【乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です SS】悪夢 リネットちゃん
七月の発売についてご報告させていただきます。
7月25日 俺は星間国家の悪徳領主! 1巻 発売予定!
7月30日 乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 6巻 通常版+ドラマCD付き限定版 発売予定!
どちらも通販サイトでも取り扱いを開始しましたので、興味のある読者さんは是非!
そして「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」のテレビCMを製作していただきました。YouTubeでも見られるので、是非とも確認してください。
もう、何度も見ましたよ。さすがに三桁は見ていませんが、サンプルをいただいてからは毎日見ていました。素晴らしい出来です(笑)
また、乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です――略称は「モブせか」ですが、コミカライズ22話も更新しました。そちらは無料でComicWALKER様、ニコニコ静画様でお楽しみいただけます。
叔父さんに隠し子がいた。
これだけでも十分に驚きだが、その子が学園に入学してくるそうだ。
卒業した兄のニックスが、親族の面倒を見るために学園に来ている。バルトファルト家でフォローするようだ。
「叔父さんも隅に置けないな」
笑ってやると、ニックスが俺を睨んでくる。
「笑い事じゃないぞ。お前のせいで、うちは成り上がり中だ。隠し子だって色んな揉め事にされちまうんだよ」
腹部を手で押さえているニックスを見ると、随分と心配をかけているようだ。弟の面倒を見る兄って素晴らしいな。
だから、今後もよろしくね――お兄ちゃん!
校門で待っていると、新入生たちが次々に通り過ぎていく。俺たちを気にしている新入生もいるが、関わってこなかった。
訳ありに見えるのだろうか? ニックスの顔色が悪いし、きっと関わりたくないのだろう。
「来たか?」
ニックスが一人の女子を見ると、長い黒髪の女子が歩いてくる。見た目は……悪くない。いや、これまで見てきた五馬鹿の妹たちが飛び抜けて美少女だったから、普通に見えてしまうだけだろう。
他で見かければ、美少女と言える容姿だ。
大人しそうに両手で学園指定の鞄を持って、背筋正しく歩いてくる。視線はやや下を向いて、胸は大きく見積もってもCカップくらいだろうか?
周囲の男子たちも、彼女をチラチラ見ている。
派手な女子生徒たちが多い中で、地味というのが逆に目立っていた。
「あの子が? 俺らの一族じゃないだろ。清楚系だぞ」
「お前はバルトファルト家が、ジェナやフィンリーのような女ばかりだと思っていないか? 母さんを思い出せ」
「最近よりふっくらしたよね」
オブラートに包んでふっくらしたと言っているが、正直に言えば貫禄が出て来た。
それはともかく、地味で大人しそうな女子が俺たちの従姉妹とは驚きだ。
実姉と実妹を想像し、派手でチャラチャラした女子を想像していたからな。
彼女が校門に近付いてくると、男子生徒が声をかけていた。
「おい、俺は伯爵家の――」
取り巻きを連れた男子が、女子に高圧的に接している。
俺やニックスからすれば信じられない光景だった。
「何だあいつ! 一年の癖に舐めた態度取りやがって!」
「今の学生は、あれが普通なのか!? 羨ましいぞ! 俺もあと二年遅く生まれていれば」
羨ましくて仕方がない。俺たちの世代は、女子には常に下手で接してきたのに!
すると、取り巻きを連れた高圧的な男子を前に、ニコリと微笑む従姉妹殿は――鞄をフルスイングして男子を吹き飛ばしていた。
「ニックス! あの子、フルスイングだよ!」
混乱して何を口走っているのか、俺でも分からない。
ニックスも大混乱だ。
「止めて【リネット】! その男子に手を出さないで! 相手は伯爵家だからぁぁぁ!」
この状況は、ニックスの胃にダイレクトアタックしたようだ。目の前の男子と、側にいたニックスにまでダメージを与えるとか――リネットちゃんは過激だな。
声をかけられたリネットちゃんが、一瞬「ヤッべ」という顔をする。すぐに「おほほ」と言いそうな笑みを取り繕っていた。
――あ、こいつ中身は結構過激なタイプだ。
◇
校舎裏。
リネットちゃんの右肩辺りに、どこから共なく出現したルクシオンがいる。
何でお前はリネットの味方みたいな立ち位置なの? 俺よりリネットが好みか?
「ニックスは胃痛でリタイアだ。代わりに俺が話をする」
リネットが俺から視線を外し、冷や汗をかいている。
「お、お貴族様とのお話は、遠慮したいでございますことよ」
「何語だよ? 砕けた口調でいい」
「あっそ」
安堵して胸をなで下ろすリネットは、そのまま脚を肩幅まで開いて背伸びをする。
「いや~、お貴族様の学園とか、堅苦しくて嫌よね」
『まったくだわ』
ルクシオンの奴、音声を変更したのか? 女性らしい声と口調になっている。
「おい、気持ち悪い真似をするな。それより、何でお前がリネットの側にいる?」
ルクシオンに手を伸ばすと、すっと距離を取られた。
え? 地味に傷つくんだけど。
『触らないでくれる。あと、勘違いしないでよね』
リネットがルクシオンを見て、肩をすくめていた。
「ルクシオーヌは口が悪いわね。許してよ、貴族様」
「ルクシオーヌ? い、いや、それよりも貴族様って呼ぶな。リオンでいい」
「あっそ、ならリオン兄さんね。従兄弟だから、これでいいのよね?」
はぁ~? リオンお兄さんだ~? こいつ馴れ馴れしいな。
だが、俺は大人だ。これくらい許してやる。
「困ったことがあったら何でも言え。さっきの伯爵家の一年はしっかり教育してやるから、何も気にしなくていいぞ。それより、小遣いは足りているか?」
「え? 何でお小遣いの話になるの? くれるならもらうけど」
「とりあえず一万でいいかな?」
リネットが札束を取り出した俺を見て、驚いていた。
それから、リネットに手を出した一年男子は、校舎裏に呼び出して俺直々に教育してやる。
決意すると、空からルクシオンが降りてきた。
『お兄さんと呼ばれたくらいで、過保護になるのはどうかと思いますよ』
「ルクシオン!? な、なら、こいつは一体何だよ!?」
今までルクシオンだと思っていた球体子機だが、よく見るとルクシオンと細部が違っていた。
女性の声をしたルクシオンが名乗ってくる。
『だからルクシオーヌだって言っているじゃない。学習能力が足りていないようね。兄さん、こんなのがマスターとか可哀想』
『ルクシオーヌ、言いすぎです。一応は私のマスターですよ』
兄さん!? ルクシオンがお兄さん!? もしかしてこいつ、人工知能を量産したのか? それをリネットに与えたの? 何で!?
混乱している俺に、ルクシオンがまたしても厄介な話を持ってくる。
『それよりもマスター、一大事です』
「いつも一大事だし、今も一大事だよ。お前に妹がいるとか聞いてないよ」
『アンジェリカとミレーヌが、大変なことになっています』
……何だと?
マリエ(#゜言゜)「お兄ちゃんの妹は私だけよ! 甘えていいのも私だけなのよ! リネットって誰よ? そんなポッと出の妹なんて、私は絶対に認めない!」
若木ちゃん( ゜д゜)「モブせか六巻の宣伝は? 今回は豪華にドラマCDが付属する限定版も発売するし、テレビCMも出来たのに、宣伝しないの? コミカライズも22話が更新したのよ。……マリエちゃん、宣伝しよ」
マリエヽ(`Д´#)ノ「お兄ちゃん、私だけを甘やかしてぇぇぇ!!」
若木ちゃん(;゜д゜)「えぇぇぇ~」




