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ある日、超能力に目覚めましたが、そんな事より彼女ができました。  作者: 明日栄作
第二章。彼女は、恋人に手加減をしない。
17/31

見方によっては超能力バトル

続き書きました!


ご連絡がありまして、タイトルが変わりました。


「心の声が聞こえる俺と、初対面から積極的な予知夢を見る彼女」から「ある日超能力に目覚めましたが、そんな事より彼女ができました。」に変更になりました。


これからも何卒よろしくお願いします。

エプロン姿の優花が料理を温める横で、俺は手伝うこともなく自分の彼女を見つめて、その場につっ立っている。


俺の視線に気づいたのか、優花はこちらを見るどころか、なんとも食欲をそそる匂いのする明らかに完成している様子のぐつぐつと煮え続ける鍋を凝視し始めた。


「なあ、それってそろそろ火を切った方がよくないか?」


「え? でも、あと一時間ほど煮込まないと。これだと、まだ誠くんの歯で噛み砕けるか不安だわ」


「俺はお爺さんかよ! そんな念入りに煮込まなくても、じゃがいもくらい余裕で噛めるよ」


あ、ちなみに優花が作ってくれた手料理は薄々気づいてはいたけれど、肉じゃがだった。


二人でリビングのテーブルに食器を用意した後に、優花がお皿に盛り付けた料理を持ってきてくれる。


間違いなく美味しいと、見ただけで分かるほど盛りつけと香りとそのボリュームで。


俺の空腹感は大いに刺激され、もう腹の虫が鳴き出す寸前だった。


「じゃあ、食べましょうか」


準備を終えた優花が、俺の向かい側の正面の席に腰掛ける。


お陰で座っているだけで、自然と目が合ってしまうが優花はその度にニコニコしている。


コイツは、好意的な視線を向けられたり発言をされた時は、それ以上はやめろと言わんばかりに信号機かってくらいに顔を真っ赤にして恥ずかしがるくせに。


自分から好意をぶつける時は嬉しそうなのが、よくわからないんだよなぁ。


まあ、俺も学んだから、ここで優花の笑顔を目にして可愛いとか言ったら見られなくなるので、あえて言葉にはせず真顔で堪能させてもらうけどな。


「「いただきます」」


俺は二人できれいに揃った声と一緒に箸を手に取るやいなや、肉じゃがへと箸をのばす。


湯気を上げるほくほくのじゃがいもは箸を少し沈ませただけで、二つに割れて食べやすい一口大の大きさになる。


そのじゃがいもの片割れを口に運び、そこに炊きたての白米を一口加える。


その瞬間、その馴染み深い味わいに幸福感が口いっぱいに広がる。


やっぱり、美味しい料理には美味しい白米があってこそ、最高のポテンシャルを発揮できるもんだよね。


「どうやら私の料理はお口に合ったようで、安心したわ」


そんな空腹も相まって、手を止めずに頬張る俺を見て優花はご満悦そう微笑んでいる。


「うん、美味いよこれ。ほら優花も、冷めないうちに食べてくれよ?」


「なんだか、私が振る舞われているみたいな言い方が気になるけれど、そうね」


そう言って、優花は自分が作った肉じゃがを食べて、落ち着いた口調で


「うん、まだまだね。現時点では百点満点中、つけて三桁の点数と言ったところね」


などと、恥ずかしげもなく語っている我が彼女にツッコミを入れる。


「じゃあ、満点じゃん」


「誠くんが喜んでくれただけで、満点の価値があるのよ」


優花はいつものドヤ顔で、そんな事を言った。




「ねえ、誠くん」


食事を終えて、俺たちは二人台所に並んで優花が食器を洗い俺がそれを拭いて置いている。


そんな作業の途中で優花は真面目な顔つきになって、喋り始めた。


コイツが真顔で真面目な話してる事なんて、ほとんど記憶にないけど。


「どうした? 洗うのと拭くの交代するか」


「それは大丈夫。そうじゃなくて、これを洗った後は……何をしましょうか?」


その問いかけは、優花に尋ねられているはずなのに、何かを促されているように感じてしまうのは、俺がこの状況に舞い上がっているせいなのかもしれない。


「えっと、とりあえず俺の部屋に行って……」


「……」


「ゲーム、でもするかな?」


黙って、次の言葉に待つ優花の態度に、俺は少しの緊張を覚えつつ答える。


「……そうね。夜は長いのだし、とりあえずゲームをやりましょうか」


「おっ? やる気だな、なんなら朝まででも付き合うぞ」


「残念だけれど、それは無理ね」


優花は一瞬思案顔になって、俺の提案をやんわり断った。


「そっか、ちょっと残念だけどしょうがないよな」


「そうね、じゃあお皿はこれで最後だから、そろそろ行きましょうか」


手渡された皿を念入りに拭いて、優花と自分の部屋に向かった。


俺が扉を開けて部屋に入ると、優花はその場で立ち止まってなかなか部屋に足を踏み入れる様子がない。


「どうした? 入らないのか」


「……いえ、なんでもないのお邪魔します」


優花は部屋に入ると、何の迷いなく俺のベットに腰かけたので、俺は優花の隣、ベットの前に座ってもたれかかる。


「おう、優花はなんかやりたいゲームとかあるか? 特に無いんだったら俺のおすすめやろうかと思うんだけど」


「ええ、ゲームに対するリクエストはないから誠くんの好きなのでいいわよ」


「そうか、じゃあ格ゲーでもやるかな」


「私は大丈夫だけれど、ゲームがさほど好きでもない女性に格ゲーをチョイスするのはやめた方がいいわよ」


と、呆れた顔で優花は言う。


むぅ、そういうもんなのか。


まあ、一応覚えてはおこうかな。


「でも、まあ優花が気にしないなら大丈夫だろ」


「自分で言うのもなんだけれど、私の感性は一般女性の代表にするにしては偏りがあると思うけれどね」


自覚あったんだなコイツ。


そういえば、初めて会った時に人を見てふざけてるから安心してって、現在進行形でふざけられてる時に言われたっけな。


あの時は……普通にムカついたなぁ。


「いや、そういうんじゃなくてな。俺、優花以外の女性とゲームやる機会なんて無いんだし大丈夫だろうって」


「もう、誠くんはまたそうやって」


優花は不満げに何かもごもごと喋っているが、不思議とその表情は嬉しそうに見える。


「まあ、そんなんいいからさ!コントローラー持てって」


俺は話題を変えるべくゲーム機の電源を点けて、まだもごもご言っていた優花に、少し強引にコントローラーを押しつけるように渡した。


一戦目、俺は様子見で普段ほとんど使っていないキャラを選択した。


経験者と言っても格ゲーを軽くやる程度の俺は手を抜きすぎれば、普通に負ける事もあり得る。


なので、対戦自体はあまり手を抜かず概ね真面目にやる。


……負けた。


俺は攻撃という攻撃を全て防がれた上に、優花の攻撃は吸い込まれるように当たり。


ボッコボコに倒された。


「えっと、優花さん? このゲーム……やった事ある?」


「ないわよ? 兄さんも昔からゲームとか、そんなにやっていなかったから」


「ふ、ふーん、そっかぁ」


「ええ、今のはきっとまぐれね」


二戦目、俺は得意キャラを使って本気とまではいかない程度の力加減で戦う。


が、残念ながら全く同じ試合展開で負ける。


「あ、あれぇ〜?」


「どうやら、私ツイてるみたいね。二回も連続でまぐれで勝っちゃうなんて」


ほとんど、パーフェクト勝ちを初心者が二回連続でやってのけたら、奇跡だと思うけどな。


「も、もう一回やろうぜ?」


「ええ、もちろんいいわよ」


そして、始まった三回戦。


俺は先ほどの得意キャラで、自分にできる限りの本気の戦法で挑んだ。


初心者相手に掴み技も下段連打も使った。


展開は圧倒的なもので、画面にはパーフェクトの文字が踊っている。


結果は、俺の敗北。


だが、俺は確信した。


この敗北は、実力によるものではなくて優花の予知夢に基く行動だって事に。


だって、コイツの攻撃全部単発の動作でしか殴ってこないもんな。


そうと分かれば、打つ手はある。


俺も能力で、心の声を聞いて予知で先回りしている優花の動きをさらに先回りするだけだ。


「もう一戦、いいか?」


「ええ、大丈夫よ」


そして、俺は試合開始とともにいつも不用意に聞かないように抑えている、自分の能力を開放した。


そして意識を優花に集中して、俺の頭に直接優花の心の声だけが聞こえてくる。


(誠くんも、そろそろ私の予知夢のせいで負けていることのに気づく頃かしらね)


優花も俺に心を聞かれる事は想定済みかもしれないが、心の声は知っていたって偽る事の出来ないものだからな。


この勝負、もらったぁ!


(ここで下段攻撃だったわね、それでここでジャンプ。はぁ、好き)


ん、すき? ああ、隙かな。


ジャンプしたら隙ができるしな。


(好き好き、てゆうか、どうして私は彼氏の部屋まで来て、ゲームをやらされているのかしら? もういっそ後ろから抱きつこうかしら? あ、この枕の匂い落ち着くわね。はぁ、好き好き好き好)


能力、オフりました。


ちくしょう! こんなのキツすぎるよ!


こんなのずっと聞いてたら、勝負どころかこの部屋から逃げ出してしまいそうだよ。



「……負けた」


「誠くん、そう気を落とさないで。私は実は予知夢で見たから勝てただけなの、だからこの勝負は私の反則負けね」


そう言うと、優花は抱きしめていた俺の枕を元の場所に置き、ベットから降りて俺の真隣に座った。


「いや、実は俺も最後は能力を使ったからおあいこだ……よ」


あ、俺はここで自分の失敗に気がついた。


心を聞いた事は言っちゃ駄目なのでは? そんな事したらアレも聞いたことがバレて、次に展開を決定づける事になっちゃうじゃん。


いや、もう遅いんだけども。


「ふ〜ん、そうなのね。じゃあこの勝負は引き分けね」


案の定というか何というか、優花が体をこちらに傾けて俺に体重を預ける。


「あーもう一回、ゲームはー?」


俺の苦し紛れの言葉を聞いて、優花はすかさずゲーム機の電源を切る。


ですよね〜



戦いは終わった。


だけど、俺の本当の戦いは、これからだ!

最後まで読んでいただきありがとうございます!


この話を書いている時は楽しいので、もっと身悶えれるような話が書きたいですね。


面白いと思っていただけた方は、ブクマ、ポイント評価などの方してもらえると嬉しいです!僕が。


それでは、よろしければ次回もお付き合いください。

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