恋のアタックー1分で読める1分小説ー
彼は、彼女に恋をしていた。
それは、燃えるほどの情熱的な恋だった。
だが彼が何度アタックしても、彼女は拒否した。それどころか彼の姿を見ると、悲鳴を上げて逃げ回った。
それを気の毒に思った神様が、彼の元にあらわれた。
彼は苦しげに顔をゆがめた。
「神様、どうしてでしょうか。何度アタックしてもだめなんです」
「……アタックって、文字通り突進するって意味じゃないからな。おまえ、ただでさえ足が速いのに」
「そうなんですか!?」
彼は、女心がまるでわからなかった。
「神様、お願いがあるんです」
「なんだ?」
「ボクの身長を彼女よりも高くしてくれませんか?」
彼は背が低かった。
「低身長の男は嫌われると聞きました。もし彼女よりも身長が高くなれば、きっと彼女はボクの愛を受け入れてくれると思うんです」
「……」
みてくれは悪いが、彼は誠実な男だ。神様もそこは評価していた。万に一つも告白が成功するとは思えないが、神様は願いを叶えてやることにした。
「神様、ありがとうございます。きっとこの恋を成就してみせます!」
その日のニュースーー
本日夕刻、巨大なゴキブリが街にあらわれました。人間ほどの大きさとのことです。
近くにいた女子大生が悲鳴を上げて気絶し、すぐさま最寄りの警察官がかけつけましたが、巨大ゴキブリは凄まじい速さで逃走。現在行方を追っています。
近くにお住いの方々は、くれぐれもご注意ください。