4.期待に胸を膨らませて
夕方になり、ブラウン家にカーターがやってきた。カーターとエミリーが世間話をしていると、ミラのお腹の虫が存在を知らせるかのごとく盛大に鳴り響いた。家中に香ばしい肉の焼ける匂いが漂い、今日はごちそうだとミラの虫はご機嫌みたいだ。全員が声をあげて一頻り笑うと、エミリーの提案で食事をしながら話をすることになった。今日の夕飯は野うさぎと野菜の石窯焼き、トマトのスープ、人参パンだ。いただきますと食事前の挨拶をして、しばらく談笑しながら食事を楽しむのであった。
「そろそろ、お話を始めましょうか。魔法学校のことです。」
「早く通いたい!どんな所なのかな。」
カーターの声にミラは声を弾ませて答えた。
「ミラ。魔法学校には通うのではなく、魔法学校で生活をするのです。」
「生活?」
「そう。魔法学校の性質上、全員が学校の寮に入りそこで生活をします。ミラはこれから学校が家になるのですよ。」
「魔法の世界で暮らすのね!!凄い!全然想像できないよ!」
絵本に出てくるお城みたいな場所なのかな。物が空に浮かんでいたりするの?それとも動物とお話することができるのかな?ミラは今後の生活を想像し、期待で胸を膨らませた。エミリーがその陰で寂しそうな顔をしたことに、ミラは気付くことが出来なかった。
「ところでエミリーさん。首都に知り合いはいらっしゃいますか?」
「いえ、いないです。ミラが心配ですね……。」
「せめて首都に頼れる人がいた方が安心ですよね。……ではミラに何か困りごとがあった時、私を頼ってください。できる限り力になりますよ。」
エミリーがそこまでしていただくのは申し訳ないと言ったが、カーターは私もミラが心配ですので良ければせめて見守らせてくださいと話し、首都ではカーターがミラの保護者的役割を務めることになった。ミラは2人の話の内容を理解出来なかったが、カーターと今より会うことが出来るのが嬉しいなと思っていた。
食事が終わり大人2人は何やら難しいことを話始めた為、ミラは手持ち無沙汰になり自室に戻っていた。あぁ今日はなんて良い日なのと、窓の外を眺めながらうっとりとミラは思った。雪はいつの間にか止み、代わりに月が真っ黒な空にぽっかりと浮いている。ミラはそうだ!と言い、月に指をさした。
「月よ、お菓子になぁれ!」
月に変化はない。しかし、ミラはこんな感じなのかな?と嬉しそうに笑い、自分が魔法を使う未来に胸躍らせていた。
カーターが帰る前にミラに挨拶をしようと部屋に行くと、ミラはベッドで気持ち良さそうに寝ていた。その手には災厄の魔女の絵本があった。
「おやおや……。ゆっくりおやすみミラ。
また直ぐに会いましょう。」
カーターはミラの頭をふわりと撫でた。そして部屋の灯を消して静かに家を去ったのであった。
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