視点
イニシャルで話すのも寂しいので、作中の女優に名前をつける。
マリコにしようと思う。
これは好きなドラマのキャラの名前であり、私の母が赤ん坊の私につけようとしてくれた名前でもあり、よくある名前なので、権利関係の面倒もない。
マリコ…彼女をモデルに話を考えた。
年老いた女優のアンチエイジングの物語。
小説家の私は、モデルの女優との思い出を作品に反映させようとした。
若い頃、お姫様の役で映画に出演した彼女をため息と共に見つめたことを。
美しい…こんな整った顔の人がいる事に驚いた。
立ってるだけ…と言う言葉は、時に、役者を批判する言葉になるが、立ってるだけで、人の気持ちを高揚させ、長く記憶に刻まれる…そんな人物は希である。
と、同時に脚本家の私は、別の事を考える。
女優マリコをモデルにすると聞いた途端、彼女の演技力を思う。
『この物語のリメークを考えるなら、作品が発表された1970年代の女優さんをモデルにしましょうか…
当時、20代なら、70歳から80歳くらいかしら?
そこから、17才に若返る…彼女なら、この年齢差を演じきれると思うわ。』
脚本家の私の台詞に驚いた。
ある女優をモデルに…
この一言で、視点が全く違うことに。
作家の私は物語の世界にはめ込み、
脚本家の私は舞台と言う世界で演じる女優のモデルとして彼女のスキルを考えた。
同じ人物が考えるのですら、こんなに違うのだから、脚本家と原作者が同じになるわけはないのだ。
と、同時に、マリコと言うキャラクターを作ることで、私はマリコと同じ距離感で都市伝説のような天才外科医を思った。
マリコは外科医の彼を
私は、有名漫画の主人公を…
視点は全く違うのに、同じ距離感でこの台詞を口にする。
『ああ…先生…彼に会うことが本当に叶うなら…そして、オファーをする事が出来るなら、もう一度…そう、もう一度…あの舞台を始めることが出来るのだわ。』
都市伝説のような謎の外科医。
マリコは本物と会って自分を変えようと考える。
それは普通、叶わない夢である。
けれど、奇跡のような彼の力があれば…例え、それがいくらかかろうとも…奇跡はおこるのだ。
そして、私もまた、作品を投稿し、出版社経由で…彼に…公式の彼に会うことが出来たなら、子供の頃みた、あの懐かしい夏アニメの…新作を…奇跡を見ることが出来るに違いないのだ。
全く違う私たちの同じ台詞…ここで、私とマリコは同じ距離感で、あの先生をこがれ…シンクロした。
私が自分の活動で主人公の夢とシンクロすることで、小説サイトの若い読者もまた、この古い物語のキャラクターの願いの距離感を体感できる。
ブックマーク一桁の私が、ここから、出版社にコネを作ると言うことが、ひとつの作品をアニメに…地上波のゴールデン枠の夏アニメに昇華させる難しさを…
そして、その夢が…全くの夢物語ではない事を私の読者は知っているのだ。
読者、作者、キャラクター
この三点の視点を同じ距離でテーマに合わせる。
ここに来て、それが初めてできた気がした。
そして、これをしっかりと調整できないと、後々、物語が歪んでゆくのだと思った。