第十話⑮
第十話は、視点が切り替わりながら話が展開します。
今回は白城伶王です。
俺は「儀式の塔」の5階にいた。「キング」らしく、玉座に腰掛けていた。
(ま、まさか……ここまでとは…… 『ナイト』は相討ち、『ポーン』は全滅し『ビショップ』もやられた……。『クイーン』も手こずっている。紅白……、流石だよ……)
俺は仲間がやられた悔しさがあったが、親友だった男やその仲間たちの強さを嬉しく感じていた。なぜなら、俺が全力で戦うことができるからだ……。
俺の誓約霊は、全部で3体……。
1体目は家の神社の狛犬。ライオンに似ているので、「ラオウ」と呼んでいる。あの有名な「北○の拳」「ラオウ」には、断じて全く関係ない! 「ラオウ」の能力は、俺の霊力を強化すること…… 曾祖父さんには劣るが、悪霊や妖怪を一瞬で浄化する力はある。
2体目は、めっちゃ可愛い「奈津紀ちゃん」。本当に可愛いい…… 目に入れたら流石に痛いけど、めっちゃ可愛い……。大事なことだから、何回も言う。めっちゃ可愛い!! 奈津紀ちゃんの能力は爆弾を作り出すこと……。あらゆるものを爆弾に変えたり、何もない場所にも爆弾を作り出せる。勿論、人の体内にも……。しかし、その場合、発動条件が厳しくなる。俺が対象に触れなければならない。だから、一瞬で敵を殲滅するのは難しい……。
そして、3体目は、この場所で活動していた団体……「光の教団」の教祖「飯屋良助」だ。「光の教団」の大量殺人事件が起きた後、暫くしてから俺はこの場所を訪れ、彼の霊と出会った。そして、「テロス」の真実を知った。「テロス」とは、ギリシャ語で「完成」という意味を持つ……しかし、「テロス」には別の意味があった。それは、「終わり」という意味だった。彼は、「テロスの儀」によって、この世界を終わらせようとしていた……。彼も俺と同じように、この腐った世界を破壊して、誰もが幸せに生きれる世界を創ろうとしていたのだ。だから、同じ目的を持つ同志として、俺は彼と誓約した。誓約霊としての彼の能力は……
俺が長々と読者の皆様に説明していると、急に強大な霊気を感じた。そして、そいつは突然、5階に現れた。
「無事だったのか……?」
俺はそいつに言った。
「フッ…… 当たり前じゃな~い…… 俺は『完全な存在』なのさ。だから、あんな探偵にやられるわけがない……。キング、あんたの周りに誰もいなくなる、このチャンスを待っていたじゃな~い」
そいつ……「ナイト」が言った。
「『完全な存在』…… そうか…… お前が『光の教団』の生き残りだったのか……」
「話が早いじゃな~い。俺の目的は教祖様の霊と誓約すること…… だから、『キング』……あんたを倒し、その目的を達成するじゃな~い」
ナイトはそう言うと俺の目の前に現れて、俺の身体を削ぎとるように右腕を大きく振った。そして……俺の胴体を消し去った。
「俺の誓約霊の『瞬さん』は、俺の父親……。その能力は瞬間移動だけではなく、意図したものを別な場所に移動させることができる……。キング……あんたの胴体は別の場所に移動させてもらったじゃな~い!」
ナイトは勝ち誇ったようにそう言った。
しかし……
「ぐっ、ぐふ……」
ナイトは俺の右腕に腹部を貫かれ、血を吐いた。
「ど、どういうことだ……じゃな~い?」
「ナイト、お前が移動させたのは俺のコピーの胴体だ……。お前の『教祖様』……『飯屋良助』の能力はコピーを作り出すこと……。残念だったな、お前の負けだ!」
俺がそう言うと、ナイトは瞬間移動し、俺と距離を取った。
「フ、フフ……、アッーハッハッハ-」
ナイトが突然、笑い出した。
(こいつ…… 気でも狂ったか……?)
「さ、流石だよ…… 流石は『教祖様』の能力……。本物とコピーの区別が全くつかない。霊力も全く同じだったじゃな~い。だが……」
ナイトはそう言うと、もう1体の女性の誓約霊を呼び出した。
「彼女は俺の母親の『直子さん』……。どんな傷もすぐに回復させることができる」
ナイトがそう言うと、その誓約霊はナイトの傷を癒した。
(あれ……『じゃな~い』は? やっぱり、無理して言ってた?)
俺はそんなことを考えていたが、既に勝利を確信していた。なぜなら、ナイトの腹部を貫いたときに、奈津紀ちゃんが奴の体内に爆弾を仕掛けたからだ。
ナイトが再び身構えた……。
「奈津紀ちゃん!!」
「レオくん、任せて!」
奈津紀ちゃんはそう言うと、起爆スイッチを押した……。しかし……ナイトはその瞬間に自分の腹部だけを瞬間移動させた。下の階で爆発が起きる。
ナイトは自分の腹部を儀式の塔の4階に瞬間移動させたようだった。そして、奴の誓約霊「直子さん」が再度治療し、ナイトは再び完全に回復した。
(くっ…… やるな……)
その時、5階の入り口の扉が開いた……。
そこには、クイーンがいた。クイーンは、俺とナイトが対峙しているのを見ると、すぐに状況を理解したようだった。クイーンが、ナイトに向けて無数の青いオーラを放とうとする。
「くっ、流石に状況が悪い……。しかし、『教祖様』の能力を知ることができた。最低限の目的は達成したじゃな~い」
ナイトかそう言うと、急に空間が歪み出した。
(な、なんだ…… これは、奴の能力なのか!?)
「キング…… 一旦、退かせてもらうじゃな~い。でも、あんたは、この出来事を覚えていないとは思うけど……」
ナイトはそう言うと、瞬間移動で消え去ってしまった。
その後、歪んだ空間が俺とクイーンを飲み込んでいった……。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。





