないことはしない。もっと、人間の、根源的な恐怖を湧き起こすような、凄惨な死を。


 彼女の頭の中は酷く澄んでいた。


「〜〜♪」


 鼻歌が歌われる。ご機嫌な少女に、周りにいた人達も笑顔になる。


 彼女は、通りかかった親子に目をつけた。


 指さして、言う。


「PON♪」


 ぽんっ、と化け物に変わったのは、その子の親だった。


「きゃあああぁっ!!」


 平和な街に現れる、異形の化け物。


「あ、あ、か、カレンチャン、チャン、ちゃ、あああああ」


 複数ある頭から人の声が放たれて、そのまま娘であった子を抱き抱える。


「いやーーッ!!」


 あまりの怪力に、痛みに悶えながら潰れゆく少女。


 やがて衛兵が来て、化け物は倒される。涙を流しながら。


 魔女は、屋根の上からそれを見つめていた。


「あぁ……いいリフレッシュになった」


 伸びをして、空を見つめる。


「うん────────いい日だ」


 悲鳴木霊すその街に、断罪の炎は燃えない。


 ただ、そこには耐え難い悪意を持った魔女がいて。


 彼らは、その日のサラダのように悪意に食べられてしまったのだった。



──────────


「なんと……この村から、勇者が生まれるとは!」


 同じ村から、勇者が生まれた。15歳の時に行われる、啓示による。


「……俺は、必ず成し遂げたいことがある」


 少年は拳を握りしめた。


「俺の母さんを化け物にして、カレンを殺した魔女を狩ることだ」


 少年の目は復讐の炎に燃えていた。


『よろしい。貴方にこの力を授けましょう。それは、悪意を感じ取る心。それは、燃える炎。それは、割れる山。それは、現実を書き換える力』


 真っ白に光る神々が彼を囲み、その光を分けていく。


「……ありがとう。俺は、必ずかの魔女を狩る」


 そしてすぐ感じる、肌のひりつくような悪意。


 少年は左の方に目を向けた。


 そこに佇む、一人の少女。何の変哲もない。


「悪意の源は──────お前か」


 少年の額に青筋が浮かぶ。


「あぁ……バレちゃった?」


 少女───────魔女は後ろの方へ体を傾けながら空を飛び、教会の窓を割って空へ飛んでいく。


「ハルマゲドン」


 瞬間、空に現れる真っ赤な隕石。それの行先は、少年。


 やがて響く、人々の悲鳴。


「必ず────────殺す!!!」


 少年は空を飛んだ。


ーーー


 隕石に向けて拳を向ける。


「っ、重いっ」


 ドォォオン、と大きな音がして、隕石が割れる。


 魔女は街に行き、人々を指さす。


「ぽぽぽぽ、PON!!」


「ぎゃああああっ」


 異形の化け物に変わっていく人々。


 化け物は空を飛び、少年に向かう。


「レイトく、くん、んんんんあああああ」

「っ、ハノンさん……!」


 親戚や、知り合いが、化け物になって少年を襲う。


「はい、GO!!」

「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ」


 化け物が叫びながら少年に向かう。


「くそっ」


 手から鎖を放ち、化け物達の体に絡める。


「!?」


 しかし、予想外にその鎖が締まっていく。


「クルシィ、クルシィッ」

「な、なんでだ!?」


 やがて、ビチィッと音を立てて、縛られすぎた化け物が爆ぜた。


 血肉が跳ねる、花火のように。


 少年は呆然と血肉を浴びる。


「あ……」


 鎖が手から落ちる。


「あはははっ!! いいねぇ、凄くリフレッシュできる感じ。スカッとするよ」


 魔女は笑う。まるで子犬が転けたかのような、爽やかな笑みで。


「この────────邪神がああああっ!!」


 少年が殴り掛かった。


 パチン、と魔女の指が鳴る。


 山が動いた。抉り取られた山が少年に向かって飛んでくる。


「っあ゙あ゙っ゙うぜえ!!」


 少年が腕を振り下ろすと、山は爆ぜて地面へと落ちていった。


「きゃあああ!」


 その土石の下敷きになって、また人が死ぬ。


 空気のヒリつきに、魔女は笑う。この興奮、耐え難い。


「肌を冷やそう」


 魔女は空高く飛んでいく。


「待てっ!!」


 少年は空を飛んで追う。


「おらぁっ!!!」


 今度は少年の番だ。少年は炎を生み、魔女を襲う。


「っひひ、浴びたら一溜りもなさそうだ」


 炎に追われながら空を飛ぶ魔女。


 魔女は少年の元まで瞬間移動し、少年の頭を掴んだ。


「!!」


 パァン!! と頭が爆ぜる。


「よし、終わるかな?」


 しかし、そこに少年の意志の残滓が残った。


(必ず、殺すと、決めた───────!!)


 現実改変が働く。


 メキッ、と頭が生える。


 彼の死はなかったことになった。


「へぇ、負けゲーじゃん。そそらん」


 つまらなそうに言い放つ。


 魔女は少年の心臓に、人差し指を突き立てた。


「じゅっ」

「あ゙あ゙あ゙あ゙っ゙!!」


 心臓に焼ける痛みが走る。


 痛みのあまりに蹲っていた。


「ふんふふーん」


 その鼻声を最後に、魔女は消えた。


 収まらない痛みのまま、周りを見渡す少年。


「どこに、行った、魔女ぉぉぉぉッ!!!!」


 魔女は、その世界にはもう現れなかったという。


────────


 また、別の世界で。


「はい、PON!」


 業火に焼かれぬ罪過が、まかり通る日だった。

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