第1話
『朧月』
いつか、見た淡い朧月。私は17でカフェオレの缶を飲みながら。ベンチに座りながら、今の彼氏に別れを告げるか、どうか迷っていた。別れる度にここに来る。今日も皮肉にもいつか見た朧月がぼんやりと光る夜だった。
今の彼氏は雑貨屋の店主で、同級生の兄貴だ。紹介してもらって、四ヶ月ぐらい付き合っている。いい人だとは思う。本気で愛し合った時もある。でも、今は燃え盛る愛情はないけど、その分を補う親密さが出てきた。
私もその雑貨屋でバイトしている。私は雑貨に興味はなく、未だに商品の名前を覚えていない。ただレジを任されている。
同級生が友人たちに雑貨の写真を見せた。
「超可愛いこれ」
「どこの国の?」
とか反響があった。実際に、店は国別に雑貨を分けている。欧米の雑貨もとりあつかっており、彼氏の人脈を駆使して、強引に黒字にもっていった。女友達の客だけでなく、お手ごろな価格なので、友達が彼女のちょっとしたプレゼントをするには、丁度いいみたいだ。ネットで買うように、HPをつくり、通信販売も上手く行っているようだ。むしろ、店頭よりもネットの方が、反響が大きい。
初めて出来た彼氏よりも、ずっと今の方がいい。
――誠実そうな外見とは違って、二股をかけられていた。プライドもそんなにない私も、その裏切りには傷ついた。そして、半年で静かな言葉で最初の彼氏と別れを告げた。でも、ダメージも三日経てば忘れてしまった。もう今となってはうらみもないし、憎しみすらない。初めての恋人との結末は、ほろ苦い味になってしまった――
高校生になって、まもなく、友人から、友人の兄貴が雑貨屋を営んでいると教えてくれた。ぜひ一度行きたくなって、友人と一緒に、その店を訪れた。私にそこで今の彼氏を紹介してもらった。高校生になったら、バイトがしたかったため、紹介されたついでに、バイトをここでしようと思った。二つ返事で「自給800円でいいよ」言ってこの雑貨屋でバイトの初体験をする事になった。成り行きとはいえ、こんなに早くバイト先が見つける事ができた。
学校は、初めて付き合った男も同じクラスにいる。気まずいが、友人と仲良くしているため、かなり気まずさが消滅した。その反動で、雑貨屋でバイトをしている事を教えて、店の売り上げに貢献しようとした。5月になり、私は雑貨屋の男に告白をされて、めでたく新しい恋愛を始める事になった。
学校でも友人と話に話している。新緑が映える季節で、5月の湿度の少ないからっとした天気になっていった。グループ分けも済んで、親しき人たちのみで、集まるようになった。その中でもとりわけ仲がいい雑貨屋の彼氏の友人と常に行動を共にする。音楽室に行く時も、トイレはさすがに一緒にはしないが。でも、それ以外は二人で行動している。もう既に親友と呼べる程親しくなれた。
昼休みは親友以外にも、友人一人を混ぜて食事を共にする。
「お酒は20歳を過ぎてから。でも煙草は吸ってよし」
私の言葉に、反応した親友。
「お酒も煙草も未成年のうちに、呑んだり、吸ったりしなくちゃ。で、何で煙草だけはいいの」
「最初の彼氏がよく吸っていたから、吸っているだけだよ」
「そっか。まだ未練とかあったりするの?」
「あったら、新しく彼氏を作らないって」
食事中も私と親友がほとんど話していて、たまに友人が一言コメントを残すぐらいだ。友人は無口だが聞き上手で、コーラス部に入っている。友人は別のクラスにいるらしく、それを知って私は、一緒に弁当を食べないかい?と声をかけた。
三人で行動する事になった。親友は何もしない。学校という場所がなければ、完全にニートだ。でも、大学でサークルで遊びたいと言っているため、勉強にいそしんでいるらしい。私はバイトをして、時間を有効に過ごしている。




