47 響は気付くことができない
響は花菜がいなくなった部屋の中で、今なお呆然としていた。
明日も花菜が来る確認のメッセージに返信があった後にも、響は安心など一欠けらも得ることはなかった。
(ダメなところはいくつも見付かるけど……。そうじゃない……)
なにがいけなかったのか……何度も何度も反芻する。
「ああ……花菜……花菜……!」
好きな人の名前を呼ぶ。
胸の苦しみが、まったく解消されない。
(明日も来てくれる……私のことが好きな花菜……)
だが、それは手に入らない。
手が届かない。
(なんで……どうして……)
答えのない疑問ばかりが浮かんでくる。
響はフラフラと立ち上がると、ベッドに倒れ込んだ。
長い黒髪が、シーツの上に無造作に広がった。
(どこでボタンを掛け間違えたんだ……)
放蕩とした頭と心が問いかけを再開する。
(花菜はあんなに、本当の恋人になれたらいいのにって言ってくれたのに……)
相原花菜は、確かに本当の恋人になれたらいいと口にしていた記憶が響の中にある。
(あんなに……楽しそうにしてたのに……)
少なくとも、一緒にいるときの花菜は楽しそうだった。
響の目からはそう見えていた。
自分が告白をするまでは……。
(あんな花菜……見たことが……ない……)
豹変したような花菜のことを思い出す。
冷めたような感情でもってこちらに接してくる花菜。
学校でも見たことはなかった。
恐らく、家族の前でもすることはないだろうと考える。
(なにが花菜をああさせているんだろう……)
間違っても、花菜をああしてはならない。
(だけど、私の告白が花菜にとって地雷だっていうなら……打つ手がないじゃないか……)
それでも、響は前に進まざるを得なかった。
花菜と一緒にいるためにも、この恋を信じてもらわなければならなかった。




