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ある日、超能力に目覚めましたが、そんな事より彼女ができました。  作者: 明日栄作
第二章。彼女は、恋人に手加減をしない。
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愛してるゲーム

続き書きました。


今回は主人公がヒロインを名前呼びするようになり手を繋ぎながら下校しようという話の続きです。

彼女と手を繋いでの初めての帰り道は、帰り道は通学路が比較的、同じ西南高校の生徒達に嬉々の視線に耐えながらも歩いている。


「あの誠くん、さっきから私の手を握る誠くんの手の力が物凄く強くなっていて、これ以上強くなると私のひらの骨が折れてしまいそうなんだけれど」


「え、あ!わるいわるい、ちょっと考えごとしてたら、ついつい力入っちまってたみたいだ」


本当は恥ずかしさで、繋いだ手が緩みそうになるから少し強く握りすぎてしまったらしい。気をつけよう。


「ふふ、初めてで緊張してるの?誠くんって意外と可愛いところもあるのね、とでも言うと思った?」


「いや、思ってないし出来れば思わないでほしいかな」


え?てゆうかなんで俺、こんなちょっと喧嘩腰の彼女と手繋ぎ下校してるの?謎すぎる。


現時点で、すでに迷宮入りしている。


それと口調とは裏腹に、いつの間にか俺の指の間に優花の指が絡められて、握り方が恋人繋ぎになっていた。


「……思わないでほしかったなぁ」


こちらを急に無言で見つめてくる優花の目を見ながら、俺は彼女の心の声に対して返事をする。


「仕方がないわね、次は思わないであげるから機嫌を直してくれるかしら」


「うん、それは一回でも思わなくなってから言ってほしい台詞だな」


これ以上は、俺の羞恥心と真顔維持が保ちそうにないので、優花の心の声も閉じておく。


「一回やめるまでは次じゃないんだから、思い続けるのは一回目の内でしょう?」


「うわ、面倒くさいなぁ」


それと今度は、落ち着いた口調で話してる手元で、開いて閉じてを繰り返して手のひらをにぎにぎするのは、本当にやめていただきたい。


「誠くん、面倒だからと言って投げ出しては駄目よ?……今日の宿題はちゃんとやったの?」


「お前は俺の母親か!あと早くても宿題は家に帰ってからやるよ!」


いや、俺の母親はそんな事は言ってこないんだけどな。


「誠くんはいつもそうやって後回しにしてぇ。全く、誰に似たのかしらね」


「それって、誰か心当たりがある時に言う奴じゃないのか……」


まあ、少なくともお前には似てもいないし似せるつもりもないから安心しろ。


そこで突然、隣を歩いていた優花が立ち止まった。


「お遊びはここまでよ、誠くん」


「え?」


困惑する俺に優花は、バトル漫画的台詞を格好良く言って、決め顔をしている。


どうしよう。本気でどうしたらいいのか分からない。


「ふん、ではお前の本気を見せてもらおうか!」


ノった。


俺は分からなすぎてもうやけくそで、優花のパスにノった。


「今から愛してるゲームをするわ」


「……は?」


せっかく中学生の時代のに考えたりしていたオリジナルの技名でも、言おうか迷っていた俺に、しかし、優花がくれたパスしてくれたのは、ボールではなく爆発寸前の爆弾だった。


「どうしたの?私の本気が見たいのでしょ?安心して終わる頃には誠くん顔という顔を真っ赤にして帰してあげるから」


優花は怪しく笑った。


自分の仕掛けた罠に獲物がまんまと嵌った獲物を見るか様な目で笑った。


「ぐっ、やるな優花。お前になら」


「あ、もうそういうのはいいから」


「……ですよねぇ」


優花は冷たい反応で話を続ける。


「ここでは、人が多すぎるわね。場所を変えましょう」


今から愛してるゲームなんてやるとか言ってなけりゃ、その秘密の交渉前に言いそうな台詞もちょっとはかっこよく見えるというのに。


かくして、俺たちは場所を俺と優花が出会った日に立ち寄った公園の隅に配置されたベンチへと移して、決着をつけようとしていた。


なお、一人は無理矢理連れて来られたためやる気がない。


なお、来る途中でしれっと帰ろうとしたら俺は、優花のあさっての方向を眺めながら『このまま本気を持て余して一人で帰ったら私、予知夢の能力をフル活用してこれからの誠くんの人生を滅茶苦茶にしちゃうかも知れないわね』という、冗談でも怖すぎる発言を聞いてしまった為、強制参加となりました。


誰か助けてくれぇ!


「では、どちらが先攻か後攻をするかを、愛してるゲームで決めましょう」


「なんでだよ!普通にジャンケンとかでいいだろ」


しかし、優花は私は全くふざけていないとでも言いたげな真顔で、俺を睨みつけた。


「ジャンケン?なぜ先攻か後攻という勝敗において重要な選択を決めるのを、運などに任せなければならないの?」


「じゃあ、その練習の愛してるゲームはどうやって先攻後攻を決めるんだよ?」


ねぇ、本当にこんな殺伐した雰囲気で愛してるゲームなんてやるのか?


それとも愛してるゲームって、相手が照れた所に不意打ちを喰らわして、一本取るとかそういうゲームだったのか?


「主催者である私から行かせてもろうわ」


『じゃあ、本番もそれでよかっただろ!』というツッコミを、俺はすんでのところで呑み込んだ。


そして、優花がこちらをまっすぐに見つめ始めたのでゲーム開始である。


俺も優花の顔を真っ正面から見つめる。


静寂が辺りを包み込んで、聞こえるのは風の音とそれに揺らせれてざわめく木の葉の音だけだ。


本当に、俺達の他に人が居なくてよかったぁ。


こんなのやってる方も見せられてる方も、全員訳が分からないゲーム周りに他人が居たら、明日から家の外に出れる自信がない。


「愛してる」


優花が真顔で言う。


危なかったが、俺もギリギリの所で平静を装う。


やはり、この愛してるゲームというヤツはかなりキツイもう辞めたい!だけど、目の前の女がそれを許してはくれないだろう。


俺は深呼吸をして、ざわつく心を落ち着かせる。


そろそろ覚悟を決めよう。


始まってしまった以上、これは勝負だ。


勝負である以上は、どんなにくだらなくてもわざと負けてやるつもりなんてのは俺にはない。


長期戦にはなるだろうが、こうなったら必ず優花の顔を朱色に染めて、良い景色を見せてもらって帰ってやるさ。


俺は最後に息を大きく吸って吐いて、目の前の優花の顔を見つめる。


「……愛してる」


瞬間、優花は咄嗟に首を九十度回して俺から顔を背けた。


えぇ、弱すぎんだろ。なんでお前この勝負、挑んで来たんだよ。


「じゃあ、誠くんが先攻か後攻好きな方を選んでいいわよ」


いや、口調はなにごともなかった風を装えてはいるが、優花の顔は以前、真っ赤だ。


その後の本番の試合、もちろん俺は先攻を選び試合は一瞬んで決着がついた。


優花はさぞ悔しがると思ったが、「今度はこうはいかないから覚悟しておきなさい?」と言って、二人の帰り道が分かれるまで間、上機嫌に鼻歌交じりで歩いていた。


結局、何がしたかったのかはさっぱり分からなかったけれど、よくよく考えたら毎回の事なので、今更気にしてしょうがない事かもしれないな。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


こういうテンションを上げて主人公がツッコむ話は、個人的に好きな話なので楽しいですね。


では、宜しければ次回もお付き合い下さいませ。

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