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とある公爵令嬢の生涯  作者: ゆう
メトロ学園と新たな出会い
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13ぶつかり合い

寮生活では団体行動を乱さないようにしなくてはならないのだが、協調性の欠片もない人間ばかりだった。



「耳元で騒がないでいただけますかね」


「俺の声が煩いと!ムカつく男と!」


「ここは鶏小屋じゃないんですがね?」



特に最悪な組み合わせなのはこの二人だった。

出会い頭から喧嘩をしていたようで食事中にも喧嘩が止まない。



「性悪ばい!」


「貴方はそのガサツさを何とかして欲しいですね」



二人は同じ平民であるが出身地が異なる。

ジークフリートは北の大地出身で白い肌と金髪の髪が特徴的だった。


対してサブローは褐色の肌と赤毛に大柄だった。



二人は環境までも正反対なので相いれない部分が多かった。



「君のようなガサツな行動は美しくないですね」


「眼鏡ぇぇぇ!!」


「サブローさん落ち着いてください!!」


耐え切れず大暴れするサブローを止めに入るルーク。



「あっ…あの…」


アリスもオロオロするのだが、ここで一人黙々と食事をしている人物がいる。



「おい!お前何普通に食事してんだよ」


「何か問題が?」


「大ありだろ!」



マイペースに食事をするエステルはケンカに介入することもない。



「別に血が流れるわけでもないでしょう?」


「そこか?お前の気にする所はそこなの!」


「些細なことを気にし過ぎです」



食べる手を止めないエステルは優雅に食後の紅茶を楽しむ。



「あら、なんて美味しいお茶なのかしら」


「当然だよ」


「マダムマジョリカ。大変美味しゅうございました」


感謝を込めるエステル。

これも寮母の仕事だが、お世話になる身なので感謝を言葉にするエステルに笑みを浮かべる。



「貴方も早く食べないと冷めてしまうわ」



「はっ…はい」



表情を強張らせながらアリスは困っていた。



「あのなぁ…この状態で食事ができる程図太い神経を持っているのはお前だけだ」


「失礼ね」


「良く、こんな状態で食事が取れるな」



文句を言いながらもユランもちゃっかり食事を終えている。



「非常時でも食事を取れるようにしておくべきです」


「カッコ良く言っても無駄だからな」



「本当に細かい人ね」



図々しい神経の持ち主かと思われがちなユランは結構神経が細かった。



「ごちそうさま」


「おい、この状況で逃げるのかよ」


「荷物を整理しなくてはいけませんので」


「そんなエステルさん!」



この乱闘騒ぎを止めてくれと訴えるルーク。



「放っておけば大人しくなります」



「お願いします!エステルさんだけが頼りです!」



ルークに涙ながら訴えられ、ため息をつく。



(仕方ないわね)



これがユランだったら速攻で無視するのだが止む無くエステルは近づく。



「何です?」


ジークフリートは顔を顰めるも、エステルはすました表情で告げる。



「サブローさん、そろそろお止めください」



「なん?」


「折角の食事が冷めてしまいますわ」


さっきから手つかずの食事を指さす。



「それに貴方は体が大きく懐の大きな方ですわ。どっしり構えてくださいな」


「むっ…」


「火の国の男性は強く優しくが基本でございましょう?細かいことを気にする必要はありません」


ここまで言われれば火の国の男の名が廃る。


「堪忍してほしか」


「いいえ」


サブローはエステルに謝るもジークフリートは眼鏡をかけ直し嫌味を言う。



「西の方は単純ですね」


「なっ!」


「それとも貴族様に弱みでも握られているのでしょうか?」


あんまりないい方をするジークフリートだったが。



「西の方は紳士なのですわ。女性に優しくするのが基本という考えを持っておいでです。私が気に入らないならば食事の席には来ませんが」



「僕は別に貴方を排除しようと思っていません」


「ですが気に入らないのでしょう?ならば顔を合わせない方がいいいのでは?」


穏やかながらも冷たい表情をする。



「私が気に入らないなら結構。別にかまいませんわ」



「流石貴族様、平民如きは気にも留めないと?」



「おい!いい加減にしろよ!」


ユランが止めに入ろうとするも手で制するエステル。



「私は他人に興味がありません。ですが私の友人に危害を加えるなら許しませんわよ」



「っ!!」


脅しではなく本気で睨む。


「では失礼」



「おい!エステル」



振り返ることなくその場を去って行った。





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