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ルパンをモチーフにして黒人の話を考える。


主人公は、アニメーション映画製作を夢見る青年、ウォルター。

時代は、1920年年代。

でも、昔々のお話から始まる。

黒人の裁縫家のルーシーは黒人の女性。

陽気で、少し太め。基本は家政婦をして生計をたてているが、裁縫の腕がよくて、白人の上流階級からの服の補正や裁縫も頼まれる。


彼女には息子がいた。

小さいけれど、陽気で、すばしっこい。

家主に許可を得て、この息子…ジョンをつれてきている。名前の由来は『神は恵み深し』なんだそうだ。

屋敷には、同じ年のお嬢様がいる。

お嬢様は病弱で、あまり、外には出掛けられない。

ジョンは、そんな彼女に下町の暮らしや、アクロバットな事をして楽しませる。

彼女の名前は、オルタンス。

1923年発表のルパンシリーズ『八点鐘』のヒロインから名前をいただいた。


2人は仲良く成長するが、10才を越える頃に、すっかり元気になったオルタンスが女学園に行くことで音信不通になる。


そうして、ジョンは大人になる。

オルタンスとの淡い恋心を抱いたまま、随分と素行の悪い男に…



彼は、その身軽さを生かして映画のスタントマンを演じていた。

喧嘩っぱやく、白人を嫌っていたが、同じ、アメリカの映画村で知り合ったチビのウォルターとは気があった。


ウォルターは、アニメ映画を作る…子供の頃に見た、妖精を皆に見せたいと願っていた。


純粋な気持ちを持ち続けるウォルターに、ジョンは好意を感じている。

そして、本好きの彼が語る様々な物語を聞くのが好きだった。


が、嫌いな白人もいる。

最近、人気の『アルセーヌ・ルパン』の主人公、ルパン役の俳優、クリストファーだ。

やつは、絵に書いたような長身の金髪碧眼で、黒人全体をよく思ってなかった。

このクリストファーのスタントマンとして、危険な撮影を受ける事になったジョン、何度かの衝突があってカッとしたジョンは、役を辞めようとする。


スタッフ一同は困り果てる。

なにしろジョンのような、危険度のあるアクロバティックなスタントができる役者はそうはいない。


そんななか、ウォルターは、ジョンを説得する。


「どうして黒人は表舞台に出ることが許されずに、危険な思いをして、その上、バカにされなければいけないのか?」


ジョンの切実な質問に、ウォルターは、天井にぶら下がっていたランプをはずしながら答える。


「ジョン、君はまちがっているよ。君は、クリストファーの影ではなく、怪盗ルパンを演じているんだよ。」

「だからなんだよ?同じだろ?」

「同じじゃないさ、クリストファーだって、ルパンの表の顔…ラウール・ルパンを演じているに過ぎないんだ。」

ウォルターは、そう言って分厚い自分の辞書を取り出す。

「見てごらんよ、何が見える?」

ウォルターが辞書をペラペラめくると、ページの端に描かれた妖精が踊り出す。

ジョンは、思わず、怒りを忘れて見いる。が、本を閉じる頃には、我にかえって不機嫌な顔を作る。

「妖精だろ?」

その答えに、ウォルターが嬉しそうに笑う。

「そう、その通りさ、これは『花の妖精』なんだよ。」

「花の妖精…かぁ。」

再び、ページをめくり、動き出す可愛らしい妖精にすっかり毒気を抜かれたジョンにウォルターは楽しげにこう言う。

「ああ、これは、鉛筆でも、紙でもなく、僕の描いた花の妖精なんだよ。」

ウォルターの言葉の意味が分からず、ジョンは不平を言う。それを聞きながら、ウォルターは、近くにあったテーブルクロスで即席のマントを作ると、暗い部屋の端でランプを壁に向けてかざし、それから、ジョンに言う。


「僕らのお客さんは、夢を見に来るんだよ。

紙でも、鉛筆でもないし、クリストファーでも、ジョンでもない。

アルセーヌ・ルパンを!」

ウォルターは、そこで言葉を区切り、ジョンを見て笑いかける。

「君は、自分は黒人だからルパンの影だと言うけれど、白人でもチビで演技力もない僕は、表どころか、影にもなれないんだ。」

テーブルクロスをマントのように肩にかけるウォルターの滑稽な姿に、ジョンは思わず、謝る。

「ごめん…」

ウォルターは、アニメーションの会社から雇い止めをされたことをジョンは思い出す。

神妙なジョンの姿に、ウォルターは少し、寂しそうに笑う。


「何も、謝ることはないさ。確かに、僕の姿は映画向きじゃないよ。でも、僕には、クリストファーにも、ジョン、君にも持ってない才能があるんだ。壁を見ていて。」


ウォルターに言われて、ジョンが壁を見ると、そこには、光に照らされた怪盗ルパンの影がうつる。

驚いてジョンを見ると、ゴミ箱をお盆に乗せてたたずむウォルターがいる。


ジョンは、壁とウォルターを交互に見る。


光の加減で、引き伸ばされたウォルターの影は、確かに、長身で優雅な紳士の姿を写し出していた…




どうだろう?黒人のルパンの物語。不快感は少ないと思うんだけれど。


ちなみに、この話は、別れたお嬢様が、パリで婚約するニュースと共に、パリを舞台に変わる。


そして、彼女の婚約者の悪役から、『怪盗ルパン』として、彼女を奪う話に進展する。


なかなか、面白そうだけれど…

まずは、今の連載を何とかしなければ(>_<。)

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