戦闘①
「来たようだな…」
「そ…そそそうみたい!」
現れたそいつは俺の身長なんて目じゃないくらい大きいブラットサッカーだった。
恐らく3〜5m位…数年に一度のクラスだな。
『ギキィィイイィイイィ!!!!ジュルジュルルルジュ!!!!』
どうやらこいつは俺たちに巣を荒らされたと考えてるみたいだ…
それにしても何かを引っ掻くような嫌な音とグチャッとした何かを引き摺る嫌な音、嫌な音のオンパレードで頭が痛くなる…
「エルルさんは後ろでいつも通り援護をお願いします」
「むぇぇ…ま、任せて」
「では…行きます!」
エルルさんを後ろに下げ、予め抜いておいた剣を構える。
『ギィイィィイイィィィ!!』
剣を向けた途端、奴は触手を伸ばしてこちらに振り下ろして来た。二本の触手が迫ってくる。
だが、この程度のスピードは見えている。
「よっ!そいっ!」ズバッザザッ
難なくと触手を斬り飛ばした。だが、どうやらダメージが入っていないようだ、断面から新しい部分が生えて来て再生している。
『ギィィィィィ!!ジュルルル!!!』
「なるほど…伊達にこのサイズって訳でもないか…驚異的な再生能力だな…だが!」
今度はこっちの番だ、再生中の奴の懐に飛び込む
「ハッッ!!!」ズガァァァッッ
突きの構えを取り大きく踏み込み、奴の胴体目掛けて深く突きをくりだす。剣が根元まで刺さり奴の動きも止まった。だが…
「なッーー」
『キィィィィィィ!!!』ブゥンッッッッ
「ぐむッッ」ズダァァン
奴は体を振り回し俺を弾き飛ばした!叩きつけられて飛んでいった俺は二回三回転して立ち上がった。
「だ!大丈夫!?!?」
「ええ、何とか!しかし何で奴は動けるんでしょう?」
「あ!あいつの傷口を見て!」
エルルさんの言った通り今つけた傷口を見ると、なんと小さなブラットサッカーが中で蠢いていた、いや 「繋がりあっていた」
「そうか!奴は一個体じゃなくて沢山の小さなブラットサッカーの集合体だったんだ!」
そう叫んだ途端右足に鋭い痛みが走った
「ぐっ!?」
「足元にブラットサッカーが!」
どうやら先ほど切り飛ばした触手の先端にいた小さい奴が血を吸っていたみたいだ。俺は急いで取り外し遠くへ投げた。
「大丈夫!?血出てるよ!」
「まだ平気です!それよりもあいつの分かれた先の奴に対する対策を練らないと、斬れば斬るほど不利になってしまいます!」
「でも、どうすれば…?」
ここで俺の頭に1つの案が浮かぶ
「エルルさん!時間稼ぐので、その間詠唱して氷の魔法で奴を凍らせてください!」
「わ、分かったよ!」
分化し尚且つそれぞれが自律して動くならば…それを止めれば良い、問題はそうするまでの間、やられないようにするだけだ!
「行くぞッッ!」ズァッ
『ギィィィィィ!!!!』
胴体に開いた穴を完全に塞いだブラットサッカーに俺は突進する。エルルさんは後方で氷魔法を詠唱してる。なんとしても邪魔をさせないようにしなければ!
「喰らえ!【フラム】!」
【ファイア】より多少大きい火球がブラットサッカーに飛んで行く、それを奴は難なくと弾き飛ばす。
だがーー
「それは牽制さ!こっちが本命!【フラムブレード】!!」
俺の得意魔法の一種、炎の魔法剣で切りつける。剣に魔法を纏わせることによって斬りながら焦がすことができる!
『ギィッギィィィィ!?!?』
「どうだ!これで再生できまい!」
傷口あたりのブラットサッカーもろとも焦がしてくっつけさせることで傷を閉じないようにさせた。だが、沢山のブラットサッカーで一体の奴にはあまりダメージはないだろう。
『ギィッギィッ!』ギュンッギュギュッ
「くっ…」ガギッガガガッ
鋭く触手が突いてくる、風を切る音が威力の高さを物語っている。剣で何とか触手を受け止めるが衝撃がちょっとキツイ…大したことはないが依頼の割に骨が折れるな…
まぁでも…そろそろかな
「詠唱完了したよ!行きます!」
戦闘②に続きます