恋わずらい 作者: 門林はみめ 掲載日:2019/10/21 街に漂う木犀に あなたの頬が見えたので。 私はあなたに恋をした。 人の行き交う大阪で、 あなたが握った右の手は、いつの間にやら冷めていて。 じっと眺めた造形は、気づくと既に溶けていた。 窓から入った、北風は。あなたの髪を連れてきて。 空気に混ざった、あなたを追って。私の心も宙に浮く。 ただ会いたいと思うだけ。あなたにふらりといて欲しい。 今日も曇りし、長い夜。 果実のようなその声を、そのまま齧ってしまいたい。 今日も曇りし、長い夜。