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にくうり

作者: atmark

ある町に詐欺師の男がおりまして、


その男は騙し捕ったお金で、そりゃぁもう優雅にくらしてましてね、


まぁ世にいう悪人そのものですわ。


そんなある日、そとから面白い声が聞こえてきましてねぇ、


「肉、肉は要りませんか。こわいくらいの肉売りますよ。」

という声が聞こえまして、男は窓から様子をみたんだと。そしたら、外には2トントラックがノロノロと走っていまして、荷台は黒く塗りつぶされていて赤い字に金色の枠を描いた枠字で「にく」と書いてあるもんだ。

 男は、「ほう、これは肉を売っているのか。聞いたことないな。」と興味がわわいたそうな。しかし、みなさん覚えてますか。男は詐欺師。騙すことには精通してまして、関西の方言でこわいが硬いを表すことを思いだしたんだと。するとこの男、「俺の家の周りで詐欺行為とはいい度胸だ」と勝手に決めつけ、にくうりを少し苛めてやろうと企んだそうな。

 さっそっく外に出てみると、にくうりの方から寄ってきて

「お!、お客さんお一つどうですか?」といったそうな。

男は早速本題に入ったそうな、

「そんなこと言って、こわいは、関西の方言のこわいで、硬い肉を売ろうとしているんじゃねぇの?」


するとにくうりは、

「いえいえ、そんなことありません。本当にこわいくらいの肉です。」


「じゃぁ、写真でも見せてみろ」

にくうりは準備が良く、サッとカタログを出してくる。

写真には、それはもう、すき焼き、ステーキ、ローストビーフなどどれに料理してもうまいこと間違いなしな霜降りの肉がのってたんだと。しかしそれも嘘だと男は思い

「実物を見せてみろ」と言ったそうな。

するとにくうりは

「仕方がありませんねぇ、特別ですよ」と言う。ニタっと笑ったそうな。

ガチャ、ギーという音を鳴らしながら扉が空きまして、ヒョイと荷台に上るにくうりに男も続いて入ったら、荷台には段ボールが敷き詰められていたそうな。

男は欲張りで、分かりもしないのに一番いい肉を買おうと、段ボールを手当たり次第にあけるが、おかしい。肉が入っていない。

「おい、にくうり。これはどういう事だ。肉がないじゃなか。」

男がそういって振り返ると同時に、にくうりは心臓を刺したんだと。

虫の息になっていく男に向けてにくうりが一言

「いいえ、お客様。あなたは私達のにくしみを買いました。お代はあなたの命です。」と。

憎売りはそういって、荷台の扉を閉めたんだとさ。



みなさんも、憎しみの種を売らず、憎しみを買ってしまうことのないように気をつけましょう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] オチは良かったと思います。 [気になる点] 落語調の語りが、そうだったりそうでなかったりと安定してなかったのは残念です。 [一言] 文章のキレというのか、表現方法が追いつけば、もっとよくな…
2014/10/02 19:42 退会済み
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