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亜里野ストーリー  作者: 与志野 音色
1章 神界高校、文化祭編
9/18

9話 隙

銃声が降り注ぐ。

爆ぜる火花、砕ける瓦礫、跳弾が地面を穿つ。


YOU diedの祝福“FPS”は、まさに一人で戦場を作り出す祝福だった。三人は距離を詰めるどころか、息をするだけで精一杯。


「ハァ……ハァ……クソッ……化け物かよ……!」


翔馬は肩で息をしながら、YOU diedの銃撃を紙一重でかわした。


「さっきまでの勢いはどうした?左腕とサメの時はもっと余裕があったぞ。」


冷たい笑みとともにYOU diedが銃を切り替えるたび、空中に存在しなかったはずの武器が生まれ続ける。


だが——


与志野が、地面に転がる空薬莢に目を留めた。


「待て翔馬、あいつさっきから……」


翔馬も同時に気づく。


(武器を出すタイミング……必ず数秒の間が空く……!?)


YOU diedが銃を乱射した直後、

ほんの短い間、彼は武器を切り替えられない。


まるでリロードでもしているような動き。


「……なるほどな、無から武器を作るとはいえ連射直後はクールタイムがあるってワケか……!」


翔馬が言うと、YOU diedは僅かに眉を動かした。


(バレたか……まあ俺の祝福を見抜いた所で決定打にはならない)


「俺が隙を作る!!」


田野が前に出る。


「翔馬……今だろ!行け!!」


田野の少女が蒼の光を背にまとい、翔馬の足に追い風のように力を与える。


同時に少女は腕の傷を回復させ、翔馬に再び動きのキレが戻った。


YOU diedが銃を構え直す。


――だが弾倉は空。


その瞬間を逃さず、与志野が割って入った。


「thousand fingerrrr!!!」


ガキン!!!!


その連撃はいとも容易く盾に弾かれたがYOU diedの視界を防ぎ時間を稼ぐには十分だった。


YOU diedが指を鳴らし、次の武器が構築される。


武器が構築されるまでの瞬き程のほんの一瞬。


三人は、その刹那に懸けた。


(構築が速い……!!でも……届く!!掴んで軌道さえずらせば……!!)


青白い少女の手がYOU diedの持つマシンガンに届いた、その瞬間。


ドガァァン!!!


YOU diedの蹴りが田野の腹に直撃した。


「うっ!!」

「武器に注意が向きすぎだ」


少女が受け止めるが衝撃は逃がしきれず、田野は吹き飛ばされた。


ドゴォォ!!!


壁に衝突。


「田野!!」


「クソ……翔……馬……」


田野は落ちてくる壁のコンクリートをモロに受けながら失神した。


同時に与志野も、YOU diedの手榴弾で吹き飛ばされる。


「ぐっ……は……ッ!!」


瓦礫に叩きつけられ、動けない。

二人とも、戦闘不能。


「さて……フィナーレだ。」


翔馬は唇を噛んだ。


だが次の瞬間、踏み込んでいた。


「まだ俺がいる!!」


YOU diedの目が見開く。


「馬鹿の一つ覚えだな……亜里野!!」


「double step!!」


翔馬の姿が消えた。


(覚えたぞ……あいつの速度!一撃は喰らうだろうがカウンターで確実に殺せる!)


「ッ……今だ……ッ!!」


右足に蒼光が奔り、空気が裂ける。


(確かに速い……だが動きは単調!!当てられる!!確実に!!)


「YOU died!!!」


勢い良くマシンガンの引き金が引かれた。


カチッッ。


「なっ……!?」


(玉が……出ない!!?)


そんな筈はない、このマシンガンは生成したばかりの物...…そこまで考えた所でYOU diedは気づく。


「田野か!!!」


(そうか!少女が俺の武器に触れた時!一瞬で俺のマシンガンに細工しやがった!)


「最高だ田野……!!」


(しまっ――)


翔馬の身体が弾丸のように直進し——


ドゴォォォォッ!!!


踵がYOU diedの頬に直撃した。

衝撃波が周囲の瓦礫を吹き飛ばす。


YOU diedの身体が横に流れ、地面に叩きつけられる。


「ッ……ガッ……!!」


翔馬は着地し、肩で息をしながらYOU diedを見据えた。


「これ以上お前に……何も壊させねえ!!」


YOU diedの瞳が揺れる。


その揺れは、痛みではない。

誰かの声が脳裏に割り込む。


翔馬が追い打ちのように叫ぶ。


「お前は俺が倒す!!」


YOU diedの視界が揺らぐ。


「ゴホッ……少し……見くびっていたな……田野の祝福にあそこまで精密さがあるとは思わなかった」


——やめろ優大!

——お前は俺が止める!


あの声が、顔が、手が。


「あーイライラする……」


YOU diedは頭を押さえ、歯を食いしばった。


「チラつくなぁ!!」


YOU diedが再び大量の武器を生成する。


翔馬は構え直した。


「お前……」


YOU diedは何も言わなかった。


ただ、記憶の奥で誰かが——

今にも名前を呼ぼうとしていた。

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