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またしても何も知らない大地くん(21)


長らくお待たせいたしました!

これからも大地くんと推したちとの物語は続いていきますので、是非ともよろしくお願いします!!!




「お疲れさまです〜」


「お疲れデス!」


「おー、おつか……いや、上半身だけは元気か。よーし、夜に引き続き今日もハッスルして行こ〜〜」


「オー!!!」


「おー……ってそういうやつやないから!たまたま!たまたま店先で会っただけだから!エリーも意味がわかんないのにのらなくて良いから!」


 この店長、一瞬で状況を察してきやがった。いや、察せてないけど。全然何にもなかったけど?全然上半身どころか下半身も元気いっぱいモリモリ君なんだけど?……ん?他意はないよ?他意は。


「いや、ふっ。っっいや、大地さ〜ん。そんな仲睦まじくがっしり腕組まれててて、たまたま会っただけは信じることはできないっすよ〜っ」


「……うぜぇ」


 笑いを堪えたニヤケ面で店長はそう言う。

いや、わかってますよそんなこと。でも離れないすもんこの人。押しても引いてもニチャニチャ笑っても、依然俺の腕は大きな二つの島に挟まれたまんまだしん!も〜!まだバイトはじまってもないのになんでこんなことになっちゃってるの〜!……こんなことを考えてないとモリモリ君がギンギン君に成長しちまうんだ!開始早々何いってんだ俺は!


「ぷっ。いや、わりぃわりぃ。ま、仕事をちゃんとしてくれたら俺は何も言うことねーから!頑張ってくれよ〜んじゃ、また後でな〜」


 そう言い残すと店長は開店準備に戻っていった。


「はぁ、エリーさん。さっきみたいな勘違いされちゃうから腕をはなしましょうね。」


「だから、イヤですって。なんでそんなこと言えるんデスカ?鬼なんデスカ?悪魔なんデスカ?」


「そんな怯えられるほどのこと言った覚えはねぇんだけど!?」


 いや、結構スルーしてきたけどこの子どうしてこうなってんの?本当に昨日のドラマが原因なのか?ドラマだけであんな100点満点な赤面できます!?1日で李梨沙一筋の俺をドキッとさせるまで変えることができるのなら本当にあのドラマやばいぞ!


「ムー!昨日リサとはあんなに接近してたじゃないデスカ!私はダメで、リサは良いんデスカ!?愛ですか!?愛なんデスカ!?李梨沙に似てるからってリサにも愛を感じたんデスカ!?」


「いや、なんじゃそりゃ。そもそもあの時は……ん?……接近?もしかして、エリーさん。……起きてたんですか?」


「そりゃもう起きてましたよ!途中からですけどあの衝撃シーンもばっt


「何を朝から腕くんで騒いでいるのよ。」


「あ、優里……」


 朝から暴走機関車と化したエリーを止めたのは、入り口に体を預け、腕を組み口だけは笑顔の優里だった。……え、こっわ。


「エリーからは友達のところに泊まる。と、聞いていたんだけど。……こんな朝早くから、そんなに仲睦まじく、腕を組んでいる。……もしかしてエリー?あなた、大地君の家に泊まってそのままここに来たのかしら?」


 ……やばい。勘が良すぎる。勘のいい美女は好きです!むしろ!(別に勘の言い訳ではない)

 だが、まだこの状況には一縷の光が差している!そう、白瀬優里が勘のいい美女ならば、こちらは野生の勘だ!エリー君に決めた!いけっ!「ごまかす」だ!


「? はい。そうデスヨ?」


「……」


「……」


「……?」


「最っ低」


「うっ!」


 …………素直!圧倒的素直!そう、これが東城・K・エリーのいいところ。

 だが、今だけは隠しましょうよ!!!すんごいよ、あからさまに不機嫌をあっしにむけてきてるよ優里さん!ちっさい「つ」が入るくらいの最低をもらったよ!?おじさん、こんな美女にそんなこと言われたら生きてけないよ!?


「……はぁ、ま、いいわ。二人ともいい加減離れなさい。もうそろそろ着替えないと開店できないわよ。」


「あ、ほんとデスネ」


 そう言うと、エリーはあんなに頑なに守ってきた俺の腕を惜しげもなく手放すと、優里と共に更衣室へと向かったのであった。



 じ、自由人め。おじさんのライフはもうゼロよ……




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「さっきはごめんなさい。エリーから話は聞いたわ、特に、その、エリー()()何も起きてなかったようね」


「とは?……いや、疑いが晴れただけでもいいよ、本当に。」


 どうやら、更衣室でエリーが疑いを晴らしてくれたようだ。でもなんで少し含みのある言い方なんだ?しかもなんでまだ少し不機嫌なんだ?


「でも、エリーは一体どうしたんだろう。朝起きたらいきなりあんな感じになってたんだけど。何か言ってた?」


「……混乱」


「ん?」


「昨日ドラマをみてお酒を飲んだんでしょう?どうやらまだ少し酔いが残ってて、現実とドラマが混乱しちゃってたみたいね。今は少し更衣室で休憩してるわ。後で来るだろうから、気にしないで!」


「う、うん」


 俺がそう聞くと、優里は笑顔を貼り付け前のめりになりながら、すごい勢いでそう言った。なるほど、二日酔いみたいなものだったのか。そう考えれば、顔の赤さも興味の変わり用も一応説明はつく。


「それじゃ、今日もがんばりましょう!…………くっ、まさかあの子が大胆な行動を取れるなんて、しかも何故かエリーまで……一体どうなってるのよ……」


 そう言うと、優里も開店準備へと向かった。がんばろうと言った後に、何かブツブツ言ってたがよく聞き取れなかった。一体何が彼女の気に障ったと言うのだろう。さすがに嫌われるのは嫌だな……。そうなったら泣いちゃうかも……。



 ま、俺には今朝とった300枚の李梨沙の書き置きがあるから大丈夫か!安心安心!やっぱり持つべきものは和食が似合う推しだよね!







次回投稿日は7/24(日)です。

続きが早く見たい!面白い!と思っていただけたら是非評価、お気に入り、レビュー、ブックマーク等をしていただけると助かります!創作意欲がさらに高まります!

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