零.それは、 誰の夢なのか?
――ああ。
――自分はここで終わりなのか……。
青年は、朦朧とする意識の中でそう思った。
必死に呼びかける友人達の顔が、守った者の顔が、こんな時だと言うのに滑稽に見えた。
――些か自分の性格は捻くれているのじゃないだろうか?
こみ上げてくる笑みに従い、ゆるゆると傲慢に顔をその形にした。
でも。と青年は、守らなければならない唯一の人の涙が落ちてくるのを見る。
――泣かせてしまった。これでは、失格だろうか?
そうだろうな。だが、守れたからそれで良い。と、青年は一人で結論を出す。
しかしそれでも。と青年は、脳裏に過った今はここに居ない人物に想いを馳せる。
――これで、あの子に負担を掛けてしまう。
そう思いながらも、青年は重たくなる瞼に逆らわずにゆっくりとそれを閉じた。
零.それは、 誰の夢なのか?
カゲは、人間の心の奥底の黒い物が大好物です。
カゲは、人間の影から喰らうのです。
カゲといっても、物体的な影は喰べません。
だから、人間は気づきません。
刻、一刻と自分が侵蝕されている事に。
侵食といっても、物体的に侵蝕するのではありません。
だから、人間は気づきません。
己が、人間以外の力を持った事を。
力といっても、人間がその力を使えるわけではありません。
だから、人間は気づきません。
カゲに操られている事を。
だから、気をつけて下さい。
カゲは貴方のすぐそばに居るのですから。
そしてカゲと言うのは、本当の名ではありません。
では、カゲの本当の名は何なのでしょう?