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とある公爵令嬢の生涯  作者: ゆう
メトロ学園と新たな出会い
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4.授業

騎士科のクラスは年齢が二十代前半が多かった。


「皆さんの視線が…」


好奇の視線に晒され、おどおどするルーク。


「まぁ騎士科は花形だからな?5人に一人の合格率だからな」


「俺の故郷でもむずかしか学校ばいね」


「だから仕方ないんじゃねぇか?」


三人は改めて騎士科に入ることができたことを喜び噛みしめるのだが…



「つーか、お前は何やってんだよ」


「何って?読書ですが」


「お前な…この視線の原因はお前だぞ?」



ジロジロ見られても特に気にも留めないエステルマイペースに読書をしていた。



「害がなければ問題ないわ」


「お前な…」


この学校に入っても通過点に過ぎない。



「私達の目的はこの学園に入ることではなく優秀な成績を収めて騎士になることです」


「エステルさん…前向きです」


「そうたい」


騎士科に入って満足していては話にならない。

月に一度に行われる試験をクリアして優秀な成績を収め、なおかつ上のランクを目指さなくてはならない。



「最短で金ランクを狙うならやはり実技試験かしら」


「ブハッ!」


「金ランク…」



銀ランクを通り越して金ランクを目指すエステルは貪欲だった。


「待て待て、金ランクは毎年一人か、二人だぞ」


「その年にいない時もいるんですよ」


「だったらその一人に私達がなればいいわ」



無理だろと思ったユランに同意するルークだった。



「あら?やるならトップを目指したいわ」


「お前、どんだけだよ」


聞いていて驚くばかりだった。

もう少し謙虚な気持ちはないのかといいたくなる。



「私はこの学園に入るために必ず騎士となって帰ると約束した方がおります」


「約束?」


「ええ、ですから必ず最短で卒業して騎士となります」



残された時間は僅かしかない。

その間にやらなくてはならないことが沢山あるので他人の目なんて気にしていられない。



「とりあえず次の試験で首席を狙わないと」


「すでにぶんどる気かよ」


「もちろん」



誰もにも負ける気はない。

騎士科は実技だけではなく筆記試験も重要視されてる。



「僕も頑張ります」


「俺も頑張るっちゃ」



二人は頷きながら教科書を開き予習をしようとするが…



「さっぱり解らんちゃ」


「サブロー、お前良く受かったな」


「実技で受かったとよ…」


筆記試験の結果は下から二番という成績だった。



「僕は逆です。実技はギリギリで筆記は悪くなかったので」


「俺は中の上だったな」



可でもなく不可もなかったユランはそれなりだった。




「エステルは?」


「聞きます?」



「すいません、俺が悪うございました」



結果を聞くまでもなく上位だったのは言うまでもなかった。




一限目は語学の授業だった。

騎士科は遠征に向かうので語学も堪能でなくてはならない。



「では次の文章の訳を…」



「先生!」


誰を当てようかと思った矢先一人の男が声をあげる。



「何かね?ヒューバート・エステート君」


「折角ですから首席の彼女に解いていただいたらどうでしょう?第四章すべてを」



不敵に微笑みながらクラスメイトをたきつける。



ここで断れば疑いを受けるが、受けて間違っていれば恥をかく。



「酷い…第四章を丸ごと訳せなんて」


「あからさまな嫌がらせじゃねぇか」



現在習ってる語学はエトランゼ語で外国語の中でも難しいのでよほど学びに精を出していなければ解らない。



「どうかね?」


「はい、問題ありません」



席を立ち黒板の方に向かうエステルにあざ笑う声が聞こえる。




「どうせ無理だろ」


「あんな小娘に解けるわけねぇだろ」



「八百長で受かっただろうよ」




ヒソヒソ話してもしっかり聞こえている。



(聞こえているわよ)



これ見よがしに聞こえるように言っているのではと思うが、ここで腹を立てても仕方なくエステルはチョークを受け取り第四章の訳を書いていく。



ついでに第五章まで訳していくと。




「グレイトです!!素晴らしい」



「「「えっ!!」」」



教師は感動して大声を上げる。



「完璧です。さすが首席を取っただけはありますね!」


「ありがとうございます」



席に戻ってもいいと言われ席に着く。



「エステルさん、すごいですね」



「お前、エトランゼ語習っていたのか?」


「ええ」



正確には入学する前に語学は念入りに勉強していたのだ。



(前世でも語学では痛い思いをしたもの)



語学の担当教師、ダニエルは突発的に生徒に問題を出しては答えられなければ罰を与えていた。




「では第二章を読んでみてくれるかね?ヒューバート君」


「はい?」


「どうしたんだね?」


「はっ…はい」



当てられると思っていなかったのでダラダラと冷や汗をかく。



文章を訳すわけではないのでそこまで難しくないはずだが、ヒューバートは正しい発音で読むことはできなかった。


「ヒューバート君、人に問題を解かせるなら自分の語学をどうにかするんじゃな?」


「うっ…」


「罰として君は廊下に立っておれ」


「ええ!」


ヒューバートは耳を疑った。

自尊心が高く貴族出身である自分が廊下に立たされるなんて屈辱だった。


「聞こえなかったかね?」


「ですが…」


「二時間追加じゃ」


「…わかりました」



反抗すれば立たされる時間を追加されると思っておとなしく言うことを聞いたヒューバートだったが、ダニエルは呼び止める。


「待ちなさい、バケツを持って立ちなさい」


(この俺がバケツだと!)


「いいね?」


「はい…」



これ以上のないほどの屈辱を味わい、ヒューバートはバケツを持って二時間も立たされる羽目になった。


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