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鳥かごに囚われた小鳥を放て

作者: 紅葉

夕葉が書きました。

プロローグ


はじめてその子を見たのは中学一年生の時。

まったく喋らない子がいると入学直後から噂になっていた。


友達とみんなで移動教室で廊下を歩いていた時。


目を伏せて一人で歩く女の子とすれ違った。


可愛らしい顔立ちに三つ編みがはえるように結われた栗色の柔らかそうな髪。

対象的に唇はきつく結ばれていた。


どこか苦しげな表情に声をかけようとした。


「ねぇっ!ほらあの子だよ!!早瀬 水凪!」

大きめの声で隣を歩く友達の一人が言った。

「えー!?あの子なんだ!」


気がついた時には水凪は何処かに消えていた。



3年生になって同じクラスになって。


声を出さない少女はクラスの中で浮いていた。


今井 真沙紀が過保護なほどに水凪をかばっていた。


まるで籠にとじこめるような守り方。

水凪の可能性を、狭めている。

桜散る季節。

そんな風に考えたのを忘れていない。中学三年生もあと少し、三学期になった今でさえ。



第一話


今にも泣き出しそうな顔で水凪は登校してきた。

今井真沙紀が転校して三日。

てっきり水凪も転校したのかと思っていた。

初めて見る髪をおろした水凪は前よりずっと大人っぽかった。

「水凪ちゃんおはよー」

声をかけるとぎこちなく水凪がこちらを向いた。

『 おはようございます』と口を動かしぺこりと頭を下げる水凪。

父の仕事の関係で私は読唇術ができる。

今まで真沙紀のせいで友達いなかったんだろうなぁ。

「深咲でいーよ」

言うと水凪は笑った。

花が咲くように。

『ありがとう』小さく動いた唇を私は見逃さなかった。

「どういたしまして」

びっくりしたように水凪は私を見た。


第二話 友達の距離感

水凪と会話ができるのは私だけってことで、水凪は私にべったりとついて回った。

子猫のようなその姿に真沙紀の気持ちが理解できた。

でも、甘やかしたら私が真沙紀の代わりになって終わり。

「水凪……。放課後一緒においで」

屋上に水凪を連れていくと予定通り3人の女の子がいた。

「はろー(笑)」

「深咲〜遅いよ!水凪ちゃん始めまして」

「あ、はい、これ」

長い髪が特徴の優香が水凪にスマホを渡した。

自身はタブレットを持っている。

渡しながら説明をしている。


美咲もチャットサイトを開いた。


美咲 [とどいてるー?]

優香 [届いてるよ]

柚沙 [きてるよー]

水凪 [はい]

茉莉 [きてるきてる。チャット大会始めるよー]


水凪をみると口をポカンと開けていた。


チャットを続けていくとふいに水凪がふふっとわらった。


「ぁ……ありがとう」

すごく小さな声だったけれど。


確かにその声が私たちに届いていた。

ほらね。真沙紀の手から離れて友達ができるとこんなにも……





プロローグ

水凪が桜の木のしたの真沙紀に走り寄ってる。

高校生活の中でずいぶんと水凪は強くなった。

もう大丈夫。

私は屋上から見守っていた。





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