4/58
04 準備室はさながら秘密基地のようで
花菜は家庭科準備室で一人実習の準備を行っていた。
というよりは、ほぼ準備は終えている。
昼休みも半ばのことである。
準備といっても軽いもので、これに関して言えばかなり早くきて一人で準備している花菜が単純に過剰に時間を担保している。
そして準備が一通り完了すると、花菜は家庭科準備室に入って扉を閉めた。
家庭科準備室の奥にはデスクが設置してあった。
一脚だけ備え付けられたデスクチェアに腰を下ろし、少し厚めのカーテンがかかった窓から漏れる陽光に目線を奪われながらも花菜は背もたれに背中を預けた。
家庭科準備室は部活動で利用する調理部の生徒や家庭科の特別な実習などで一部利用するだけで、ほとんど人の出入りがない。
そのため、今の状況は少し花菜にとっては秘密基地にいるような気持ちにさせてくれた。
花菜は誰もいないことを確認して、制服のポケットからスマホとイヤホンを取り出すとそっと耳に装着する。
スマホを操作すると、イヤホンから耳へと音声が再生され始めた。
「えへへ……」
花菜は微笑むと、愛おしそうにスマホの画面を眺めた。
そして、瞳を閉じてゆっくりと音声に耳を傾けていく。
元々Web小説を意識して書いていなかったため、区切りとして少し短めのエピソードが混じることがあります。
ご容赦ください。




