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都市伝説解体ブラザーズ  作者: 結城 からく


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1/2

前編

「ああー、こんな遅い時間から仕事とかダルいわぁ。もう帰りたいんやけど」


 ジャージ姿の女、米良は顰め面で愚痴る。

 彼女はガムを噛みながら大儀そうに屈伸をしていた。

 背負っているリュックサックの口から、ネイルハンマーがはみ出している。


 隣に立つ黒スーツの男、海老原はため息混じりに苦言を呈する。


「いい加減にしてくださいよ。これは重大な案件です。職務放棄など論外ですよ」


「なはは、冗談やって。そない本気にせんといてや」


「まったく……」


 気楽に笑う米良に対し、海老原は深々と嘆息する。

 二人の前には薄汚れた一軒家が建っていた。

 住人のいる気配はなく、室内は暗闇に包まれている。

 周囲一帯が陰鬱な気配に満ちているが、二人は慣れた様子で受け流している。


 海老原はスマートフォンを取り出した。

 目の前の家を指差しながら、彼は淡々と説明を進める。


「ここは大沼希江子の家です。築五十四年。過去に何十人もの人間が失踪しています。その中には腕利きの霊能者も含まれており、国内有数の事故物件と言えるでしょう」


「ほへー、えらい危なそうやね」


「ええ、非常に危険です。だから我々に依頼が回ってきたわけです。万が一もあるため、まずは慎重に保護結界から――」


 海老原の説明を無視して、米良はリュックサックを漁っていた。

 彼女が掴み取って掲げたのはダイナマイトの束だった。

 凶悪な笑みを浮かべた米良は、百円ライターで導火線に着火する。

 ちりちりと短くなる導火線を見て、米良は笑みを深めた。


「ダラダラと準備すんの面倒臭いわ。さっさと壊せばええやん」


「いや、ちょっと米良さん――」


「まあまあ、任せときって」


 制止する海老原を押し退けて、米良はダイナマイトを放り投げた。

 放物線を描いたダイナマイトは玄関扉の前に落下する。

 数秒後、轟音と共に爆発が玄関を吹き飛ばした。


 ぽっかりと穴の開いた入り口を見て、米良は大笑いする。

 彼女は涙を流して膝をバシバシと叩く。


「はっはっは! やっぱこれが一番やね! まどろっこしい結界とかいらんわ!」


「くっ、後で始末書を書かなくては……」


 肩を落とす海老原は、突き刺さるような視線に気付く。

 一軒家の二階の窓から、中年女が彼らを睨んでいた。

 反射的に海老原はスマートフォンを確認する。

 窓際に立つのは、物件資料に掲載された大沼希江子と同じ女だった。

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