11ルームメイト
部屋は一部屋を二人で使うことになっていた。
この学園のシステムでランクが上がれば寮も変わり、待遇も変わる。
例えば住まいも幽霊屋敷か中級貴族レベルのお邸からそれ以上に。
これもランク上げをした場合になる。
「同室の方はまだね?」
二人一部屋と聞いていたがまだのようで挨拶をどうすべきか考えていた。
‥‥が。
「来ないわね」
外が暗くなるのにルームメイトが一向に現れる気配はない。
「わぁぁぁ!!」
共用スペースからルークの悲鳴が響き渡る。
「どうしたの!!」
「ひぃ!あれを…」
「え?」
木の方に人がぶら下がっている。
「幽霊です!!」
「おいおい、マジかよ…って何やってんの!」
窓をあけて身を乗り出すエステルに二人は急いで止めに入る。
「待て待て!!やめろ!」
「呪われます!!」
二人は急いで止めに入るもエステルはケロッとしていた。
「ここの寮の住人さんなら挨拶をしなくては」
「何言ってんのお前!」
「すいません、騒がしくしてしまって」
普通に挨拶するエステルに今にも悲鳴を上げそうなルークだったが…
「ヒック…助けて」
「「「え?」」」
幽霊ではなく学園の生徒だった。
「おろしてください」
「普通の人間です」
「いや、そこかよ!」
よく見ると服が引っかかっているだけだった。
「少し待っていてください」
「待て待て、俺が行く」
「何故?」
木登りぐらいはできるので問題なのに止められる理由が解らない。
「スカートだろう?」
「あ…」
今になって気づいたエステルに二人はため息をつく。
「大丈夫か?」
「ありがとうございます」
葉っぱを頭につけた少女は安堵してお礼を言う。
「ありがとうございます…私はアリス・ハントと申します」
「エステルです。よろしくお願いします」
金髪の髪に透き通る深い翡翠色の瞳をした美少女だった。
(可愛らしい人…)
怯えた表情で見上げる。
「今日からよろしくお願いします。共同生活で初めてで、ご迷惑をおかけしますが仲良くしてください」
「はっ…はい、よろしくお願いします」
今まで友人もおらずようやくできた友人は自称乙女なのでどう接していいか解らない。
一方アリスも戸惑いながらもエステルに惹かれていた。
(綺麗で落ち着いていて優しい人だな)
対照的な二人が思ったことは一つ。
((私とは正反対の女の子))
身分も性格も全く違う二人だったが互いに抱く印象は同じだった。




