戦争
二作目にして投稿日を守れませんでした。意志薄弱です。
四人で一部屋割り当てられている宿舎の自分のベッド、それにウィリアムは寝転がり今日一日の疲れを癒していた。しかしそれを妨害するかのように、三人の男たちが部屋の扉を押し開けた。
「よお、ウィル。今朝は災難だったな」
定位置に着いた三人の内、初めに声をかけてきたのはネイサンだった。
「災難なんかでまとめてくれるな、ネイト。もとはと言えばアレックスのせいだ」
「僕のせい? 君が僕にちょっかいかけてこなきゃ、ああはならなかったさ」
ウィリアムはすぐにでも何か言い返してやろうと思ったが、後の展開を妄想して、面倒になってやめた。
「なんだよ、いつものことじゃねえか」ネイサンが口を挟んだ。
「二人とも仲いいよね」
ピーターの言葉に、ウィリアムは少し腹を立てた。自分たちは仲がいいのではない、むしろいがみ合っているくらいだ、そう思った。
「ピート、仲がいいというより上下が決まってるんだ」
その通りだ、とウィリアムは言葉を置く。
「その通りだ。いいかピート、アレックスが下、俺が上だ。圧倒的に上だ」
「ああ、君のママと一度よく話し合いたいね。どう教育したらこんなトンチンカンが出来上がるんだってね」
ウィリアムは全身の血が沸騰する感覚を覚えた。
「おいアレックス、おふくろのこと馬鹿にしたな。いいぜ、俺が上だってこと証明してやる。表出ろ」
気づけばウィリアムはアレクサンダーの胸ぐらを無理やりにつかみ上げ、そのまま部屋のドアまで突き飛ばしていた。
「痛いなあ、そうやってすぐ情動に流されるのは君の悪い癖だ」
「いいぞウィル、負けるなよアレックス」
ネイサンはヤジを飛ばすことにすっかり得意顔だ。ウィリアムとアレクサンダーはその声を聞き、裸足のまま宿舎の玄関を飛び出た。
「二人ともダメだよ、ネイトも止めて!」
ピーターの言葉もむなしく二人の決戦は訓練場で始まらんとしていた。互いが互いの呼吸を読み、攻撃の間合いを図る。初撃はどこにどのくらいの強さで、どんな方法で繰り出されるのか。いくつものパターンをリアルタイムで更新される相手の動きから予測しシミュレートする。
そうして三十秒が経ったあと、両者は殴ることも蹴ることもなかった。代わりに、耳をよく澄ませることを余儀なくされた。
「レイクナより開戦宣言あり! 繰り返す、レイクナより開戦宣言あり! 宿舎にいる兵は各自、至急戦闘準備に移行せよ。繰り返す、レイクナより開戦宣言あり! これより行われるのは、一世一代の大戦争である!」
重低音の警告音と突然の告知は宿舎のシャワー、食堂、ラウンジ、寝室、そして訓練場、全体にけたたましくリピートされる。
「ピート、ボケっとするな! 急いで着替えろ!」
アナウンスに即座に反応したネイサンが動揺して動けないピーターに声をかける。
「あ、ああ! ごめん」
それからピーターもクローゼットを乱暴に開け、部屋着を足元に脱ぎ捨てた。外にいたウィリアムとアレクサンダーの精鋭軍人二人は、ピーターの気づかぬ間に窓から部屋に戻り、ネイサンよりも早く準備を終えた。
「レイクナに目に物見せてやれ」
師団長のその言葉で闘志が燃え上がった軍人らは、それぞれに秘めたる思いを胸に、戦場へと飛び出した。
今作もご覧いただきありがとうございました。よろしければコメントや評価をお願いします。




