ハイテンションな俺とメロンな彼女の交換条件
不良をぶっとばしてから早くも一週間
俺をとりまく環境は大きく変わっていた
クラスのヤツからは一目置かれ、女子からは毎日手作りお弁当を作ってきてくれる
そう、俺の人生には春が訪れていたのだった
「…という同人誌を出そうと思う」
「マジで死ね」
俺は容赦なく黒川につっこむ
本当にあれから一週間。俺をとりまく環境は見事なまでに何も変わっていない
相変わらず昼休みにはパシられるし、放課後日は掃除を押し付けられるし、ウサ晴らしにボコボコにされるし、小学生のランドセルを持たされるし…相変わらずの下僕街道を順調に進んでいる
まあ変わったこと全くないかと言えばそんなことはない
「おお、やったなヒラ!お前主役だぞ!!」
「…それは嫌味ですか元木くん」
西園妃鬼、黒川瀞に加え元木友輔が何かと絡んでくるようになった
はっきり言って面倒くさいしウザい
だって考えてもみろ。西園さんは巨乳美人のマジ天使、元木はスポーツ万能で人望も厚い絵に描いたようなリア充、クソ川は…基本的に嫌いだ。対する俺は漫画で言うと戦闘力がたった5で瞬殺されるモブキャラ。つまり俺の周りは才色兼備の主人公的キャラがゾロゾロとそろっているというわけだ
肩身が狭いどころの騒ぎじゃない。このままでは存在そのものが消える可能性がある
「なんでユースケがいるの?」
「俺はヒラと昼飯食べにきただけだって言ってるだろ?」
は?なにを言ってるんだこのリア充は。俺と昼飯を食べに来た?
貴様…なにを企んでいる!!!!!
「ヒラくん…なんで首元を押さえてるの?」
前に見たテレビで暗殺者はここを狙っているのを見たからだ
「い、いや…そんな警戒した目で見られても……」
「お気になさらずに…」
絶対信用してたまるか…
「…俺はさ、お前に感謝してるんだよ」
「お前に殺されるぐらいなら俺自身の手で人生を終わらせてやる!!!!」
屋上の柵に足をかける俺。もう迷いはない
「なんでだよ!!」
「俺はな、俺自身の手で命を終わらせたい派の人なんだよ!!」
「こえーな!!!」
「ヒラくん!今死んじゃったら私たち生徒会はどうなっちゃうの!?」
西園さんが俺を羽交い絞めにする。あ、あ!西園メロンがっ!!名産品が俺に密着している!!!俺の体中の穴という穴から血が出る!!エロイ本能によって血があふれ出る!!!!」
「オカマ、キモイ」
だからお前はしれっと心を読むなって言ってるだろ
「に、西園さん。も、も、もう大丈夫です…」
「本当に?」
ああ、そんな上目遣いで俺を見ないでくれ。別の理由で死んでしまう
俺のような女子に耐性を持っていない人間にとってはこんなの死刑でしかない
「ごちそうさまでした、西園さん」
「へ?」
「キモイ」
黙れ貧乳。貴様にはなんの魅力も感じんわ!!
「じゃ、本題にはいろっか」
え、今のが本題なのでは?
「新メンバーの情報ー」
ニヒヒと笑いピースサインをする西園さん
ああ、やっぱりこの人は天使だ
「今回はね、L3の男子を勧誘しようと思ってるんだけど」
チッ、男子か…ただでさえ男子は苦手なのに
「で、名前はね…竜山双葉だっけ」
「え、妃鬼マジで言ってんの?」
名前を聞いた途端能天気に話を聞いていた元木の表情が固まる
一方黒川はモグモグと変わらない表情でメロンパンを頬張っている。おい、それ俺が買ったメロンパンだろうが
「…あげないよ」
「ふざけんな」
本当にコイツはむかつく
「元木くん、誰なんですか竜山双葉って」
「いや、俺も噂で聞いただけなんだけど…」
元木は顔に恐怖を浮かべながら語りだした
その男、竜山双葉はL3の1年生
入学時から学校全体に知れ渡るほどの実力者であり多くの上級生たちが彼を勧誘した
しかし竜山はその全ての勧誘を断った上に勧誘してきた全てのグループを1人で壊滅させたという
そしてその壊滅させたグループには多くのL4がいたという…
「西園さん、俺がお付き合いできるのはここまでです」
「ストップ、ヒラくーん!!!」
全速力で逃亡を試みる俺の足に西園さんがゾンビのようにしがみつく。ああ、胸のメロンのせいで結構の重量がある!!
「なんで逃げるの!?」
「逃げるでしょそりゃ!!」
前回だって死ぬ気で不良を倒したのに今度はもっとやばそうなヤツじゃないか!!俺にはもう手が終えないね、他を当たってくれ
「ほら、話してみれば以外といい人だったりするかもしれないよ!!」
「いい人はたった1人で上級生グループを潰したりしないでしょうが!!」
「オカマー、情けないぞー…」
「うっせぇよクソ川!!」
今回は何を言われようと断固お断りだからな
「お願いヒラくん。協力してくれたら好きなことしてあげるから」
「行きましょう西園さん」
お前らは俺を最低なヤツだとののしるか
ならば考えてみろ。目の前の純情巨乳美人が何でも好きなことをしていいという
これに釣られない男がいないのならそいつはもはや男ではない。男とか女とかを超越した何かだ
「本当に!?」
「はい、勿論です西園さん」
「じゃ、今から行こう!!」
「はい、勿論です西園さん」
「場合によっては喧嘩になるかもしれないけど大丈夫?」
「はい、勿論です西園さん」
「オッケ!さすが頼りになるね!!」
「はい、勿論で(ry」
さっくり死亡フラグを立ててしまった気がするが…ま、気にすることは無い
仮に立てていたら俺のことは一級フラグ建築士と呼んでくれ
「よし、トロ行くよ!!ユースケはお留守番ね」
「えー、なんでだよ」
「だってユースケはウチのメンバーじゃないじゃん!!」
「マジかよー。気をつけろよヒラ」
「任せとけよ元木!!」
「急にフレンドリーだよ!!」
「…サイテー」
周りの声も全く聞こえない
今の俺には西園さんとのキャッキャッウフフのことしか考えていない。チキンの俺にそれができるかどうかなんてこの際関係ない!!
「よっし、レッツゴォー!!」
「うおぉおおおおお!!!」
今世紀最大のテンションで俺は雄たけびを上げる
ただし俺はこの後で今世紀最大のローテンションになることは言うまでも無い