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不思議道具作成者  作者: スター
第0章 下準備
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第三話 能力の詳細

今回は能力の詳細についてです。

 道具作り。それが俺の得た能力か……だけどなぜバットが出たんだろうか?


 『どうした?何とも言えない微妙な顔をして。能力が使えたのだから良かったではないか』


 「いや、そうなんですけどね、なんで初めて発動したらバットが出てきたんだろうと思いまして、内からの力に押されて発動してみただけなのに……」


 『それはおそらくお前が何か強い力を無意識に期待していたからその棍棒のような武器が出たのではないか?』


 「強い力を望んでたのになぜバットが?力の象徴といったら普通剣だと思うんだが……」


 『石を材料にしたからではないか?石を使っても刃物は一応作れるがそんな中途半端なものを作るならいっそ素材の特性を生かせる打撃武器にと判断されたのだろう』


 確かに、石斧というのもあるが、あれは切るというより叩き折るといった感じだしな……もう少し自分の能力を確認した方が良さそうだ。


 俺は自分の中に意識を集めて、能力の詳細を確かめてみた。





 どうやら俺の能力は三段階に分かれているようだ。

 まず第一段階として材料から道具を作るというものだ。これは俺が頭の中で思い描いた構造できるので自由度は高いといえよう。ただ、内部構造が複雑なものは俺がそれを詳しく知っていないといけないため、今の所は単純な武器や道具しか作れない。


 第二段階は能力の付与だ。これも俺が頭の中で考えた設定通りの能力を持たせることが可能なようだ。これは凄い。うまくやれば漫画や小説に出てくるような道具が作れる。


 第三段階は不滅・不朽化だ。形を作り、機能を与えた道具に施す仕上げともいえる。この処置を施すことで俺の作った道具は壊れることもなく、風化したりすることもなくなるのだ。素晴らしい!

 もっともこれらの工程は形を作っても能力を付与せずに不滅化させたり、能力を付与させて、そこで終わりというように飛ばすことも可能なようだ。ちなみにこれらの処置は俺が望めば後から変更などもできるようなので安心した。作った後になんかしっくりこない時でも作り直せて安心だ。


 ではさっそく、本格的にやってみよう。先ほどのバットには機能が付与されていないので何かつけてみるか。


 「ここは手堅い能力でいくか、〈身体能力強化〉、〈危険察知〉、〈軽量化〉っと」


 するとバットが光輝き、やがて鎮まった。外見上は変化がないが、何となく力強さを感じさせた。試しに持ってみる。

 

 「おお!軽くなってる。それとなんとなくだが体に力が漲る感じがする!」

 

 なので近くの壁を拳で殴ってみたところ、思いっきり壁にひびが入った。す、凄いな……俺の拳も痛んだが。


 「い、いてえ!身体能力は上がってるのになんで拳が痛むんだ!?頑丈さも上がるように設定したのに!」


 『お前、その武器を見せてみろ』


 シルバがそう言ってきたので見せてみた。


 『ふむ……どうやらこの武器はあまり本気を出したがっていないように思えるな』


 「え、どういうことだ?」


 『なんというのだろうか……力を持ったモノは誇り高くなり、自分に合った持ち主を望んでいるように思えるのだ」


 「力を持ったモノは誇り高くなる……つまり付喪神のようなものなのか?」


 『付喪神?なんだそれは?』


 あ、この世界にはその概念はないのか。でもよく考えたら付喪神は日本独特の考え方だった気もする。


 「付喪神ってのはな……」


 俺は付喪神の概要を説明した。


 『なるほど、よくわかった。まさにこの武器はお前の言う付喪神のような状態だ』


 「てことはこのバットには明確な意志があって、俺を拒んでいるというのか?」


 『いや、別にお前の事を嫌っている訳では無い。そうであるなら先ほど一欠片たりとも力を貸さなかっただろうよ。この場合、お前さんの適性とこの武器があまり合致していないのが原因だと思うぞ。だから本気でないのだろう』


 「適性があっていない?どういう事だ?」


 『例えば剣術の素人がよく切れ、頑丈な剣を手に入れても使いこなせると思うか?』


 「え、あっ!そういうことか……!」


 そうか、例え凄い力を持った武器なりを手に入れても誰もがその性能を完全に引き出せる訳じゃない。むしろ力に振り回されるのがオチだ。それに名刀を手に入れたって本人に剣術の素養が無ければ何の意味もない。


 「そ、そんな……ってことは神話に出てくるような武器を作ったとしても……」


 『お前、自分が神話の英雄の器だと思っているのか?』


 くっ、そういうことか!例え凄い道具を作ったとしても性能が上がれば上がるほど適性がないと使いこなせなくなっていくのか!てか俺が作ったのに俺自身では性能を完全には引き出せないのかよ!


 『それにお前は自分より下位の存在にアゴで使われたいか?』


 「まるで俺がそのバットにも劣る存在であるかのような言い方だな……!?」


 『じゃあお前、その棍棒なしでさっきのようなことができるのか?」


 「うっ!それは……!」


 確かに俺は道具作り能力を除けばどこにでもいる普通の人間だ。


 『まあ、気にするな。使っていく内に武器の方もお前を少しは認めるだろう。元気を出せ、せいさ……いや、セーサにしよう』


 「おい!何だその名前!」


 「いちいち清作というより、こっちの方が楽だからな。それに異世界に来たのだから名前も変えてみたらどうだ?』


 「なんでだよ!」


 『異世界から来た。そういっても信じる奴は少ないだろうし、信じてもらえたら、もらえたで場合によっては何かの実験のサンプルにされかねないぞ』


 「ひ、東の国から来たっていえば良いだろう!俺の故郷とあんたの言った東方諸国は似ているみたいだし」


 『甘いな。文化について聞かれたりしたらどうする?この世界の東方人に遭遇して故郷についての話をされたらどうするのだ?この世界の東方諸国とお前のいた世界の故郷は似ているかもしれんが完全に同じとは言い切れない。その小さな違いから嘘を言っているのではという疑いを持たれたら終わりだ。お前だって嘘を自分に話す奴を信用できるか?』


 い、言い返せない。言ってることは事実だ。


 『それならいっそ国籍不明でもの凄いド田舎から来たということにしておいた方が良い。名前も東寄りの名前より、どっちとも取れる名前の方が溶け込みやすい。なので今日からお前はセーサだ』


 「いや、俺にも少しは考えさえろよ!」


 こうして、道具の問題も解決されないまま、俺の名前をどうするかという論争になってしまい。結局シルバの言った「セーサ」という名前で決まってしまった。ああもう、せめてあのバットだけでも使いこなせるようになりたい!





 神器を作ったとされる人物はどこから来た人物なのかが不明とされている。伝承に残されているわずかな情報によれば黒い髪に、石で出来た杖のような武器を持っていたとされる。しかしながらその名前は不明とされてきた。

だが近年、聖女と呼ばれたマリア・ティアーヌの手記をティアーズ教国が公表したことで彼の者の名前が判明した。

彼の者の名は――セーサ

幾つかしっくりこない部分があるので後日少し修正すると思います。

5月19日 聖女の名前と国名を修正

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