とある庭園で*
※性的描写・グロ表現などが含まれます。 お読みになる際はご注意ください。
真っ白な背景に淡い色とりどり花のいろが溶け込んだ穏やかな風景に男はうずくまっていた。 周りとは反対に男の内心は穏やかではなかった。
『おじちゃん、だぁれ?』
一人の可憐な少女が冊越しにしゃがみ込んでこちらを覗いた。
『……』
男は少女などには目もくれずただただ手をついたままの姿で地面を見つめていた。 男はふわり、と花の香が鼻腔をくすぐられた時だけ、少し表情が柔らかくなったが、すぐみるみる内に元に戻ってしまった。
『つらいの?』
優しい言葉が胸を刺す。
『ほっといてくれ』
『…さみしいの?』
男は少女にそういわれ一瞬身体をぴくりと奮わせたが、やはり心ここにあらずの顔でうずくまっていた。
『…あのね、じゃあね、わたしのそばにずっといて?』
男は驚愕の顔をいっぱいに浮かべた。
まさか。 私にそんな言葉がかけられるなどとは。
『私ね、ずっと一人ぼっちでさみしいんだ…。 だからおじちゃん、私とあそんでよ。 もっともっとおしゃべりしようよ』
少女はにこり、と笑って男に手を差し出した。 冊を越える際、見えないなにかが妨げるようにして伸ばせない。 それでも少女は諦めず、のばした。 両手は悲痛な音をたてて血に染まっていくが、少女はそのままゆっくりと隙間から手をだしてぐちゃぐちゃの手で男の頬を撫でた。 男ははっとして顔を上げるとそこには顔に汗をうかびつつ笑みを浮かべる少女がいた。
『だめ…かなあ?』
ああ、きっと私は。
こんなふうに誰かに…
愛してほしかったのだろう…