第2話
椅子は38脚程ある。机ももちろん同じ数だけある。私の席は窓側の一番奥の席。親友は真ん中の列の2番目。友人は私の二席前の席にいる。初めて付き合った彼氏は、友人と付き合う事にしたようだ。単なる遊びだよと忠告しようかと思ったが、余計なおせっかいだろう。友人の隣の席に最初に付き合った彼氏が座っている。なんともこんがらがってしまうくらい、変な感じがする。忠告しようか迷ったが、やめといた。意外と見た目や普段の性格とは違う一面を、友人は持っている。最初に付き合った彼氏が浮気すれば、報復として浮気をするだろう。私と親友以上にプライドが高い。友人は、中学校での彼氏もまた浮気をして、その報復に浮気を仕返ししたと語っている。同じタイプの男が好きなんだなと、プライベートで遊んでいた時、教えてくれた。私は誠実さが好きだが、彼女は自分を引っ張ってくれる方がいいみたいだ。
雑貨屋の店主兼、私の恋人は、相変わらず付き合っている。秋雨が降っていて、客足が少し途絶えた時に、昼食のカップラーメンを食べる。今はテストも終わり、緊張感から開放された。今日は学校があるけど、バイトを優先させた。
「学校だろ?遅刻しても良いから、行けばいいのに」
「一日休んだって、留年はしないよ」
「よりによって、秋雨が降るとわな」
カタカタとキーボードを動かしている彼氏を見ながら、ラーメンを啜っている。
「在庫はないから、もう食べるなよ。後の一個は俺のものだからな」
「もうお湯かけちゃった」
「何。しょうがねえ。ラーメンが伸びる前に食ってしまおう。あつかましいバイトだな。雇い主に気を使えよ」
「朝から何も食べていなかったから」
「朝飯ぐらいちゃんと食べてからきな。何かすごく腹減ってきた。今日は開店休業しようか。仕事に一区切りができたら、ピザをとろう。後2時間ほどで終わるから」
「それは美味しそうだね。ああ、腹減った」
そう言って、冷蔵庫から清涼飲料水を取り出して、空腹を紛らわす事にした。私は彼氏と一緒の時間を過ごす事で、いつしか愛情が芽生えていた。高校を卒業したら、ずっと一緒にいれる保障はない。でも、それでもいいから、ずっとこの店に働きたかった。
冬休みでは彼氏と一緒にすき焼きを食べた。高給な肉屋で買ったブランド食肉を買っていた。肉ばかり食う彼氏に向って心の
中でささやいた。「私も肉がたべたいのに」と。
こうしていると主婦みたいで気恥ずかしい。後片付けして、彼氏はバラエティー番組を見て笑っている。気になったが、片付きは私の仕事だ。
私は彼との別れを考えるようになった。私よりいい女はいっぱいいる。過去のトラウマが邪魔をして、ダメージを受けるよりも前に、別れたい。最初の彼氏は三日で済んだが、今の彼氏とはダメージの深さが違いすぎる。純粋な愛情に委ねていられる時間が止まってしまうと、ひりひりとする痛みを保ちながら、後悔してしまうだろう。別れたくはない。新しい恋なんていらない。
浮気は絶対しないタイプだから、まず喧嘩別れはない。私は愛情を持っているつもりだけど、彼氏はどこまで愛情が続くのか未知数だ。私の方はきっと、長く愛情を保てる自信はある。
高校二年の春になって、ここでずっと働きたいと彼氏に頼んだ。
「それは有り難い。それなら正社員にしてやろうか。今までのバイト代と同じ給料だけど。肩書きがほしいだろう?」
「それはありがたい。履歴書にしっかりと職歴として残せるわね」
「転職するなよ」
「はいはい」
学校のマラソンは風邪を引いた振りをして、保健室で寝ていた。皆よく頑張れるよなと思いつつ、寝転んでいた。私は恋人と友人たちには誠実だが、どうでもいい事はしたくない。真面目さが薄れてきてしまった。親友は根性見せて走っている。私は早退する事にした。たまには、一人で遊びに行こうと考えた。そこで、桜の満開に咲いている公園に一人っきりで、遊んで来た。




